“満たせ承認欲求” 人生ゲームに「令和」版登場 お金もゴールもなし、家族からフォロワーに
東京ウォーカー(全国版)
2019年4月1日(月)、平成に替わる新たな元号が「令和(れいわ)」と発表された。これに合わせ、タカラトミーは「人生ゲーム+(プラス) 令和版」を発表した。「人生ゲーム+(プラス) 令和版」は、人生ゲームの新ブランド「人生ゲーム+」の第一作目。これまでの人生ゲームにあった紙幣や職業カードは登場せず、決まったコースもゴールもない新ルールとなっている。

インフルエンサーがテーマの「令和版」

「令和版」のテーマは“インフルエンサー”。ルーレットを回す根幹部分は従来の人生ゲームと共通しているが、勝敗はお金の多寡ではなく、獲得したフォロワーの数で決まる。新たに「インフルエンサーカード」と「アイテムカード」という2種のカードが登場。インフルエンサーカードにはそれぞれ獲得に必要なアイテムカードの数と種類、そしてインフルエンサーカードを獲得した時にもらえるフォロワーの数が描かれている。プレイヤーはまずアイテムカードを集め、各インフルエンサーカードの条件を満たすことでフォロワーを獲得していくことになる。全プレイヤーで合計10枚のインフルエンサーカードが場に出された段階でゲームが終了するため、たどり着くべきゴールが存在しない。

マス目は循環形式になっており、大別して「つぶやきエリア」「フォトジェニックエリア」「ムービー配信エリア」「マニアックエリア」の4つに分けられる。SNSや動画サイトなど、現在のインターネット上のトレンドを反映した形だ。
人生ゲームの転機となった「平成版」

タカラトミーで「人生ゲーム」ブランドプロデューサーを務める池田源氏によれば、今回発表された「令和版」は、1989年に発売された「人生ゲーム 平成版」のコンセプトを受け継いだものだという。この商品は、1987年頃からのアダルトゲーム・ブームを受け、ハイターゲット向けの人生ゲームとして企画された。「晴海でコンパニオンギャルをナンパ」「消費税導入前、大好きな二級酒を買い溜め」といったバブル期の世相を盤面に取り入れた初代「平成版」は1年間に40万個以上販売するヒット商品となり、人生ゲームが年鑑誌的にその年々の出来事や流行を盛り込むようになる契機となった。

「平成版」だけでなく、2000年には20世紀の100年を振り返る「人生ゲーム平成版20世紀」が発売。2003年の「人生ゲーム昭和おもひで劇場」や、人生ゲーム50周年を記念して2018年に発売された「人生ゲームタイムスリップ」など、1年ごとではなく、時代そのものを総括するような商品もたびたび登場するようになる。“人生”というゲームのテーマ性と相まって、シリーズの歴史が積み重なるとともに日本の現代史を切り取る要素が定着していったのだ。

だが「令和版」では、あえて過去の振り返りではなく最新のトレンドに着目したと語る。
「元号が変わるタイミングで、時代を象徴した出来事を人生ゲームに落とし込めないかと考えた時、新しい時代の世界的標準になろうとしているSNSやインフルエンサーをテーマにしようと決めました。過去の振り返りは、昨年(2018年)人生ゲーム50周年のタイミングで『人生ゲームタイムスリップ』でやりましたし、前の時代の回顧は人生ゲーム以外でも様々な分野や商品で行われるとも考えました。『人生ゲーム』という長いブランドだからこそ、ただ節目に乗っかるのではなく、新しいチャレンジとして、今現在の最先端を切り取ることにしたんです」(池田氏)
ゲームデザインで現代人の価値観も反映

この挑戦は、コマや設定といった要素だけでなく、ゲームデザインそのものにも表れている。良くも悪くもルーレットの出目が勝敗を左右する“運ゲー”に戦略性を追加し、子供や家族でだけでなく、大人も楽しめるような難易度に調整。また、ゲームの想定所要時間も、従来の人生ゲームが約1時間ほどなのに対し、令和版は約30分。“時短”という概念が普及し、趣味も多様化する現代人に合わせ1回のゲームをスピーディにこなせるよう配慮されている。
さらには、従来の人生ゲームに共通してきた「億万長者」とは異なる価値観からアプローチをかけているのも特徴だ。それは、結婚して家庭を築き、キャリアを重ねて収入を増やしていく人生像ではなく、自分の好きな物事をSNSで発信しフォロワーに発信したいという「承認欲求」だ。

「人生においてお金は常に重要であることは変わらないですが、今の時代はお金以外の価値も重要視されるようになってきています。中でも、『みんなに認められたい』という承認欲求は、現代人にとって普遍的な価値観になってきていると思います。ですので今回は『目指せ億万長者』ではなく、『満たせ承認欲求』をゲームの目的に位置付けました」
令和版では、1つの職業に固定されることなく、4つのトレンドを流動的かつ横断的に巡りながらゲームが進んでいく。こうした点にも、時代に対するまなざしが取り入れられていると言える。
変わらないまま多様化する「人生ゲーム」

令和版は、新たな時代を迎える人生ゲームの第1作であると同時に、「人生ゲームプラス」という新ブランドの第1作としても位置付けられている。タカラトミーでは従来の「人生ゲーム」シリーズと「人生ゲームプラス」シリーズの2ラインで商品を展開する構想で、令和版はその試金石でもあるわけだ。こうしたブランド拡張は、アナログゲームである人生ゲームを、コミュニケーションツールの1つとして使ってもらうためにファミリー層以外のユーザーにも裾野を広げようという狙いがある。
「複雑なゲームを作ろうと思えばいくらでも作れるんです。ただ、「人生ゲーム」という看板を背負っている以上は、誰でも遊んでいただける難易度を保つというところは大事にしていて、今回もゲームシステムを作り上げるまでに1年以上の時間をかけています。人生ゲームの認知度を活かしつつ、大人が何度でも遊べるものを目指しました。令和版は『人生ゲームって、ルーレットを回すだけのゲームでしょ?』と思っている方にもぜひやっていただきたいです」(池田氏)
「人生ゲーム+ 令和版」の発売予定は2019年6月。これにさきがけ4月1日、渋谷109前で開催されている「平成最後の人生ゲーム展」では、14時30分ごろから一般来場者にルーレットによる先着順の抽選で「令和版」を100名限定でプレゼントするイベントが行われる予定だ。
国分洋平
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