”悪”から盗んで生き延びる少年窃盗団。”サバイバルな青春”が熱く切なく、爽快!<連載/ウワサの映画 Vol.60>
東海ウォーカー
少年犯罪の実情をつづったルポに基づく人気コミックスを映画化した「ギャングース」。自称「裏にも表にも行けないハンパな奴ら」な3人の少年が、再起をかけてあがきまくってます! 今、そこにある裏社会を暴くリアルストーリーדタタキ(=窃盗・強盗)現場”をハラハラMAXで描くエンタメ性、このバランスが新鮮。日本の最底辺でスパークする”サバイバルな青春”と、一段と冴えてる入江 悠監督のキャスティングに大興奮でしたっ。

主人公は、幼い頃から親の虐待に遭い、ろくに学校にも行けず、青春期を過ごした少年院で出会ったサイケ(高杉真宙)・カズキ(加藤 諒)・タケオ(渡辺大知)。少年院を出た後、社会に見放された3人が生き抜くためにつかんだ仕事は、犯罪者だけをターゲットにした“タタキ=強盗”稼業! ある日彼らは、偶然にも振り込め詐欺のアガリの隠し場所を知り、新たな標的に選定。それは”半グレ”系アウトローによる犯罪営利組織”カンパニー”として台頭する「六龍天」のアガリでした。組織にバレないように慎重にタタキを繰り返すも、あるきっかけから身元が割れて絶体絶命の状況に追い込まれてしまう3人…。「六龍天」のトップ・安達(MIYAVI)、番頭・加藤(金子ノブアキ)らの追跡が迫る中、3人は命と最底辺脱出をかけた大博打を打つことに…!


主役から脇役まで役者の使い方が実に上手い~。”役者”として輝いてるのよ、みんな。ネガティブにギラつく高杉真宙、どんな時も愛を放出してる加藤 諒、寡黙で懐が深い渡辺大知の主役3名は意外性も光ってる! 三者三様に体現する”痛み”が掛け合いにも活きて、誰が欠けてもNGな”連れ”感です。身分証明書も金もなく、閉塞感満点の廃バスに住んで同じ服ばっかり着てる3人。「ぜんぜんココから抜け出せねぇ!」とイラ立つ(主に真宙くん)のは、生きることへの切実な執着の反動でもあり、ヒリつかせると同時に生々しいパワーをぶつけてくる。3人が決意と絆を新たにする河原のシーン、良かったなー。

強力な脇役陣の中でもカリスマ性が突出してたのが、半グレ組織のトップ役のMIYAVIさん! 虚ろで妖しいまなざしに背筋が凍った…。パジャマ姿に油断してたら肉弾戦ではアホみたいに強くて驚きの連続。俳優としての底知れぬ可能性を感じました。そのMIYAVIの配下役というおいしいポジションの金子ノブアキの存在感には、もう「コレ系、似合うわぁ」の一言(笑)。さらに、主人公たちの情報屋役を省エネな声量と表情で巧演する林 遣都も「この脇役感、絶妙」の一言(笑)。入江監督の前作「ビジランテ」から続投の篠田麻里子らにも注目ですよー。


ユーモアもエグさも、「SR サイタマノラッパー」を思わせる抜群のトリオ感も、まさしく入江印。友情&成長のドラマあり、カーアクション&生身バトル炸裂のケイパー感もあり! 重い題材に寄り過ぎず、爽快感すら漂う青春エンタメに仕上げているんです。ちょいと脚本が粗いですが…、本作のスピード感にはちょうどいいのかも。

綿密な取材で裏を取ったストーリーが、自分のそばにいるかもしれないサイケたちの存在に気づかせる。ハイテンションに楽しませつつも、社会の景色が少しだけ変わる後味に唸る1本です。そこに常識はないけれど、未来への夢も描けない3人に残る純真に心をさらわれちゃった。この先も多難に違いないのに、寄り添って、最高の笑顔でメシを食らってる姿が忘れられないのよね。【東海ウォーカー】
【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」(11月23日公開)のエズラ・ミラー!
おおまえ
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