アカデミー賞最多タイ10ノミネート。”女の三角関係”を描くドロドロ宮廷劇!<連載/ウワサの映画 Vol.71>
東海ウォーカー
作品賞をはじめ、アカデミー賞で最多タイの9部門・10ノミネートとなっている「女王陛下のお気に入り」。18世紀のイングランド王室を舞台に”女の三角関係”を熱演した3人が、揃って主演&助演女優賞のノミニーになってるのも話題です。監督賞候補の鬼才ヨルゴス・ランティモスが誘う、毒々しい笑いに満ちためくるめく宮廷劇...。禁断の実話がベースっていうから、余計にソソられちゃうよね~。

舞台は18世紀初頭、ルイ14世が治めるフランスと戦争中のイングランド。アン女王(オリヴィア・コールマン)の幼なじみであるレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)は、女王を意のままに操り、宮廷で絶大な権力を握っていました。そんなある日、サラの従妹・アビゲイル(エマ・ストーン)が、上流階級から没落し宮廷にやって来ます。召使いとして働きはじめ、やがてサラに気に入られて女官に昇格したアビゲイルの中で、いつの間にか目覚めた「上流階級に返り咲く」という野心...。戦争推進派のサラが終結派との権力争いに没頭しているのを尻目に、アビゲイルは少しづつ女王の心をつかんでいくのでした…、というお話。


豪華絢爛な王宮で美しいドレスをまとった女たちが、女王様の寵愛を巡って火花を散らす…。ここまでなら「大奥」風だけど、本作では、”殿”に当たる”女王”もグイグイ参戦しちゃって、もうドロッドロ。「ラ・ラ・ランド」でオスカー女優になりキャリア絶頂期のエマも攻めの姿勢で(台本にはない”ある事”をしてます。乞うご期待)、役柄同様の野心丸出し感がリアルです(笑)。あくどさの中にもふと優しさが顔を出したりする”オンナの性全開!”な狂乱は、時代も地位も超えて「あるよね~」「怖いよね~」。

すっかりレイチェル姉貴にホレちゃったので、アカデミー助演女優賞W候補”レイチェルVSエマ”対決からご紹介(2人ともオスカー女優です)。五十路目前とは思えないインテリ美女・レイチェルが演じるのは、チャーチル首相やダイアナ妃の祖先であるサラ・チャーチル公爵夫人。政治の才能に長けた、女王の黒幕的存在です。狩猟&乗馬時に見せる男装の麗人的なお姿と、女王に「正直に『ブス』とか言ってあげるのは私だけよ」とささやくSぶりがかっこよすぎー。前述したアビゲイル役のエマも、サラの決定的権威を狙う女ギツネぶりが爽快! 序盤はムチで打たれたりしていじめ抜かれる可憐な娘さんなんだけど…。このタフなシンデレラは魔法に頼らず自力でのし上がっていく。腹黒さがいい感じにハマってるなぁ、エマ。

アカデミー主演女優賞候補、アン女王役のオリヴィアもいい仕事してたー。この女王、自国が戦争中なのかも把握せず、痛風でほぼ歩けない癇癪持ちの困ったさん。でも、夫と子供17人を全員亡くし、子供の分身として17羽もウサギを飼ってたりしてちゃっかり同情させます。下々の者に「バカにしてんでしょ?」と絡むのは、血筋ってだけで不向きな王座にいることを自覚(&自虐)する賢明さがある証拠なのだけど、孤独ゆえに騙されやすくもあり…。イタいピエロぶりが悲哀たっぷり。

自然光やロウソクの灯りが映える広角ショットで宮廷の豪奢さを堪能させ、人を撮るアングルにも凝ってその真意を炙り出したランティモス監督。変人度の高い男性貴族が拍車をかけるブラック・コメディの味わいの中に、権力を巡るいざこざが招く庶民の犠牲までを想像させて、過去作にはないドラマの深みを感じましたねぇ。「ロブスター」に代表される”苦~い笑い”もパワーアップしてるよ!【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「ビール・ストリートの恋人」(2月22日公開)のエド・スクライン!
おおまえ
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