”おっさんスパイ”の大暴走・第3弾! ”アナログな笑い”の逆襲に降参ですっ <連載/ウワサの映画 Vol.58>
東海ウォーカー
“Mr.ビーン”で有名なローワン・アトキンソンが主演する人気スパイ・アクション第3弾「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」。63歳になられた名コメディアンが繰り出すベタベタな笑い(「昭和の笑い」とも言う)の渦に、不覚にも巻き込まれてしまった! 「今さらこんな古典コントで笑わないもんね」と高を括ってたけど、「くだらねぇ~、フフッ」「バカバカしぃ~、ククッ」と終始ニヤニヤしっぱなし。作り手が全力でおバカを追求しててねぇ、尊敬の域です、ホントに。

舞台はイギリス。ある日、サイバー攻撃が発生し、なんと英国秘密情報部・MI7の現役スパイ全員の情報が漏洩! 犯人を探すために引退したエージェントを呼び戻そうにも、大半が死亡したか瀕死状態…。MI7に残された唯一の選択肢は、隠居の身のジョニー・イングリッシュ(ローワン・アトキンソン)…! スパイグッズがスマホに取って代わられた現場に愕然としつつも、彼は、特別支給の旧式スパイグッズ&昔の相棒・ボフ(ベン・ミラー)と共に、攻撃信号が最後に探知された南フランスへ。目を付けたある船で、謎の女・オフィーリア(オルガ・キュリレンコ)にあっさり捕まっちゃうイングリッシュでしたが、船主がアメリカ最年少のIT長者・ヴォルタ(ジェイク・レイシー)であることを突き止め…。果たして、アナログなおっさんスパイは、インターネット完全支配を目論む超デジタル犯の野望を阻止できるのでしょうか!?

現役スパイ全員が活動できなくなる事態からしてバカですけど、元スパイのじいさん衆に頼る展開もマヌケでいいですねぇ。イングリッシュは今回も徹底的にキザ路線、敵を間違えるといった凡ミスを連発し、それをしれーっと偽装工作したりするタチの悪さも健在です。パワードスーツに磁気ブーツ、綿棒爆弾…。もはや骨董品と化したスパイグッズを蘇らせ、真っ赤でクラシックなアストンマーティン(現役世代はハイブリッド車一択…)でキメてます。

”アナログVSデジタル”の構図もコメディ的に最強、両者の永遠のギャップが自然な可笑しみを生んでる。ロンドンの街中で一般市民に危害を与え続けるVRのシーンは特筆もので、細部までよく練られてたー。コメディ史に残る名シーンと言っていいでしょう! ローワンの顔芸もアクションも老いてさらにキレキレだし、シュールな佇まいも円熟の味わい。”ディスコなダンス”でそのすべてを堪能してね。


続いて、豪華女優2名の無駄遣いが過ぎる件(笑)。まずはオルガ・キュリレンコ。イングリッシュを翻弄する謎の美女・オフィーリア役です。オルガは「007/慰めの報酬」における正真正銘のボンドガール。ダニエル・クレイグからのローワンって…、このギャップも相当おもろいけどさ。オルガが綺麗&優雅すぎてもったいないわ~。

無駄遣い2人目はエマ・トンプソン。サイバー攻撃の首謀者かもしれない賢くてイケメンなアメリカ人青年に色ボケを呈する、イタかわいいイギリス首相役です。口が悪くてキレやすい、いかにも国家(と世界)を危険にさらしそうなポンコツ首相を潔く演じていらっしゃる。コメディエンヌとしても完璧すぎる実力派…。あぁ、もったいないわ~。

正統派スパイ・アクションの見せ場もあったけど、コメディ部分に全神経を持ってかれて憶えてない(汗)。何も考えずにスッキリできちゃう最強の息抜きムービーでしたっ。ジャンル的にも穴だし、日本でもこの手のヤツを作ってほしいー。もちろん、志村けん主演で! 【東海ウォーカー】
【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「人魚の眠る家」(11月26日公開)の坂口健太郎!
おおまえ
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