温泉好き必見の注目資格「温泉ソムリエ」ってどんなもの?
東京ウォーカー(全国版)

「温泉ソムリエ」という名前を耳にしたことはあるだろうか?
温泉ソムリエ協会が実施する「温泉ソムリエ認定セミナー」を受講すると認定される資格であり、すでに2019年12月現在で、認定者の数が1万8000人以上になるという、今注目の資格だ。
冬の温泉・スーパー銭湯めぐりをより楽しむため、何か“足がかりになるもの”を探していた筆者がふと出合った「温泉ソムリエ」資格。その認定セミナーへの参加レポートをお届けする。
2018年12月の東京・八王子駅前。駅から徒歩数分の場所で「温泉ソムリエ認定セミナー」が開催された。4時間の座学と聞き、気合を入れつつ緊張の面持ちで到着すると、受付で分厚いテキストとプレゼントの湯めぐり用タオル・湯浴み着を受け取った。タオルには「温泉ソムリエの入浴五か条」が記載されているらしい。
こじんまりした教室内には、すでに着席している人々の姿があった。数えてみると、男性6人の女性が10人と、女性がやや多め。年齢層は幅広く、年配の男性から若い女性まで。温泉ファンが老若男女にいることを実感する。
講師を務めるのは、温泉ソムリエ師範・桜井一正氏だ。桜井氏の軽妙でテンポの良い自己紹介・導入からセミナーがはじまった。
温泉の定義から講座がスタート
まず、最初の50分は「温泉とは?」がテーマ。温泉の定義は、温泉法という法律によって定められているのだが、そこでは、「地中からゆう出する温水、鉱水および水蒸気その他のガスが、25℃以上であること、または含有成分に関する19の特定条件のうち1つ以上規定値に達しているもの」とされているという。
つまり、温泉の中には気体もあれば、特定の含有成分を含むが冷たい温泉、含有成分を含まないただの温水も存在する、ということだ。また、温泉の泉質名の表記には、温泉法とは別に「療養泉」としての規定値があり、こちらも条件を満たす必要がある、とのこと。
出だしから興味を惹かれる内容で、受講者一同、熱心にメモを取る手が止まらない。
意外と知らない「正しい入浴法」
続く50分のテーマは「正しい入浴法」。ここで、お風呂が原因とされる死亡者が、年間でなんとおよそ2万人もいるという話が。寒いところから急にあたたかい湯に入ると血管への負担が大きくなり、結果として悲劇に至るケースが。そのため、脱衣所をあたたかくするなどの対策が必要だという。また、入浴前には必ずかけ湯をすることも重要だ。それもいきなり肩から背中にかけるのではなく、心臓から遠い足先からはじめるのが正解なのだそう。
そして、長湯が得意な人も、すぐにのぼせてしまうという人も、一気に長湯をせず「分割浴」をすべし! というのが温泉ソムリエの正しい入浴法だ。
いよいよ温泉分析書の読み方のレクチャーが!
3時間目のテーマは、いよいよ「泉質名のつき方」だ。テキストに掲載された実在の温泉分析書を見ながら、記載の泉質名が、どういう規定値をクリアして掲載されているのかについて丁寧に検証していった。日頃、文系一直線で生きてきた筆者にとって、一朝一夕には理解するのが難しい内容であったが、温泉分析書を理解できるようになると、温泉をもっと満喫できるようになるという。
たとえば、濃い温泉は「強い薬」のようなもので、長湯をして「湯あたり」してしまうこともある。また療養泉の規定値にわずかに達しておらず泉質名がついていなくても、温泉分析書の読み方を知っていたら、ほぼ効果が期待できる温泉であると判断することもできるようになる。
まとめでは湯めぐりの楽しみ方を丁寧に解説
ラストの50分は、ここまでのまとめと質問の時間。全国にある有名な温泉とその特徴について桜井氏が語ると、受講者がより一層前のめりになった。温泉と一口に言っても、加水や加温されていたり、逆に源泉かけ流しや秘湯と呼ばれるものなど、実にさまざま。女性に人気の「美肌の湯」についても、成分によっては逆に乾燥の原因となることもあるから入浴法には注意が必要なのだとか。その中で正しい入浴法を守りながら、火山国で温泉が豊富な日本で温泉を無理なく楽しんでほしい、と桜井氏は言う。
こうしておよそ4時間のセミナーが終了し、各自認定証を受け取ってめでたく温泉ソムリエとなった。泉質や成分についてまだまだ勉強したい点はたくさんあったが、温泉ソムリエは温泉に行ってこそ活躍できるというもの。次回温泉地に赴いた際には、温泉分析書を見て、泉質や特徴についてしっかりとかみしめつつ、正しい入浴法を守って健康的に温泉につかりたいものだ。
宗田昌子
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