三浦春馬「今、俳優という仕事がどんどん楽しくなってきています」 まっすぐ前を見つめ挑んでいく、清々しい決意
関西ウォーカー
三浦春馬が、ロシアの文豪ドストエフスキーの傑作「罪と罰」の舞台に主演する。「世界中どこを探しても彼の他には考えられない」とオファーしたのは、気鋭の英国人演出家、フィリップ・ブリーン。難作と言われるこの作品にどう立ち向かうのか。稽古を控える三浦春馬が来阪して語った意気込み、そして今の自分とこれからへの想いを聞いた。<※情報は関西ウォーカー(2018年12月4日発売号)より>
ドストエフスキーの名作「罪と罰」を舞台化
2015年、出演をオファーした英国人演出家、フィリップ・ブリーンが日本での演出家デビューを飾った「地獄のオルフェウス」で三浦と出会った。2度目のタッグで三浦が演じるのは、自らの掲げる“正義”のために殺人を犯す主人公の青年・ラスコリニコフ。「罪と罰」は、数々の普遍的なテーマを盛り込みながら、人間回復への強烈な願望を訴えるヒューマニズム大作だ。共演者も、大島優子、勝村政信、麻実れいなど、文芸大作にふさわしい実力派キャストがそろった。
引き受けた動機は?
挑戦、だと思います。海外の宗教観も含めて、罪とは、罰とは何か。今まで自分が映像の世界でも板の上でも触れて来なかった感情や、人を殺めるという一線を越えてしまったキャラクターがどこに行きつくのか、とか。こんな役柄に出会うことは、自分の役者人生の中でもなかなかないことだと思うんです。しかも舞台で。そんな挑戦をしたかったし、そんな挑戦に寄り添ってくれるのがフィリップ。すごく信頼しているので、その期間を集中してこの役と作品に向き合える自信がありました。なので、お話を頂いて快くお受けしました。もちろん、やりたいです、すごく楽しみにしています、と。日本でやるならば主演を三浦にと、名前を出してくれたことをすごく光栄に思うし、応えなきゃならないって思います。フィリップがくれた信頼関係をまとっての挑戦ですね。
前作で経験したフィリップの稽古は?
僕達の実体験や、その時に生まれた感情を大切に見つめてくれるような演出をされるんです。そこに流れる時間がとても心地よくて、彼の話をいつまでも聞いていたいとすら思わせてくれるような稽古期間でした。フィリップによって、毎日が発見の連続でした。
「罪と罰」について
僕もそうですが、僕の友人にも「罪と罰」を読んでいる人が少なくて。フィリップが書いた脚本を読んだ時に、何の偏見もなく入れたのは良かったです。お客様が観ていて、楽しんでいただけるような構成になっていました。すごくわかりやすくなっています。とてもおもしろいストーリーで、原作の温度も残しながら、お客様の中に入っていくような構成になっていたと思います。
役づくりについて
自分と重なる部分は無いです。だから、かなり難しいと思っています。そして、何があっても人を殺めてはいけないと思います。ただ、人間的な行動が散りばめられているので、そこにどう自分を近づけていくかが、とても興味深い。この主人公は嫌われる対象になるかもしれないですけれど、最終的にはどこか憎めない、彼の更生した先を観客が望んでしまう、そんなキャラクターに絶対していきたいと思っています。
お客様へのメッセージ
稽古場で思う存分、毎日100%出し切って、燃えて、幕が開いた時にお客様にエネルギーの塊を作品全体から感じたと言っていただけるような、そんな熱を持って稽古に当たります。お客様に、なんか言葉にならないけど、すごいものを観に来れたんだな、という満足感を抱いていただけるような、そういう作品に誠意を持ってしていきたいと思います。
今の自分と仕事、そしてこれから
年齢を重ねて、今、俳優という仕事がどんどん楽しくなってきています。演じ方にもいろいろな方法がある、とか。おもしろい作品に恵まれているんですよ、ここ最近。僕は、映像も舞台もどちらも大事です。舞台大好き、ミュージカルも大好きです。だけど、30歳を超えて35歳、40歳になるに当たって、もっと自分が、そしてみんなが活躍できる舞台を、もう少し近いところで感じてほしい。若い子たちには、この舞台を観るためにバイト頑張った、とか、家族みんなであの舞台を観たよねっていう、思い出作りをもっと特別視してほしいという思いが個人的にあります。それが、もっともっと元気な演劇界につながっていけばいいな。そのひとつの歯車になりたいと思うからこそ、どんどんメディアにも出て、お客様を呼ばないと。だから僕は、ドラマにも映画にも出ます。今、やりたいことや目標がどんどん生まれて来ているので、それに向かってまい進して行きます。やったことのないもの、毛色の違うものなどに挑戦して行きたい。いい役者になりたいです。
大阪で行きたいところは?
以前、大阪で劇団☆新感線の公演を長い期間やらせてもらった時に、ユニバーサルスタジオジャパンに行きました。それが人生初のユニバーサルスタジオジャパンだったんです。でも、雨が降っていて、「ジョーズ」はサメが出てこないからって、閉鎖されてたんです(笑)。だから「ジョーズ」は見たいし、どんどん新しくなってるでしょ、ユニバーサルスタジオジャパン。今度は晴れた日に行きたいです。
■みうらはるま/1990年、茨城県生まれ。近年は、舞台「地獄のオルフェウス」、大河ドラマ「おんな城主 直虎」など多数の作品に出演し、活躍。17年に第24回読売演劇大賞優秀男優賞と杉村春子賞を受賞したブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」が19年に再演(5月19日(日)~5月28日(火) オリックス劇場、前売り19年1月19日(土))。映画は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」が12月28日(金)公開、19年は「アイネクライネナハトムジーク」などが控える。
■シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.5「罪と罰」
期間:19年2月9日(土)~2月17日(日) 会場:森ノ宮ピロティホール 原作:フョードル・ドストエフスキー 上演台本/演出:フィリップ・ブリーン 翻訳:木内宏昌 美術/衣裳:マックス・ジョーンズ 出演:三浦春馬、大島優子、南沢奈央、松田慎也、山路和弘、立石涼子、勝村政信、麻実れい、ほか 料金:11000円
問い合わせ:0570-200-888(キョードーインフォメーション) HP:http://www.bunkamura.co.jp>
高橋晴代・はーこ
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