いまさら聞けない!3年間で寄付額9倍に急増のふるさと納税は何がおトク?
東京ウォーカー(全国版)
自治体に寄付をする代わりに、所得税の還付や住民税の控除が受けられ、さらに返礼品を受け取ることができる「ふるさと納税」。年を追うごとに利用者が増えており、お礼品の種類も多様化している。
そのいっぽうで、「簡単に利用できるの?」「何か面倒な手続きが必要なのでは?」といった疑問もわく。何を隠そう、記者もこれまでふるさと納税を利用したことがない人間だ。
そこで今回、ふるさと納税サイト『さとふる』の坂平さんに利用方法や、ふるさと納税の現在について話を伺った。

ふるさと納税の寄付額は3年で9倍に!
そもそも、ふるさと納税とは一体何なのか『さとふる』の坂平さんにうかがった。「ふるさと納税は2008年度から始まった制度でして、納税と言いますけれど寄付のことです。応援したい自治体に寄付をすることで地域貢献につながり、さらに地域の特産品をお礼品としていただくことができます」とのこと。納税方法のひとつではなく、本来居住地に支払う税の一部を他の自治体に寄付をするため最終的に寄付した金額に応じて税額控除を受けられる、ということのようだ。
とはいえ、寄付をしたら返礼品が貰えるというのはとても魅力的。「平成26年以降、ふるさと納税制度を利用される方がグンと増えまして、今年の7月に総務省が発表した調査では、全国の寄付受入額が3年間で9倍以上の方に急増していることが分かりました」という。
ふるさと納税が広まったのは2011年に発生した東日本大震災の復興支援がきっかけ。その後2013年~2014年ごろからお礼品を出す自治体が増えてきたことがメディアに取り上げられ、爆発的に利用者が増えたと坂平さんは分析する。
1万8000円のお礼品が2000円でもらえる!?
寄付のコースは、自治体によって様々。中には10万円を超えるものもある。しかし、多くは1万円~3万円。ちょっと利用してみようかな、というにはいい金額ではないだろうか。ふるさと納税サイトを利用する場合、お礼品から納税先を選ぶこともできるので、利用方法は簡単だ。しかしここで気を付けなければならないことがある。それは、控除される金額には上限があるということだ。
「例えば年収500万円の方で独身または共働きの方は6万円まで、というように、収入と家族構成などで控除金額が変わります。『さとふる』では、サイト内に簡単シミュレーションページを設けていますので、ここで目安がわかります。」と坂平さん。ここでおおまかな控除上限額がわかれば、その金額を超えない範囲での寄付がしやすくなる。
この控除上限金額とは、寄付した金額から2000円を引いた額が、全額所得税から還付・住民税から控除される金額のこと。
「たとえば1万円寄付した場合、8000円がその年の所得税から還付、または翌年の住民税から控除されます。よって自己負担金は実質2000円になります」。
目安としてお礼品の金額は寄付金額の3割までとされているので、6万円のふるさと納税を行った場合、そのうち5万8000円分は税額が控除され、1万8000円相当のお礼品を、実質的に2000円で手に入れることができる場合もあるというわけだ。

総務省から通知が来るほどの過熱
聞けば聞くほどお得尽くしに思える制度。当然、ふるさと納税が普及していくうちに自治体同士でいかに高い返礼品を出すか、という競争が起きることになる。地場産品ではない商品をお礼品として用いたり、お礼品が価値を寄付金額の3割以上のものにするなどだ。それに歯止めをかけるべく、2018年9月11日、野田総務大臣がふるさと納税に関わる制度見直しの検討を示唆した。具体的には「過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討することといたしました。」(総務省HPより引用)というものだ。
この事について坂平さんは「もともと、過度なお礼品と指摘されているのは、ごく一部の自治体様であり、サイトでも少数です。弊社では今後も一つ一つの自治体様とこれまで通りコミュニケーションをとりながら対応していきます」と話す。
申請の方法は2つ
そして気になるのは、具体的な税額控除の仕組みだ。この手続きをしなければ、ふるさと納税を十分に活用することはできない。この控除を受けるためには2つの方法がある。
「地方自治体に寄付を行いますと、お礼品が届いた後、しばらくすると、寄付を証明する『受領書(寄付金受領証明書)』が自治体から郵送されます。年が明けて確定申告の際にをする際にその受領書を添付し手続きすれば、所得税の場合は当年分から、個人住民税の場合、翌年6月以降分から減額されます」と坂平さん。これがもっともポピュラーな方法だ。

しかし、税務署で確定申告をするのは面倒、という方もいることだろう。そこで誕生したのが「ワンストップ特例制度」だ。
「ふるさと納税を利用した後、ワンストップ特例申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)とマイナンバー提供に必要な本人確認書類(番号確認と身元・実在確認の書類)を寄付先の自治体(ふるさと納税先団体)に郵送します。あとは寄付を受けた自治体と住民票のある自治体同士が手続きを行い、翌年度分の住民税が控除されます」。この方法を利用すると、確定申告を行わなくても税控除の申請が済ませることができるというわけだ。
ただしワンストップ特例を受けるには、1月10日必着の申請締め切りと、5自治体までという制限がある。また確定申告の場合は年に1回だが、ワンストップ特例制度の場合は寄付のつど申告が必要なので、寄付回数の少ない方に適しているだろう。
ふるさと納税のピークは12月!計画的な運用を
ふるさと納税は、その年の収入が分かる12月に利用が集中する。その際に食料品を注文すると、大量の食物が一度にやってきてしまうケースが多いという。坂平さんは「さとふるでは、例えば今年の12月に寄付して来年4月から12月に届くお礼品特集といったものも行っています。また、季節ごとに特集を行っていますので、こちらもチェックしてみてはいかがでしょう」とのことだ。

納税、という言葉とはイメージが異なる「ふるさと納税」。ワンストップ特例制度なら簡単に利用ができるので、ぜひ生活に活用して地方活性化に貢献してみてはいかがだろうか。
栗原祥光
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