「観客も求めているのでは」片山慎三監督の衝撃デビュー作『岬の兄妹』大阪舞台挨拶
関西ウォーカー

ある港町を舞台に生活に困窮した兄妹が犯罪に手を染めていく姿を描き出した映画『岬の兄妹』。本作の大阪舞台挨拶が3月16日(土)テアトル梅田で行われ、メガホンをとった片山慎三監督が登壇。上映後の舞台挨拶ということもあり観客からの質問も交わされる舞台挨拶となった。
『岬の兄妹』は片足が不自由なため仕事をクビになった兄・良夫は生活のため、自閉症の妹・真理子に売春の斡旋を始めることになる物語。2人っきりの兄妹が犯罪に手を染めてから人生が動きだす衝撃作となっている。韓国のポン・ジュノ監督や山下敦弘監督の作品の助監督を務めてきた片山監督の長編デビュー作で『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018国内コンペティション長編部門優秀作品賞・観客賞』をW受賞したり上映館が拡大するなどの大きな反響を呼んでいる。
大阪出身の片山監督は今回凱旋舞台挨拶という形に「当初は思ってもみなかった、内容が内容なだけにどうやって上映しようかな」という気持ちだったと語る。自閉症という障がいを描くにあたって、監督自身ボランティアに参加してそこの方と話をして「自閉症とか障がいを持つ人でも人それぞれ個性があるから、その個性をきちんと描いて人として見せるようにしたらいい」という言葉を受けて肩の荷が降りる思いがして、1人の人間として描き切ることに専念したという。

観客からの質問では「生活に困った2人が福祉を頼らない理由は?」という問いに「元々書いていたが、もっと掘り下げないといけなくなった。あえてそこは描かず『自分たちでどう生きていくか』というところを描きたかった」と寓話として描きたかったと語る。
また真理子が売春の仕事中に何度も「私のこと好き?」と何故言うのかという質問に「思ったことを口にすることと、自分のことを好きになってほしいということを表現したかった。そこで小人症の彼だけ『好きだよ』って返してくれることが、彼女のいつも一方通行だった想いが強くなっていくことになった」と作品内の解説を行った。

大きな反響のある自主映画という観点から昨年大ヒットした映画『カメラを止めるな!』と並べられて語られる本作。監督は「今の日本映画がコンプライアンスを気にして映画なのに自粛するという空気がある中、観客もそうじゃない映画を観たいという時期が重なったのではないか」という分析を話した。
桜井賢太郎
この記事の画像一覧(全3枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!
ゴールデンウィーク期間中に開催する全国のイベントを大紹介!エリアや日付、カテゴリ別で探せる!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介