高良健吾「本当に感じたことのない密度、濃さだった」映画『多十郎殉愛記』大阪舞台挨拶付き試写会

2019年3月29日 20:00更新

関西ウォーカー

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「木枯し紋次郎」「まむしの兄弟」「狂った野獣」「極道の妻たち」など、数多くの傑作を世に送り出してきた84歳の巨匠・中島貞夫監督が20年振りにメガホンを取った映画「多十郎殉愛記」が4/12(金)から全国にて公開される。本作は中島監督が脚本を書いたオリジナル作品であり、主演に高良健吾、多部未華子を迎えた平成最後のちゃんばら映画。公開に先駆け3月26日(火)、大阪市北区の「梅田ブルク7」にて舞台挨拶付き試写会が開催され、上映前に主演の高良健吾、中島貞夫監督が登壇した。

「多十郎殉愛記」大阪舞台挨拶が開催され、(左から)中島貞夫監督と高良健吾が登壇した


大きな拍手で迎えられた2人。まず高良が「いよいよ公開が近付いてきました。一足先にみなさんに観ていただけるのは嬉しいです」と挨拶。続けて中島監督が「久しぶりに映画を撮ってみました。20年振りということなので、大体年もわかってしまうと思うのですが、『とにかくちゃんばら映画を作ってみたい!』ということで、長年映画を作り続けてきた知恵をこの一作に込めたつもりです」と想いを述べた。

20年振りにメガホンを取った中島貞夫監督


本試写会が、関西にて初めての一般向け公開となることについて高良は「大阪は、個人的にはいとこが住んでいたり、『べっぴんさん』(2016年度下半期放送のNHK「連続テレビ小説」)の時に1年くらい通っていて思い入れがあるので、大阪の方に観ていただけるのは嬉しい」と心境を語った。中島監督は「梅田東映会館(2002年4月閉館)にて、ご挨拶したのが『極妻』の『決着(けじめ)』の時かな、『決着』を撮った後に、もうけじめだなと思い、しばらくは(若手の育成など)色々なことをしていた。でももう一回やってみたいなと思い、本作を撮ることにした」と制作のきっかけを語り、続けて「ちゃんばらって本当はすごく面白いはずなのだが、テレビドラマも含め、最近のちゃんばらは面白くないなと思っていた。ちゃんばらというのは、切ったり、貼ったりするだけでなく、もっともっと人間のドラマが含まれているはずなんだと思っていた」と、ちゃんばらの魅力を語った。

主演のオファーがあった時の心境について高良は「30代最初の現場だし、中島監督の20年振りの長編だし、時代劇だし、京都での撮影だし、そこで殺陣も学べるし、何のご褒美なんだろうという気持ちだった」と当時を振り返った。また、これまで自身が他の作品で関わってきた、中島監督の教え子である様々な監督やカメラマンたちの先生に学べるということで、「ラッキーとしか言いようがない」と感慨深げに述べた。

【写真を見る】今回殺陣が初体験だったため、クランクイン前から京都で稽古を積んだ高良健吾


キャスティングについて中島監督は、若手俳優については詳しくないため、プロデューサーに「映画が好きな人。映画のために何でもやれる俳優がいい」という条件のみ伝え、一任したという。高良健吾とも多部未華子とも孫と言っていいほど年が離れているため、どういう会話を交わしたらいいのか、果たして上手くいくのかと思っていたというが、「こちらがちっとも気にせずに、映画を作る現場で何でも勝手なことを言えるような関係になってもらえた」と嬉しそうに語った。2人には本当に感謝しているが、特に高良にはその気持ちが強いと述べた。というのも、本作で殺陣に初挑戦した高良は、「クランクする1ヶ月前から京都撮影所へ行き、徹底的に殺陣を勉強してくれたんです」と述べ、続けて特に感動したこととして「彼は斬る立場の役なので、斬ることだけを勉強してもらおうと思ったら、斬られる役の練習にまで入れてほしいと言い、斬られ方も学んでくれた。その時に『いい奴を選んだくれたなぁ』と思った。それは普通のスターさんではできないことだと思う」と語り、「彼がいたからこの映画ができたのだと言っても過言ではない」と大絶賛した。

斬られる側の稽古も行った高良は「明らかに斬られる方が難しい。斬られ役の方が上手だからこそ上手く、気持ちよく斬れるし、主演がいられる」と感想を述べた。

撮影中、中島監督との会話で印象に残っていることとして高良は「京都の東映の歴史を監督から話していただけるのだが、そこに出てくる俳優さん達の名前が凄すぎた。例えば『文ちゃん』って菅原文太さんのことだよななどという風に。その方達とのお話を沢山聞かせていただいた」と貴重な経験であったと語った。

中島監督は高良の演技について「特に彼の受け芝居は文ちゃんの初期の頃に非常によく似ている」と述べ、撮影をしながら思わず「なぁ、文ちゃん!」と言ってしまったと明かした。 その時高良は「きっと今僕のことを呼んでいるんだと思いながらも、簡単には振り向けなかったです」と心境を語った。

また中島監督は「彼には新しい時代のスターになってほしいし、なれるだけの力を持っていると思う」と力説。それに対し高良は、自身の中で、高倉健はスター、菅原文太はストリートだと思っており、自分自身はスターよりもストリートでいたいと思っているため「『文ちゃん』と呼んでいただけたのは、嬉しかった」と言及した。

中島監督が、思わず高良を「文ちゃん!」と呼んでしまったことも明かされた


注目して欲しいシーンについて高良は「予告や宣伝を見ていると、僕が多くの人をバタバタと斬っていくような印象を持たれるかもしれないが」と前置きした上で「多十郎の人たちは人を殺めるための人たちなのではなく、愛する人を守るためや逃すため、また時間稼ぎのためや自分が逃げるための道を開くためであったりと、全てに理由があり、ドラマがあるというところを観てほしい」と述べた。中島監督は最後30分程の長丁場の立ち回りシーンを挙げ、「ただのアクションとして観てほしくない。そこにどういうドラマがあるのか、あるいは何のために戦ってきたのかというのを感じ取っていただけたら、この映画を作った意味がみなさんに伝わってくれるだろうと思う」と述べ、更に「ちゃんばらの数だけドラマがある。それほどちゃんばらというのはドラマを含んだ一つのパフォーマンスである。そういう意味では、最後の30分をどういう風に観ていただけるか、そこで感動していただけたら、本当に言うこと無しだと思う」と作品にかける熱い想いを語った。

最後に中島監督は「この映画は、俗に言うちゃんばらだけではないということをもし感じていただけたら、『多十郎殉愛記』というタイトルを付けた意味がわかっていただけると思う。ドラマを感じていただけたら、この映画は成功するのではないかと思う」とコメント。高良は「去年の今日がちょうどクランクインの日だったようで、それに対しても縁を感じるし、京都で過ごした1ヶ月半というのは、そのおかげで今もまだ頑張れているというか、それに励まされているというか、そんな日々でした。それは僕だけでなく、中島貞夫組の『多十郎殉愛記』の現場にいたみんなが感じていたことだと思う」と語り、加えて「綺麗事ではなく、本当に感じたことのない密度というか、濃さでした。それだけのものの現場に立てたことの幸せをすごく感じていて、それがいよいよ公開されるということで、とても幸せに感じております。本当に多くの方に観ていただきたい時代劇になっていますので、どうかお力を貸して下さい」と観客に投げかけ、舞台挨拶は終了した。

南華凛

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