お酢の歴史や醸造技術、地元・半田市の魅力が学べるMIZKAN MUSEUM
東海ウォーカー
名古屋から南へ30分、半田市に本社を構える大企業がある。酢でおなじみの「ミツカン」は愛知県半田市生まれの総合食品メーカー。1804年に創業した老舗企業の本社ビルの横、黒塀の蔵が並ぶ半田運河沿いにあるのが「MIZKAN MUSEUM」愛称「MIM」だ。


酢づくりの歴史や、醸造技術、ものづくりへのこだわり、食文化の魅力を五感でも楽しむことができる体験型の博物館。見学のためには事前予約が必要だが、大人も子どもも知的好奇心をくすぐる展示が目白押しで、週末を中心に大人気。名古屋観光の一環で訪れても絶対に損しない注目スポットをチェックしてみよう!
かつては造り酒屋だったミツカンが酢と出会うまで
ミツカンは、1804年に創業。酒粕酢醸造に成功した初代中野又左衛門が分家独立したことに端を発する。江戸に粕酢の売り込みを開始すると、当時江戸で流行していた「早ずし」ブームに乗る形で、又左衛門の粕酢は江戸前すしに欠かせないものとなっていった。

現在の寿司の原型とも呼べる「早ずし」に使われていたのは米酢。粕酢が持つ風味や旨味がすし飯に合うこと、そして当時高価だった米酢と比べてコストがかからなかったことも追い風となった。

ミツカンの魅力が学べる展示がいっぱい
全館見学コースにかかる所要時間はおよそ90分間。5つのゾーンに分かれており、酢の魅力だけでなく、地元・半田市の魅力、総合食品メーカーとしてのミツカンの歴史を学ぶことができる。
ゾーン1「大地の蔵」は江戸時代の酢作りや現在の醸造の様子を知ることができる空間だ。最初に目に飛び込んでくるのは、大きな醸造樽。

また現在の醸造過程を知る上で、創業当時の純酒粕酢を再現した「三ツ判山吹」の発酵過程の見学も可能。

ゾーン2「風の回廊」は、ミツカンがともに歩んできた半田の情景や人々の息吹を学ぶゾーン。フロアの中央は半田山車祭りで活躍する山車31台の法被をモチーフにした暖簾でできている。

その先に広がるのは、半田運河と黒塀の蔵が立ち並ぶ風景。のどかな時の流れを感じてみよう。

ゾーン3「時の蔵」に入るなり眼前に広がるのは大きな船。江戸時代に10日間ほどをかけて半田から江戸まで酢を運んだ弁才船(べざいせん)を再現したものだ。全長20メートル、重さ20トンと見た目のインパクトも十分。甲板に上がると、初代中野又左衛門が向き合った江戸までの船旅をアニメーションで楽しむことができる。

ゾーン4「水のシアター」はミツカンのグループビジョン・スローガンである、「やがて、いのちに変わるもの。」を表現したムービーを上映。続くゾーン5「光の庭」は、寿司や鍋料理にまつわる体験コーナーが充実しているゾーンだ。

ミツカンオリジナルの食酢飲料の試飲、すしに関するクイズコーナー、握りずしづくりを擬似体験できる「なりきりすし屋さん」のほか、自分の写真がラベルになる"My味ぽん"を作ることができる「味ぽんスタジオ」など、大人も子どもも夢中になってしまうこと間違いなし。

底知れぬ「開拓者精神」で総合食品メーカーとして成長
創業から200年を超えたミツカン、現在は総合食品メーカーとして確固たる地位を築いている。この成長の裏にあるのは、ほかならぬ企業としての「開拓者精神」。酢で培ったブランド力を維持するだけでなく、時代のニーズを先読みしながら新たなチャレンジを繰り広げてきた。

明治時代にはカブトビールというビール事業にも取り組んだほか、地域のために銀行を設立。昭和の時代に入ると樽売りからビン売りへのシフトチェンジを敢行し、近年は独自の発酵技術を生かして納豆事業に進出して成功を収めている。

変革と挑戦を繰り返して200年超、ミツカングループの歩んできた歴史を学ぶことができるMIZKAN MUSEUM。たっぷり満喫できる体験型博物館へぜひ足を運んでみよう。

山田瑠美
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