乃木坂46海外初単独ライブの裏に「君の名は。」中国ヒットの立役者
東京ウォーカー(全国版)

12月1日(土)より、人気アイドルグループ乃木坂46が中国・上海メルセデスベンツアリーナにて初のワンマンライブを開催する。そのなかで重要な役割を担ったのが、アニメやゲームなど、日本のエンターテインメントコンテンツを中国に展開するアクセスブライト。そこで今回は、同社代表取締役の柏口之宏氏を直撃し、乃木坂46の公演を共催するに至った経緯や「君の名は。」中国展開で培われた同社のノウハウについて話を聞いた。

RADWIMPSやきゃりーぱみゅぱみゅの中国公演も手掛ける
――早速ですが、乃木坂46海外初公演の実現にあたって、アクセスブライトが担った役割はどんなものでしょうか?
今回は、中国側と共催させていただいています。私共が行っているゲームや舞台、映画やコンサートなどの事業では、エージェント業務をしていると誤解されることがあるのですが、そうではなくて共催という形なんです。エージェント業務もゼロではないのですが、やっている比率はすごく低くて。これまでのRADWIMPSやきゃりーぱみゅぱみゅの中国公演も共催という形でやらせていただきました。
ちなみに、エージェント業務というのは、顔つなぎをして、あとは当事者同士でやってくださいね、というスタイル。契約後は知りませんと。私共はそういうのはちょっと、う~んと思っていて、魂を込めて、リスクを取って、主体的にコンサートならコンサートが終わる瞬間まできっちり責任を持ってやっています。ですので、そういったところで信頼して任せていただいているのかなと思います。
そんななかで私共は、日本人のコンサートは日本人がやった方がうまくいくよね、という面と、中国でやるなら現地の会社がやった方がうまくいくよね、という面を見て、契約・支払い・アーティストやスタッフに対する日本流のアテンド・ハイクオリティーな公式グッズの製作など、対日本周りの部分での仕事をさせていただいています。
一方、基本的に“集会”を良しとしていない中国では、コンサートの開催に関しても規制が多いので、公安・文化部・消防など諸々の調整を中国の法人がやっています。

“超訳”することで、コンテンツを中国に羽ばたかせる
――今回の乃木坂46の公演では具体的にどのようなお仕事をされているんですか?
例えば乃木坂46の公演でいうと、私共は「何を歌いたいのか」「MCで何をしゃべるのか」といったことをヒアリングし、中国語にして文化部に申請するという重要な仕事を担っています。中国では、政府が政治的なものが入っていないかチェックするんですが、RADWIMPSでいうと、1度目の公演では申請したうち3曲が通らなかったんですね。しかし今年は全部通りました。
歌詞を直訳するのは、中国語を勉強した人なら誰でもできるといえばできるんですが、我々は、シドニィ・シェルダンの超訳(原文の意味に捉われることなく意味を汲み取りながら翻訳し、さらにそれをブラッシュアップさせたもの)のようなノウハウで通したんです。これは、これまでのゲーム事業や、映画「君の名は。」、楽曲「前前前世」などを中国展開した際に培ってきたノウハウです。私共に任せていただければ曲が通る、そういったところにも価値を見出していただいているのかな、と自負しています。超訳するときは、ものすごくその作品を好きな人間、深いところまでその世界観を理解している人間に任せているところもポイントです。
中国人俳優・監督で日本コンテンツを現地に根付かせる試みも
――ほかにも日本コンテンツの中国展開のために、どんなことをしているのでしょうか?
1991年にSEGAに入社しまして、2006年に会社生活をやめてという、15年間の会社生活が私にはあったわけですが、最後の4年間にセガ・チャイナを設立して社長をしていたんですね。
そして、そのまま中国でアクセスブライトを起業し、中国に16年います。もともとのゲームのスキルを生かして最初はゲーム事業を展開し、その後「君の名は。」で初めて映画に進出して。これらゲームや映画では、メイドインジャパンの作品をそのまま持っていき、グラフィックを入れ替えたり、字幕を入れて吹き替えたりしてローカライズして(地域に根付かせて)きました。
一方で、IPは日本のものなんですが、映画化権、ゲーム化権をいただいて中国人のクリエイターの手で作品を作るというやり方のローカライズもあります。ちょうど今、当社では、中国人俳優、中国人監督で作る、このやり方での舞台制作も進行中。舞台ではこのやり方をすることで、現地で何度も公演できるというメリットがあるんですよ。出演者やスタッフたちが都市間を大移動するときのコストも抑えられますので。
旬なコンテンツを旬なうちに、「君の名は。」中国展開がきっかけ
――そして、コンサート事業に進出することになった経緯はどのようなものだったのでしょうか?
「君の名は。」の中国展開が主なきっかけです。「君の名は。」は、私共のノウハウで、ほぼリアルタイムで中国公開できたのですが、そのスピードが画期的だといわれていました。
このときちょうど、中国ではミサイル配備問題などで韓流アーティストを呼べないということになっていて、韓流で興行を打っていた私共のパートナーは困っていたんですが、「君の名は。」のヒットを受けて、その楽曲を提供していたRADWIMPSを呼ぶことが代替案として提案されたのです。そして、「君の名は。」の中国展開を担っていた私共が呼ばれたと。その出会いからコンサート事業に進出することになりました。
今後も、旬のものを旬なうちに持っていきたいと思っていますし、日本のアイドル文化・カワイイ文化を根付かせるために腰を据えて取り掛かりたいとも思っています。また、人を驚かせたいという自分の趣味の部分もあるのですが(笑)、“良いものを持っていくんだ”という使命感も原動力として動いていこうと思ってます。
中国の国家戦略に組み込まれたこともすべては積み重ね

実は、中国の次世代インターネット国家戦略を記す「国家戦略ロードマップ」という本に、「国家が重点的に推進していくエンタメ事業の中で“特に重要な会社”」として社名が掲載されているというアクセスブライト。TwitterもGoogleもFacebookも遮断されるなか、そこに“国家戦略”の一部として掲載されているのだ。「これは中国で起業したからというのが背景にもなっているんですが、これからも中国で安定的にサービスを供給していけるということ。中国で育てられたこと、中国で積み上げてこられたことで、こういうところに入れてもらえたのではないかな」と、柏口氏は話していた。
平井あゆみ
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