みつけだせ!僕らの最高のマネージャー!!「福岡教育大学管弦楽団」

2019年2月20日 10:00更新

九州ウォーカー 山本真己

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部員たちを支えるキラリと光る“最高のマネージャー”を発掘する連載。今回は「福岡教育大学管弦楽団」です。今回はマネージャーとしてではなく、部長として楽団を率いる榎 日向(えのき・ひなた)さんの登場です。

福岡教育大学管弦楽団の部長 榎日向(えのき・ひなた)さん

福岡教育大学管弦楽団の部長 榎日向(えのき・ひなた)さん

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壇上に立って団員たちに連絡事項を伝える榎さん

壇上に立って団員たちに連絡事項を伝える榎さん

今日は「指揮者トレーニング」!

3月には定期演奏会をひかえている管弦楽団のみなさん。この日は「指揮者トレーニング」。東京混声合唱団でコンダクターインレジデンスをつとめる水戸博之氏を招いての2度目の練習日です。

東京混声合唱団 コンダクターインレジデンス 水戸博之氏

東京混声合唱団 コンダクターインレジデンス 水戸博之氏

「前回は初回なので『まずは音を出してみましょう』という所から始めましたが、形になるのがとても早かったです。こちらがやりたいようなテンポとか、色々な表情というものをどん欲に汲み取ろうとしているのが、すごく伝わったので、これからイイものが作れそうだと感じました」(水戸氏)

【写真を見る】福岡教育大学 管弦楽団のみなさん

【写真を見る】福岡教育大学 管弦楽団のみなさん

各パートの演奏者たちが揃うと、1stヴァイオリンを担当しコンサートミストレスをつとめる榎さんが立ち上がり、演奏前のチューニングがおこなわれます。演奏全体を取り仕切り、作品を作りあげていくのはもちろん指揮者ですが、コンサートミストレスは指揮者の意図をくみ、サポートしていく役割です。ほどなく水戸先生が入られると、室内の空気は一層引き締まります。榎さんと握手を交わした水戸先生の“振り下ろし”で本日の練習が始まりました。

水戸先生の話に耳を傾ける榎さん

水戸先生の話に耳を傾ける榎さん

「吹奏楽」と「管弦楽」の違いとは?

いわゆる「オーケストラ」とは「管弦楽団」の事を指します。弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器といった様々な楽器で編成されるオーケストラ。一方「吹奏楽団」は金管楽器と木管楽器を主体とし、弦楽器は、ほとんど居ない編成。次回の定期演奏会が節目の50回を数える“福教オケ”。記念の演奏会に向けてこれから練習を重ねていきます。水戸先生に楽団への期待感を語ってもらいました。

「アマチュアや学生のオーケストラは、ある意味プロ以上に大胆に思い切ったことができる、と思います」(水戸氏)

「アマチュアや学生のオーケストラは、ある意味プロ以上に大胆に思い切ったことができる、と思います」(水戸氏)

「大事なのは『答え』ではなくて、作曲者の意図を最大限汲み取ろうとした結果、産み出されたものに説得力があるかどうか?です」(水戸氏)

「大事なのは『答え』ではなくて、作曲者の意図を最大限汲み取ろうとした結果、産み出されたものに説得力があるかどうか?です」(水戸氏)

「今日練習する曲も、僕にとってはズーッと、やってきたレパートリーだったりするんですよ。でも、彼らの中には初めての人も多いだろうし。僕らにとっての常識が別に何もない訳です。彼らの冒険心から新しいものが見えてきたり、これまでを疑ってみたり。彼らのおかげで作品が、曲が、自分にとってはこれまでと違った角度から見られて、より面白くなったりとか。だから、彼らから、この曲については教えられる、っていうこともあると思います」(水戸氏)

「まだ、どうしても学生たちは指示を待っているところがあるので。自らのアイデアとか工夫をもっとぶつけてきてもらいたいです」(水戸氏)

「まだ、どうしても学生たちは指示を待っているところがあるので。自らのアイデアとか工夫をもっとぶつけてきてもらいたいです」(水戸氏)

みんなをまとめていく事

部長の榎さんにとっても定期演奏会は年に一度の晴れ舞台。「今回は50回記念というのもあるので、みんなにとって、とっても特別なものです」中学高校とバスケットボール部、中学時代はキャプテンもつとめた榎さん。同時に習い事として続けてきたヴァイオリンを弾くために大学では管弦楽団に入りました。

