「目指したのは外にも繋がる“縁側”」大阪芸大の日本初学科の新校舎が完成!建築界のノーベル賞受賞の妹島和世が設計

2018年11月28日 18:35更新

関西ウォーカー 二木繁美

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大阪芸術大学 アートサイエンス学科 新校舎(大阪・河南町) の竣工記念イベントが、11月27日に開催。新校舎がお披露目され、客員教授による講演会や、パネルディスカッションなども行われた。新校舎は12月4日(火)まで、一般にも特別公開される。

上から見た新校舎。周りの環境と調和している

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新校舎の前で、関係者によるテープカットなどが行われた

大阪芸術大学前、芸大坂と呼ばれる坂を登り切ると、まず目に入る曲線が印象的な建築。建築界のノーベル賞と言われる、プリツカー賞を受賞した妹島和世による設計で、次世代型クリエイターのための実験と創造のラボラトリーとして、様々な人が集う公園をイメージした、地下1階、地上2階の鉄骨鉄筋コンクリート造の建物だ。

鉄筋コンクリート造の構造形式の1つである、フラットスラブを太さの異なる円柱で支え、耐震構造として、斜めのブレース(補強材)を建物の外周に配置することで、内部の広々とした空間を実現させている。周囲に調和しながらもインパクトのある建築。大阪芸大の新しいシンボルになりそうだ。

外周に配置された耐震構造の素材

1階には広々とした共有スペースの他に4つの講義室と教員研究室などがあり、2階には展示や実験、ミーティングなどにも使えるオープンテラスがある。地下には展示を行うギャラリーの他に、アートサイエンス作品の制作を行うスタジオがあり、3Dプリンターなど最先端の機器が揃う。

新校舎1階の共有スペース

新校舎2階のオープンテラス

新校舎地下1階の制作スペース

外にも繋がる大きなワンルームというコンセプト通り、あらゆる方向から出入りが可能

アートサイエンス学科は、2017年4月に新設された教育カリキュラム。サイエンスやテクノロジーを扱いながら、従来の芸術教育の枠を越えて、新たなクリエイターを育てていく。アートサイエンスという名称は、学科名として、文部科学省から初めて正式な認可を受けた。客員教授に米マサチューセッツ工科大学 MITメディアラボで活躍する石井裕、チームラボ代表 猪子寿之、ネイキッド代表 村松亮太郎など、豪華メンバーを迎えている。

この日は妹島氏のガイド付きで、報道陣への新校舎内覧会が行われた。ここでの新しい試みについて妹島は「ワンルームを作ると閉じた場所になりがちなのだが、(新校舎は)日本の縁側のように、外にも繋がる大きなワンルームとして設計した」と語った。天井に空いた無数の穴は、中がネジになっており「天井の穴にも、いろいろ吊り下げて展示にも活用できたら」と話す。

新校舎について語る妹島氏

妹島はアートサイエンス学科について「アートとサイエンスを感じさせる、新しい学科」とし、新校舎に関しては「既存の校舎との調和を大事にした。坂を上がってきて見たときに丘の一部と感じ、全体に一体的を持たせて、キャンパスになじむようにした」とし「新学科の人たちだけではなく、色々な人たちが立ち寄って、新しいアートの交流が生まれればいいと思う」と語った。

開放的な校舎は明るいが風が通り、直射日光が入らないので夏も涼しい

会見では猪子、石井、村松の3名の客員教授に対して、クリエイティブを生み出す事と、建築の関係について質問が飛び、石井は「開かれた空間の中で、色々なものが見えてインスピレーションが広がる。建築空間の意味は大きい」と語り、MITメディアラボでの例を挙げ「MITメディアラボの建物も、3階に立つと2階と4階のオープンラボが見えるなど、視覚的に刺激を受けやすい構造。中央の回廊でも出会いがある。個人的には、新校舎のスパイラルが気に入っている。どんな作品が作られ、どんなストーリーを語り始めるか楽しみ」と話した。

猪子は新校舎の印象を「アスレチックみたい」と語り「僕らも空間を大事にしている。できるだけ境界がないような設計を目指している。この建築にも通じるかもしれないが、うちのオフィスも立体的です」と話した。

村松は「物質的な環境だけではなく、インターネットなどが整っている今、若い子たちはツールはすでに手に入れている」とし「情報処理だけでやっていると、作ることが簡単になり、定番化してくる。自由闊達なイメージを自分の中で喚起できるような、こういうリアルな場があるというのは、いいことだと思います」と語った。12月4日(火)までの特別公開期間中は、教授、客員教授、生徒による、竣工記念展示も開催される。

左から猪子氏、石井氏、村松氏。新校舎に対する期待を語ってくれた

ネイキッドによる特別展示。壁面に投影された惑星に触ると、映像が変化するデジタルアート

■大阪芸術大学アートサイエンス学科棟 竣工記念展示

期間:11月27日(火)〜12月4日(火) 場所:大阪芸術大学 住所:大阪府南河内郡河南町東山469 電話:0721-93-3781(代表) 休み:12月2日(日) 時間:11:00〜17:00 料金:無料

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