本仮屋ユイカ「私の考える“演じる”という概念を全部リニューアルする可能性がある舞台だと思ったら、すごく前向きな気持ちになりました」

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舞台「みみばしる」主演!


舞台「みみばしる」で主演を務める本仮屋ユイカさん


開局30周年のラジオ局「J-WAVE」と創立10周年の「劇団ゴジゲン」によるプロジェクト、舞台「みみばしる」(作・演出/松居大悟 音楽監督/石崎ひゅーい)が19年2月6日(水)から下北沢 本多劇場で上演される。本仮屋ユイカさんは、その舞台で主演を務める。この作品に対する思いや見どころについて、お話を聞かせてもらった。

【写真を見る】本仮屋ユイカさん「今回の『みみばしる』では、これまでとは違うスタイルで参加できるんじゃないかと思い、より期待感が高まりました」


―舞台「みみばしる」の主演に決まった時の気持ちから聞かせてください。

「はい。いつもは、いただいた企画書やカバーレターを全部読んで、わからない箇所があれば、マネージャさんに『これはどういう意味ですか?』と聞くと、大抵は詳しいお話が聞けるのですが、この案件に関しては違いました。オファーしていただいた時、台本もなくて、ほかの出演者の方も決まっていないという状況だったので、誰も何もわからなかったんです。でも、なんか面白そうだし、やってみたいなと思いましたので、その意向を伝えてもらいました」

―全てまっさらで、どういう作品になるのかわからない段階でのオファーだったんですね。

「そうなんです。オファーいただいたすぐ後くらいに、ショートフィルムのイベント(「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2018」)の審査員をさせていただいたのですが、そのステージに松居大悟さんが登場されたんです。『あ、オファーしていただいた方だ!』って(笑)。私だったら、スポットライトを浴びて、たくさんの方に見られる時は、ちょっとでもよく見せようとか、こんなふうに見てもらいたいとか、無意識に力が入ってしまったりするんですが、松居さんはフワーッとステージに現れて、そのまんま立っていたんです。その佇まいが印象的でしたし、このイベントに出演されている方はみんな、『これが最高だ!僕たちはこれがやりたいんだ』みたいな気持ちで、松居さんもそのひとりなので、運命というか、縁を感じました。女優というお仕事は、作品のプロットが決まって、台本などが出来上がり、美術さんや演出の皆さんが作ったものに最後に乗っかっていく職種だと思うんですね。でも、今回の『みみばしる』では、これまでとは違うスタイルで参加できるんじゃないかと思い、より期待感が高まりました」

「舞台の初日は来年の2月6日(水)ですけど、舞台自体はもう始まっているんです」


―ほかの出演者の方はオーディションで選ばれたということですが。

「はい。先日、皆さんにお会いすることができました。稽古が始まる1カ月近く前に顔合わせをするというのもあまりないことですし、演劇をされている方もいらっしゃいますが、学生の方や看護師、庭師の方など、普段お芝居をされていない方もいて、それもこの作品の面白いところだと思いました」

―出演者が決まっても、まだ台本はできていないわけですよね。

「そうなんです。この後、松居さんにお会いするので『まだ?』って聞いてみます(笑)。いつもは、自分の中で『この作品はこういうゴールだろうな』というのをイメージして、そこを目指して走っていきますが、この作品に関しては『ゴール設定ができないんだ』とわかった時、『どうしよう?』と少しパニックになりました。でも、目指すところがないというのは、自分の中のあらゆる“枠”が壊れていく可能性がある。壊せる可能性があるんだなと思ったんです。私の考える“演じる”という概念を全部リニューアルする可能性がある舞台だと思ったら、すごく前向きな気持ちになりました」

―松居さんやほかの出演者の方と一緒に、作品を作っていくという感じですね。

「はい。松居さんのラジオ番組『JUMP OVER』でこの舞台の今の状況を伝えてくれます。リスナーの方のエピソードも台本に取り入れるそうなんです。それ、ラジオを聞いていて知りました(笑)」

