柴咲コウWOWOW初主演ドラマ「坂の途中の家」の舞台挨拶をリポート!
九州ウォーカー
3月27日(水)、T・ジョイ博多にて、「連続ドラマW 坂の途中の家」の舞台挨拶が行われた。当日は、主演の柴咲コウと脚本を担当した篠﨑絵里子が登壇。作品に対する思いや見どころなどについて語った。
人々が社会でのあり方を考えさせられる作品
「連続ドラマW 坂の途中の家」が、WOWOWプライムにて、4月27日(土)より放送がスタートする。物語は、3歳の娘を育てながら平穏な日々を過ごしていた主人公山咲里沙子のもとに裁判所から通知が届き、補充裁判員に選ばれるところから始まる。対象となる事件は、生後8ヶ月になる我が子を浴槽に落とし虐待死させたという衝撃的な内容だった。同じ子供を持つ母として嫌悪感を持つ里沙子だったが、裁判を通じて被告の人生に触れ、育児のストレス、夫との関係、義父母からの重圧、実母との確執など、次第に自らの境遇を重ね合わせていくことになる。家庭に潜む究極の心理サスペンスと賞賛された直木賞作家・角田光代の原作「坂の途中の家」の禁断の連続ドラマ化に挑んだ本作が、いよいよ幕を開ける。
放送に先駆け、テレビ作品としては日本初となる、最高クラスの映像と音響を兼ね備えたドルビーシネマスクリーンでの4K-HDR上映を実施。上映前には、主演の柴咲コウと脚本を手がけた篠﨑絵里子による舞台挨拶が行われた。

司会「まずは、3歳の娘を育てながら補充裁判員として裁判に参加することになる、主人公山咲里沙子を演じた、柴咲コウさんからご挨拶をお願いします」
柴咲「本日は、「連続ドラマW 坂の途中の家」のイベントで福岡に来ることができてとてもうれしいです。本日はよろしくお願いいたします」
司会「続いて、映画『人魚の眠る家』などを手がけ、本作の脚本を務めました篠﨑絵里子さん、お願いいたします」
篠﨑「私は福岡が2度目なのでとても楽しみにして来ました。楽しい時間をご一緒できればうれしいです。最後までよろしくお願いいたします」
司会「一足先に福岡のみなさんにドラマをご覧いただくということで、今の率直な気持ちはいかがですか?」
柴咲「毎回作品作りをしていて思うんですけど、みなさんに観ていただくことがゴールなので、とてもうれしいです。昨年の夏くらいまで撮影をしていて、エンディングテーマは今年の年明けすぐに制作に取り掛かっていたので、今は、やっとみなさんに観ていただけるという喜びの気持ちしかありません」
司会「しかも今回は、WOWOWのドラマで初出演であり初主役でもあります。そのあたりの気持ちをお聞かせください」
柴咲「WOWOWのドラマは出演している人たちの評判がものすごくよくて、一つひとつの作品に深く対峙して、物語を紡いでいるという印象がありました。特に今回、裁判員制度と子育てという重いテーマなんですけども、WOWOWさんだったら、きちんと丁寧に描いてくれるんだろうなと思い、お引き受けしました。それから、実際に篠﨑さんの書かれた脚本を読みました。6話分あるんですけど、あっという間に読み進めてしまって、読み物としてまずおもしろかったですね。本来脚本は、描写がたくさんあって、ト書きとト書きの間の行間も演じなければわからない部分もあるんですけど、読んでいてそれを感じられる脚本だったので、これはいい作品になるなって感じました」

司会「脚本が素晴らしいとのことですが、それを聞かれて、篠﨑さんいかがですか?」
篠﨑「私もこの作品はとても思い入れがあって、原作を拝見した時に、ぜひこの作品を映像化したいと思って、誰にも頼まれてないのに企画書を書いて、プロデューサーに提案しました。そしてこの形に着地した経緯があるので、本当に長い間、この日を夢見てきました。少しでも早くみなさんに観ていただきたかったので、今回このような場を設けていただいたことが本当にうれしいです」
司会「この作品を脚本されるにあたって、こだわった点を教えてください」
篠﨑「ある日ツイッターを見ていたら、子育てをしながら育児漫画などを書いているお母さんのツイートが流れてきました。そこに、小さいお子さんの夜泣きに苦しむお母さんが集まれる『夜泣き小屋』というのがあったらいいなという、空想の漫画を描かれていたんですね。その『夜泣き小屋』は、子供が泣いて苦しむお母さんがいつでもそこに行って、みんなで励ましあいながら子育てをするという内容でした。その漫画を読んだ時に、びっくりするくらい涙が出てきてしまって、お母さんというのは、こんなにも苦しんでいるんだなっていうのをすごく感じました。その時に、とにかく一人じゃない、決して一人にしてはいけない、というのを伝えようと思って、この脚本を書きました」

