大泉 洋が渾身の演技で伝える!「他者と全力で向き合うと、人生は輝く!」<連載/ウワサの映画 Vol.65>
東海ウォーカー
泣いて笑って、年末年始にほっこりできそうな実話ベースの感動作「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」。体の不自由な男性と大勢のボランティアが織り成す日常が、大変なのに充実してそうで、仲間に入れてほしくなっちゃった。たまに憎たらしい大泉 洋の”素直さ”が、タイトル通りに愛しくて! 高畑充希&三浦春馬を交えた3人の空気感も絶妙にあったかかった~。

舞台は1994年の北海道札幌市。鹿野靖明(大泉 洋)は幼い頃より難病の筋ジストロフィーを患い、34歳になる今では動かせるのは首から上と手だけ。24時間365日介助がないと生きていけない体ながら、彼は、病院を飛び出して市内のケア付き住宅で自立生活を送っています。わがままで自由すぎる鹿野を介助するのは、鹿野自らが集めたボラ(ボランティアの略称)たち。医大生の田中(三浦春馬)も、ボラの1人として鹿野に振り回される毎日です。そんなある日、田中の恋人・美咲(高畑充希)を新人ボラと勘違いし、彼女に一目惚れしてしまう鹿野…。彼の奔放な性格に戸惑っていた美咲も、鹿野やボラたちと過ごすうちに、自分に素直になることや夢を追うことの大切さを知っていくのでした。しかし、そんな矢先に鹿野は突然倒れ、命の危機を迎えてしまい…。

お涙頂戴の闘病記ではなく、”人と人の関わり”についての普遍かつ深いお話でしたねぇ。一秒を真剣にまっすぐに生きる主人公が、周囲の人々を変えていくっていう。モデルとなった鹿野さんは、在宅福祉制度もない1980年代前半から、総勢500名のボラに介助方法を教えつつ約20年間の自立生活を送った挑戦者。当時は医療行為とされていた痰の吸引までをこなすボラたちと、時に衝突しつつも固い絆を結んでいったんですね。障がい者に対する世間の意識も低かった時代背景を思うと、もはや偉業です。

女性ラボに囲まれて「ハーレムデーだ」とご満悦か思えば、「筋ジスなめてんのか~」とキレる…。鹿野さんと同じ北海道出身の大泉 洋がとにかく当たり役! トボけた佇まいの無茶ぶりキャラがハマる役者、彼しか知らないです(笑)。ほんわかとした恋心や、病気の進行に伴い弱っていく姿を体現する”表情としゃべくり”が光りすぎ! 「何がしたいんだ、何が大事なんだ」と田中(三浦くん)に詰め寄り、「英検2級を取ってアメリカに行く」と夢を語る、ダイナミックな人生哲学にもホレちゃうわぁ。

やりたい放題に見える主人公ですが、お母ちゃんへの密かな思いやりが泣きポイント! 「自分(=母親)の人生を生きてほしい」っていう主人公の願いが、ボラの世話になる選択につながったわけで。「ババァ、帰れぇ」と悪態をついてたのに、ついに声を失った時に母の手をギューっと握る...。その姿には愛しかなかった(涙)。

そして、現実に即応する”ナチュラル演技”の充希ちゃんもキュートだった! 「障がい者ってそんなに偉いの? 何言ってもいいわけ?」と反発しながらも、鹿野の理解者として心を開いていく姿が超さわやかで。逆に、美咲の恋人役の三浦くんは、内に秘めて揺れる青年像を繊細に演じています。主人公が大きな影響を与える、若者2人の成長物語も見どころですよー。

「自分の人生を生き抜くことが第一でいいじゃん?」って思わせる大泉さんの好演を観てると、”わがまま言う”&”イヤなら断る”がもっと気楽にできそう。本音で人と向き合うことが人生の醍醐味な気もしてきた…。「人はできることよりできないことの方が多い!」って、名セリフだねっ。【東海ウォーカー】
【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「未来を乗り換えた男」(1月12日公開)のフランツ・ロゴフスキ!
おおまえ
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