60周年のプラレール、“変わらないまま進化する”玩具のこだわり

2019年2月15日 16:45更新

東京ウォーカー(全国版) 国分洋平

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タカラトミーを代表する鉄道玩具「プラレール」。発売60周年となる2019年、2月9日(土)からはJR東日本との特別企画展「両国 プラレール駅」が開催されるなど節目の年を迎えている。同シリーズが半世紀以上にも渡り国民的玩具であり続けた理由はどこにあるのだろうか。

ずっと遊び続けることのできる鉄道玩具

プラレールのルーツとなった「プラスチック汽車 レールセット」

プラレールのルーツとなった「プラスチック汽車 レールセット」(C)TOMY

「プラレール」の歴史のはじまりは、1959年に富山商事が発売した「プラスチック汽車 レールセット」にさかのぼる。金属や木製が当時の玩具の主流素材という中、当時の最新素材であるプラスチックを使用した玩具として産声を上げた。モーターを内蔵していない手押しで遊ぶ玩具で、発売当初はそこまで大きな反響はなかったという。

初の電動式プラレール「電動プラ汽車セット」

初の電動式プラレール「電動プラ汽車セット」(C)TOMY

この「プラスチック汽車 レールセット」の発売から2年後の1961年、「電動プラ汽車セット」が発売される。ゼンマイ仕掛けに取って代わる形で普及がはじまった玩具用モーターを搭載し、現在のプラレールと同じ“3両編成の電動式の鉄道玩具”の構成となった同商品は、雑誌「暮しの手帖」の中で優良玩具として取り上げられるなどじょじょに評判を呼んだ。そして東海道新幹線が開業した1964年に発売された、実在車両をモデルにした初のプラレール「夢の超特急ひかり号」が大ヒットとなり、プラレールは国民的玩具へと発展していった。

1964年に発売された「プラ電動 夢の超特急ひかり号 レールセット」

1964年に発売された「プラ電動 夢の超特急ひかり号 レールセット」(C)TOMY

驚くべきことに、「プラスチック汽車 レールセット」から現在に至るまで60年間レールの規格は変更されておらず、現行のプラレールのレールと繋げることが可能だ。

同一規格を保つ理由を、タカラトミーマーケティング本部ベーシック事業部の竹内俊介事業部長はこう話す。「レールの規格を変えてしまうと、これまでのプラレールが遊べなくなってしまいます。昔から遊んでいるファンを裏切ることなく、ずっと続けて遊べるように、という部分は大切にしています」。

ライト付 パパとぼくの300系&N700typeAのぞみダブルセット(2019年3月発売予定)

ライト付 パパとぼくの300系&N700typeAのぞみダブルセット(2019年3月発売予定)
(C)TOMY JR東海承認済 JR西日本商品化許諾済

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もちろん、細部の改良は行われている。レールの材質の変更や、表面部への滑り止め加工、車両では連結部の取り外しが容易になる切れ目加工を採用するなど、互換性は維持しつつより遊びやすくなるようアップデートが施されている。また、スピードかえレールで速度が変わる「S-16 レールで速度チェンジ!! E5系新幹線はやぶさ」(2019年3月発売予定)や、より明るい“ハイパワーライト”を搭載した新旧の「のぞみ」のセット「ライト付 パパとぼくの300系&N700typeAのぞみダブルセット」(2019年3月発売予定)など、プラレールの持ち味を生かした新商品も続々と開発されている。

工場被災、それでも支えたファンの愛

だが、プラレールは必ずしもすべての時期で順風満帆だったわけではない。その1例が、「プラレールを卒業したらスーパーレール」をキャッチコピーに、1972年から発売された兄弟シリーズ「スーパーレール」だ。リアル志向な製品構造でプラレールを卒業した子供たちに向けた商品だったが、プラレールと鉄道模型「TOMIX」(現在はトミーテックが販売)の板挟みとなり短命に終わった。

【写真を見る】プラレールの兄弟シリーズとして発売された「スーパーレール」

【写真を見る】プラレールの兄弟シリーズとして発売された「スーパーレール」(C)TOMY

さらに、1980年代の中頃には「プラレール」そのものの売上も伸び悩んだという。「キャラクター車両やギミックを施した車両に注力した時期があり、本来の主軸である実在車両の再現が若干おざなりになってしまいました。当時、ファンの方から厳しいお声もいただいたと聞いています。その反省を踏まえ、車両設計に改良を加えたことで再び評価をいただくようになっていきました。さらにその後、国鉄が分割民営化されJR各社が発足し、新型車両が多く発表されました。プラレールもそれに続いて新車両を商品化したことで、90年代の人気回復に繋がりました」

近年では、2011年のタイ洪水によりタカラトミーのタイ工場が被災。プラレールの生産に大きな支障が発生し、製品の供給難に陥った。

「洪水によって使用不能になったプラレールの金型が多く、売り上げが下がったこともそうですが、商品の不在で子供たちに悲しい思いをさせてしまいました。ただ、そこから新しい商品を発売する際、ファンの皆様からの応援にとても支えられました。プラレールが愛されているシリーズであると改めて感じた時期でした」

玩具で遊ぶのは子供たちだが、購入するのはその親の世代だ。3両編成の列車、同一サイズのレール。自身が子供の頃に遊んだプラレールと、子供に買い与えた新しいプラレールを合わせて遊ぶこともできる。そのコンセプトを保ち続けたことは、苦境からの復活を支えた要因の1つと言える。

鉄道玩具のスタンダード

さらに、プラレールは多くの派生商品を生み出すベースにもなった。2015年に発売されたプラレールの新シリーズ「新幹線変形ロボ シンカリオン」は、変型ロボット玩具でありながら列車形態ではプラレール上での走行が可能だ。2018年には同シリーズのアニメもスタートし、屈指の人気を誇っている。

ロボット玩具「シンカリオン」は列車形態はプラレール上を走ることができる

ロボット玩具「シンカリオン」は列車形態はプラレール上を走ることができる(C)TOMY  (C)プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS

同シリーズは、当初からプラレールありきの企画ではなかったという。「本作はジェイアール東日本企画と小学館集英社プロダクション、そして弊社の3社原作となっていますが、玩具化の際『変形してプラレールのレールの上を走らせられたら面白いのでは』と意見が出たことで、現在の商品展開に繋がりました」と話す。このことからも、プラレールが鉄道玩具のスタンダードという共通認識があったことがうかがえる。

このほかにも、1995年から発売された「超特急ヒカリアン」も、プラレールの規格で生まれた派生シリーズとして支持された。これらシリーズの異なる玩具であっても、同じレールに並べて遊ぶことができるのは、他の玩具にはない特徴だろう。

変わらないために変わり続ける玩具

2024年に創業100周年を迎えるタカラトミー。最後に、プラレールについての今後の展望を聞いた。

「『プラレール』は、弊社の玩具の中でもっとも歴史の長い商品ですし、鉄道玩具全体における占有率も高い人気シリーズです。弊社の大事なブランドであるのはもちろんのこと、日本の玩具業界にとっても貴重なブランドではないかと思っています。

社会や玩具を持ちまく環境も変わっていく中で、プラレールもこれまで以上に技術を進化させつつ、守るべき伝統は守って、新旧を融合させた楽しい玩具となるよう頑張ってまいります」

同じレールの上を、時代とともに進化した列車が走る。プラレールの歴史は、まるで現実の鉄道の写し絵のようだ。

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