―本仮屋さんもリスナーの方が知るのと同時に情報を知ったのですか(笑)。

「そうなんです。ラジオ番組を“稽古場”と呼んでいるんですが、上演まであと2カ月ぐらいですが、ここからでも参加することが可能なんです。送ったエピソードが採用されれば、参加したことになりますし、番組で採用されなかったとしても、送られてきた全てのエピソードに松居さんは目を通すらしいので、もしかしたらその中からも使われるかもしれません。そう考えると、舞台の初日は来年の2月6日(水)ですけど、舞台自体はもう始まっているんです。劇団員の数は、出演者の人数(21人)じゃなくてリスナーの数…、いや、このインタビュー記事を読んだ方、この舞台があることを知った方も劇団員になりますので、まだまだ増えていきます(笑)」

―本仮屋さんは、松居さんのことや松居さんがやろうと思っていることをすごく理解されているように思えますが。

「私もそう思っていましたが、この前、『いやいや、まだ100分の1も見せてねぇ』って言われました(笑)」

―そうでしたか(笑)。まだまだいろんな面が見えてくるのかもしれないですね。

「それも楽しみです」

「私は、いい方向にかんちがいしようと思いました」


―フライヤーに書かれているコピー「人生なんてぜんぶかんちがい」も印象的です。

「その言葉、すごく好きです。私は、いい方向にかんちがいしようと思いました。どう勘違いしても自分の勝手だから、自分で「これはこうなんだ」って決めてもいいんじゃないかなって思うんです。今のご時世って、すごく人の目が気になったりしますし、『空気を読む』とかも含めて、気にした方がいいという雰囲気じゃないですか。でも、そういうのを超えて行こうよ!って思うんです。『自分が感じる、どうにもできない“衝動”に向かって走り出しちゃったよ』という話が、『みみばしる』になるんじゃないかなって私は思っています。“耳”って、受け身の器官ですよね。でも、その耳が走っちゃうくらい、自分が抑えられなかったり、自分を変える瞬間のお話なのかなって」

―「みみばしる」というタイトルから、本仮屋さんはそのようなイメージを築かれた、と。

「はい。でも、これは私の予想というか、妄想です。全く見当違いの“かんちがい”かもしれません(笑)」

―もし、本仮屋さんの“かんちがい”だったとしても、ラジオのリスナーのエピソードを採用しようとしている松居さんなので、この記事を読んで「そういうのもありかも」と思われるかもしれませんよ。

「可能性はありますね。今回の作品、実は舞台だけではないんです」

―と言いますと?

「ラジオ番組から派生して、舞台が行われるわけですが、それだけじゃなくて、J-WAVEさんとテレビ朝日さんとAbamaTVさんとでコラボすることも決まりました。それで、年末にテレビ朝日さんで『平成ばしる』(12月28日0:20〜 ※関東ローカル)というドラマが放送されるんです」

―TVドラマとして放送されるんですか。

「はい。私も少し出させていただきます。そのドラマの台本によると、私は“たえこ”という名前の会社員で、ラジオのリスナーなんです。なので、このドラマを見た方が、その内容を踏まえて『舞台ではこういう展開が見たい』とラジオにリクエストすると反映される可能性があるわけです」

―ラジオ、舞台、テレビと、メディアの枠を超えた作品になるわけですね。

「そうなんです」

「ラジオは今という時間を共有できるツールだと思っています」


―本仮屋さんにとって、ラジオはどんなメディアですか?

「ラジオは今という時間を共有できるツールだと思っています。声が近く感じるのもいいですね。電話で話している時のような親近感や親密さが感じられるので大好きです」

―では、舞台はどうですか?

「舞台は『生きててよかった』と感じられる場所。撮影してから見てもらって感想をいただくまでにどうしてもタイムラグがありますが、舞台だと、ダイレクトに拍手をしてくれたり、笑顔が見られたりするので、それが舞台の醍醐味だと思いますし、大きな魅力だと感じています。あと、最初から最後まで一気に演じられるのも舞台の好きなところです」

―「みみばしる」の話に戻りますが、音楽監督が石崎ひゅーいさんというのも楽しみな要素のひとつです。

「ポスターなどのビジュアル撮影の時にお会いしましたが、すごくピュアで優しい方でした。その時も演奏するふりじゃなくて、本当に演奏してくださいました。松居さんが『弾いてくれますか?』とお願いしたら『いいっすよ』みたいな感じで、全然気取ったり構えたりせずに、自分のパフォーマンスをすぐにマックスでやれるという懐の深さに感動しました」

「新しいけれど、もしかしたら、こういうスタイルがこれからのスタンダードになる可能性がありますよね」


―話を聞いて、より興味を持ちましたが、「こういう作品だから面白いよ」と誰かに勧めたり、説明したりするのは難しそうですね。

「そうなんですよ」

―もし、本仮屋さんが友人に勧めるとしたら、どう話しますか?