司会「その脚本の中で登場するのが里沙子です。里沙子は子育てをしながら補充裁判員に選ばれ、対象となる事件に翻弄されていくという役柄でしたが、柴咲さんは里沙子を演じられていかがでしたか?」
柴咲「演じているときは現場の雰囲気も良くて、癒されながら撮影ができたんですけど、重いテーマを背負った作品なので、お芝居一つひとつに『これでいいのかな』と悩みながらやっていました。自分自身もそうですが、みなさん一人ひとりも、社会での役割というか、社会でどうあるべきかというのを、もっともっと考えなきゃいけないんだなというのをすごく思いながら撮影が進んでいきました。今思うのは、お母さんの気持ちをわかってあげましょうとか、そういうことだけでは済まされないようなことです。それぞれの立場とか、環境というものに少し寄り添えるような社会がもっと作られれば、一人ひとりが生きやすいのかなっというのを、すごく感じるようになりましたね」
司会「特に印象に残っているシーンやセリフがあれば教えてください」
篠﨑「すべてに思い入れはあるので、セリフとかシーンは選ぶことができないんですけど、ただ、全編を通じて、他のドラマと違って、ストーリーを追っていくというよりも、心を追っていくようなドラマになっていますね。里沙子は、いろんなことを封印して、幸せな奥さんをしているところから始まります。でもちょっとずつ蓋が開いてきて、旦那さんから責められたり、いろいろ追い詰められていくんですけど、そのように変化していく様子を表現するグラデーションがすごく難しかったと思うんですけど、そこを見事に演じていただいてます。あと、3話で謎のシーンがあります(笑)」
柴咲「ありますね(笑)」
篠﨑「クレーンを使うような大掛かりな撮影があったんですね。家と裁判所との往復の話なのに、どこでクレーン使うんだろうと思ったんですけど、とんでもないシーンが一つはさまっていて、個人的にすごく印象に残っているので、ぜひ探してみてください」

柴咲「里沙子を演じていると、否定的な言葉が、今でも印象に残っていますね。でもそれは、本人が言いたくて言っているのではなく、社会を生きる上で、そういう言葉で自分を守りながら生きる術として、否定的な言葉を生み出したというのを感じました。最初は、誰かに言われた一言で、チクっと痛みがあったんですけど、それを飲み込んで自分がそれを日常化していくというところが、里沙子はかわいそうだなと思いましたね」
司会「主題歌も柴咲さんが担当されています。作詞も担当されていますが、どんなお気持ちで書かれましたか?」
柴咲「今回は、作品を撮り終えてから、すぐに曲の制作に取り掛かることができたので、作品の核を大切にしながら、物語を自分なりにもう一回構築するような感じで、曲を作ることができました。『silence(サイレンス)』というタイトルも、里沙子の心情を表現しています。里沙子がいろんな問題の渦中にいる時って、自分が底辺にいるような感じで、世の中のざわざわしたところから落ち込んだところにいるので、意外と凪のような空間なんですね。そういったことをイメージしながら、静かなんだけども、すごく落ちているというようなニュアンスをテーマに作りました」

司会「最後に、お二人の福岡での印象や思い出をお聞かせください」
柴咲「別の番組で昨年、福岡の宗像大社という場所を訪れました。初めて行ったんですけど、こんな素敵な場所があったなんて、なぜ今まで行かなかったんだろうと恥ずかしくなるくらいでした。福岡は、観光地としても文化的な側面としても、とても豊かな場所なんだなと、改めて感じました」
篠﨑「福岡は昔に友人の結婚式で訪れたことがあります。食べ物がおいしかった記憶がありますね。今回も時間があれば、いろいろと楽しんで帰りたいと思います」

「連続ドラマW 坂の途中の家」は4月27日(土)22:00~よりWOWOWプライムにて放送スタート。
【九州ウォーカー編集部 / 取材・文=森川和典 / 撮影=菅祐介】
森川和典
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