「音楽は好きで、ずっとヴァイオリンとピアノを続けてきました」(榎さん)

「音楽は好きで、ずっとヴァイオリンとピアノを続けてきました」(榎さん)

「中学校のバスケ部では、先生から言われた事をやって、みんなをまとめたらいいのかな?みたいな所があったんですけど、この管弦楽団では、先輩たちからの引き継ぎ資料とかを見ながら、自分たちにどんな事が出来るのか?っていうのを話し合って決めてます。今、団員が48人いるので、まとめるのが大変です(笑)。今の自己採点は50点くらい(笑) いつも団員やそれぞれの役職のみんなに協力してもらっているので、部活の運営ができていると思います」

渡邊未知子さん(右)はインスペクターという役職。榎さんと協力して部を運営している

渡邊未知子さん(右)はインスペクターという役職。榎さんと協力して部を運営している

榎さんは初等教育教員養成課程の3年生。小学校教員の免許状を取得する課程で学びながら、併せて中学校音楽の教員免許状も取得すべく学生生活を送っています。

「私が、小中両方の免許状を取ろうとしているので、練習しなければいけない曲が多かったりすると発狂しそうになったり...(笑) でも、そういうのをココで見せると『どうしたのかなー?』ってなるから、そういう所は見せないように気を付けよう!と心掛けてます。出来てるかは、わからないんですけど(笑)」

緊張感と笑顔が交差する練習風景

榎さんが1stヴァイオリンを担当する曲の練習が開始。水戸先生は演奏を聞きながら、必要に応じて止め、各パートの演奏者たちに細かく指示を与えていきます。

水戸先生の熱のこもった指導

水戸先生の熱のこもった指導

「7番の4小節目の3拍目の吹き方ですけど...」「8番の前の2小節、より遠くから聞こえる感じで」「もっと歌うように!」といった指示に対応して団員たちは各自の譜面にメモをとっていきます。榎さんは演奏中も、水戸先生の指揮を注意深く観察し、合間では団員たちと意見交換をしていきます。

「前に立つ人っていうのは、どこか突き抜けて輝いているとか、明るさを持っていたりだとか、そういうものが必要だと思うんですけれど、彼女にはそれがあります」(水戸氏)

「前に立つ人っていうのは、どこか突き抜けて輝いているとか、明るさを持っていたりだとか、そういうものが必要だと思うんですけれど、彼女にはそれがあります」(水戸氏)

緊張感がみなぎる練習風景ですが水戸先生はときおり「この曲に流れているのは、どんな感情ですか?」「音を遠くに飛ばすイメージです。ここは野球部出身の人とかいるんですか?」「ホラー映画好きですか? ゾンビ映画は?」といった問いかけを団員たちにむけます。瞬間『エッ!?』と思わせるこのような質問は、団員たちの笑顔を呼び込み、空気を和ませます。そして、その質問に対する答えをくみ上げ、楽曲への理解度を高めていきます。

「今日はこの後、懇親会があるので、呑もう!腹を割って話そう、と(笑)」(水戸氏)

「今日はこの後、懇親会があるので、呑もう!腹を割って話そう、と(笑)」(水戸氏)

「問いかけて、答えてもらうような空間も作らないと、言われたことだけやる時間になっちゃうんですよ。もちろん、そうやって揃えるところも必要なんだけれども、比喩的なことを言って、想像するじゃないですか?『どういう感じだろうそれは?』と。細かいところが分かってゆけば、なんとなく全体のストーリーが見えてきますよね。ここがそういう感じだったら、ここはこうだろうか?という風に段々リンクしていく。そうすると全体が見えてくる」(水戸氏)

団員たちとの意見交換

団員たちとの意見交換

緊張感を持続させながら、演奏者たちのアイデアを引き出し、より良い演奏を形づくるための濃密な時間が流れていきます。この日は10時から15分程度の休憩と昼食をはさみながら、17時まで練習が続きました。みなさん、お疲れ様でした!