「舞台が作られていく様子や経過が毎週ラジオで聞けるので、進捗もわかりますし、制作の裏側もわかります。何より、あなたの意見が『みみばしる』を変えるかもしれません。今からでも参加できるというのは大きなポイントですね。さらに、まだ台本がない状態なので、誰も『こうなるだろう』という予想をできていないわけです。ということは、これまで見たことのないものが見られる。みんなの『こんな感じだろう』という枠や型がはずれると思うんですね。そういう気持ち良さも、演劇だから体験できることなので、多くの方にそれを体験してもらいたいです」

―全てが新しいですね。

「新しいけれど、もしかしたら、こういうスタイルがこれからのスタンダードになる可能性がありますよね。いろんなメディアの垣根がなくなってきていますし、発信者と受信者の境界線もなくなりつつあって、それぞれが手をつなげるチャンスが増えてきているので。そういう意味では先駆的な作品になると思っています。これが“前例”になるといいなって。こんなお話で大丈夫ですか?」

「大事なことなのでもう一度言いますが、もうすでに始まっています(笑)」


―今、本仮屋さんに話していただいた作品の情報の断片を、頭の中でつないでいるところです(笑)。

「そうなりますよね(笑)。私が今お話ししたことは実際とは全然違うかもしれません。でも、私はこうやって“かんちがい”したいんです。この作品を見ていただけたら、きっと価値観が変わります。陸上競技に例えると、私はトラックを走るのが好きなタイプなんですが、『トラックからはみ出して、競技場の外に飛び出していいんだよ』と言われているような気がしていて、いつもとは違う景色を楽しむのもいいかも、と思い始めています。ですから、みなさんも『こうじゃなきゃいけない』という思い込みや型を取っ払って、この舞台を楽しんでいただきたいと思っています。大事なことなのでもう一度言いますが、もうすでに始まっています(笑)」

撮影=槇野翔太 取材・文=田中隆信 ヘアメイク=平林輝之(アルール) スタイリング=ナカイマサコ

■舞台「みみばしる」

J-WAVEが開局30周年プロジェクトとして、創立10周年を迎える松居大悟率いる「劇団ゴジゲン」とコラボし、ラジオと舞台によるプロジェクトを開始した。松居がナビゲーターを務めるラジオ番組「JUMP OVER」(毎週日曜23:00〜23:54)を“稽古場ラジオ”と題し、創作の様子をリスナーに発信。さらに、リスナーの声を創作に反映させたり、舞台作品のロゴマークの選定からオーディションまで、舞台制作の過程を公開しながら、リスナーと共に本多劇場のステージを目指している。主演を務めるのは本仮屋ユイカ。音楽監督として石崎ひゅーいが参加。

作・演出=松居大悟 音楽監督=石崎ひゅーい 出演=本仮屋ユイカ、市川しんぺー、祷キララ、工藤真唯、小松有彩、鈴木翔太郎、鈴政ゲン、タカハシマイ、玉置玲央、仲山賢、奈良原大泰、日高ボブ美、藤井克彦、前田航基、三浦俊輔、宮平安春、村上航、目次立樹、本折最強さとし、ゆうたろう 歌・演奏=ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS)

【東京公演】会場=下北沢 本多劇場 期間=19年2月6日(水)〜17日(日)※2月6日はプレビュー公演

【福岡公演】会場=久留米座 期間=19年2月23日(土)・24日(日)

【大阪公演】会場=近鉄アート館 期間=19年3月1日(金)〜3日(日)

ウォーカープラス/週刊東京ウォーカー+編集長 野木原晃一

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