「ラ・ラ・ランド」コンビが再タッグ。”人類初”月面着陸の瞬間に感動!<連載/ウワサの映画 Vol.70>
東海ウォーカー
「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督×ライアン・ゴズリングの再タッグが話題の「ファースト・マン」。人類で初めて月に降り立った”レジェンド”=ニール・アームストロング船長を軸に、1961年~1969年のアメリカにおける宇宙計画の全貌を描きます。犠牲や喪失を直視した地味だけど真摯なドラマが、”宇宙”という存在と”偉業”に重みをもたせた秀作です!

1961年、空軍テストパイロットのニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)と妻ジャネット(クレア・フォイ)は、幼い娘を病気で亡くします。ニールは悲しみから逃れるようにNASAの”ジェミニ計画”の宇宙飛行士に応募し、採用に。指揮官・ディーク(カイル・チャンドラー)は、宇宙計画で圧勝中のソ連も成し得ていない「月への到達」を宣言。ジェミニ計画で”月に着陸する小型船と母船のドッキング”を成功させ、アポロ計画で”月面着陸”を目指す厳しい訓練の過程で、ニールは、飛行士仲間のエリオット(パトリック・フュジット)やエド(ジェイソン・クラーク)らと絆を結んでいくのでした。1966年、エリオットの訓練中の死を経て、ジェミニ8号の船長として史上初のドッキングを成功させたニールは、大事故から脱出し帰還します。やがてアポロ計画へと移行し、エドら3人の死亡など多大な犠牲に非難が集まる中、アポロ11号の船長に任命されるニール。1969年、彼は家族と別れ、バズ(コリー・ストール)とマイク(ルーカス・ハース)と共に、ついに”未知”へと旅立つのでした…。


スマホの登場なんて想像もできなかった時代、未熟な技術で未知に挑むことの恐怖がハンパなーい。激狭のコックピットにカメラを入れて(ライアンったらぁ、近いってばぁ)、高速スピン事故やらも主観目線で撮ってて酔う寸前。加えて、小窓からしか外が見えず、暗黒の宇宙空間で迷子気分…。パイロットの過酷な任務を体感させる工夫が満載なんです。IMAXの65ミリ、35ミリ、16ミリでメリハリをつけ、NASAのアーカイブ映像を撮影し直して小窓越しに映し出したりもした凝った映像は、ドキュメンタリー感もあってリアル!

「ゼロ・グラビティ」的な大スペクタクルでもなく、ヒーローの神格化でもなく、歴史的快挙の陰にあった関係者の知られざる苦難と犠牲にフォーカスした本作。高い頻度で死亡したテストパイロットや、莫大税金の負担に苦しんだ国民…。「スペースX」もクレジットされてましたけどね、無謀な計画にまつわる悲劇を背負って挑戦を続けたニール(飛び立つ前から弔辞が用意されてるって、...どんな気持ち!? )の軌跡が、宇宙ビジネス全盛の現在につながってるんだと実感。

どアップの泣き顔を皮切りに苦悩をまとい続けたライアンは、今回も彼にしか出せない独特の存在感! 高倉 健ばりのストイックで寡黙(家族が不憫です)な仕事人ぶりがクールです。静かな佇まいが、逆に秘めたる優しさと荒々しさを強調し、娘や仲間を失う悲劇を重ねる度に強さを増す”意志”と”覚悟”をにじませてるんだよね。そんなライアンを食ってる級の妻役クレア・フォイも、男前キャラがナイス。

近づいてくる月面、シルエットで魅せる着地…。有名すぎる月へのファースト・ステップを映すラストの興奮は格別! 静寂に響くアームストロング船長の息遣いと、一筋の涙、輝く月がロマンたっぷりです。太陽の角度に至るまで、50年前の史実の再現も完璧に美しくて。船長と一緒に、閉塞感を打ち破り一気に解き放たれた気がした!【東海ウォーカー】
【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「女王陛下のお気に入り」(2月15日公開)のレイチェル・ワイズ!
おおまえ
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