管弦楽の魅力

「もちろん楽器は1人でも弾けるんですけど、みんなで合わせる事によって、綺麗なハーモニーが生まれます。友達が観に来てくれて『楽しかったよ』とか『素敵だったよ』と言ってもらえたら一番嬉しいし、自分たちが感じてるものを、聴いた人にも感じ取ってもらえたら。やっぱり“クラシック”って、なんか敷居が高いと思われているだろうし、地元や初等の友達の中でもあんまりクラシックのコンサートを聴きに行っているという話は聞いたことがないので…。その“良さ”を知ってもらえるような演奏を届けたい!と思っています」

48人の団員たちが真剣に練習に取り組む

48人の団員たちが真剣に練習に取り組む

大学から始めるのは少し難しいのかな?という印象のある管弦楽。しかし、まったくそうは見えませんでしたが、この日参加していたヴィオラとチェロを担当する団員は全員、大学に入るまで弦楽器に触ったことのない初心者だった、とのこと。楽器も学校から借りられる為、イチから演奏にチャレンジする環境は整っています。

「部活は休みません。やらないといけないときは、まず自分が一生懸命やれば、みんなついて来てくれる、と思うので」(榎さん)

「部活は休みません。やらないといけないときは、まず自分が一生懸命やれば、みんなついて来てくれる、と思うので」(榎さん)

榎さんと共に1stヴァイオリンをつとめる雉本菜々子さん

榎さんと共に1stヴァイオリンをつとめる雉本菜々子さん

「曲を演奏するのが楽しい!っていうのは、もちろん。今回だったら、定期演奏会という目標に向けて、みんなで頑張っていく事。弾けないフレーズがあったりとか、難しい表現があるのを自分たちなりに研究したりして、乗り越える達成感とか、喜びを味わえます。その喜びを部のみんなで共有できるのは、とても楽しいです!」

榎 日向さんの『ここが最高!』

指揮者・水戸博之先生が見た榎さんは...

「非常に明るいし、いい意味で自然体な感じがありますよ。演奏者としてもテクニックもあるし、凄く信頼をおける人。やっぱり、前で弾く人って、全体を束ねなきゃいけない役割があるんですけども、自分のことだけに必死になるのではなくて、弾きながら、僕ともコンタクトをとりながら、後ろの方ではどんなことをやっているのか?とか、他の楽器はどういうことを感じているのかな?っていう、なんかそういうアンテナが、彼女からは見えるんですよ。福教大のオーケストラの持っているポジティブさとか、ナチュラルさ、というのは彼女が束ねている事に由来するんじゃないでしょうか」

休憩の合間に水戸先生と話す榎さん

休憩の合間に水戸先生と話す榎さん

学業との両立で少し悩むこともあると告白してくれた榎さんですが、同級生で共に1stヴァイオリンを担う雉本菜々子(きじもと・ななこ)さんは...

「優しくて人想い。みんなのことを考えて動いてくれるので、なんか、1人で仕事を抱え込んでることもあって。私も気付いてあげられないことが多くて...。でも、そんなキツそうな時でも、いつも笑顔でいてくれます!」

「彼女の大学生活は勉強も、部活も、それを全部こなせてるからスゴいな!と思います」(雉本さん)

「彼女の大学生活は勉強も、部活も、それを全部こなせてるからスゴいな!と思います」(雉本さん)

笑顔を絶やさず、いつも率先して動き、部を引っ張っていこうと頑張る榎さん。その姿が最高です!時々、弱音を吐きたくなっても、きっと仲間たちが支えてくれるはずです!

今年の集大成「第50回記念定期演奏会」

取材にお邪魔したのは、2018年末のこと。来たる2019年3月21日(木・祝)の記念定期演奏会へ向けて榎さんを中心に着々と、福岡教育大学管弦楽団でしか表現できない楽曲が完成しつつあるはずです!共に見すえる目標に向けて。その喜びをみんなで味わうために。榎さんの日々は続きます!

榎さんの笑顔が部活を支えている

榎さんの笑顔が部活を支えている

【福岡教育大学管弦楽団 第50回記念定期演奏会】会場:アクロス福岡 福岡シンフォニーホール/日時:3月21日(木・祝) 13:00開場 14:00開演/料金:1000円(全席自由)

指揮・水戸博之 ソリスト・武内俊之

<曲目>チャイコフスキー 戴冠式祝典行進曲/ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番/ブラームス 交響曲第4番

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