影山貴彦のテレビのホンネ。「 新しいお笑い番組誕生! 期待の3組の芸人たち」
関西ウォーカー
コント番組が根付きにくい一面がある中で、彼らならいい流れを作ってくれるはず

ABCの新番組「もう少し、嫌な奴」。ドラマのタイトルにもできそうな洒落た響きがいい。番組のキャッチコピーは、「良い奴じゃ、笑えない」。いい感じだ。どんな内容?と大いに想像力を掻き立てられる。たかがタイトル、されどタイトルである。
出演は、ジャルジャル(後藤・福徳)、アキナ(秋山・山名)、かまいたち(濱家・山内)の3組。いずれもこれからのお笑い界を担う、いやもう十分担っているといっていい素晴らしき芸人たちだ。同時間に放送していた、千鳥の「相席食堂」が人気沸騰し、火曜日の「ナイトinナイト」枠にお引っ越ししたことを受けて始まった。
今、社会はストレスに溢れている。多くの人が心穏やかに暮らしたいと願っているはずだが、こちらの気分を害するような人間が、年々増えているように思えてならないのは、私だけではあるまい。そんな「嫌な奴」を毎回取り上げトークを展開させ、さらに「もっと嫌な奴」をコントにして見せる内容だ。
コンビニで働く人が日頃出会う「嫌な客」のエピソード披露等、「マジで?」と驚かされもしたが、出演者たちのほとんどにコンビニのアルバイト経験があったことにもビックリした。若き日のコンビニ店員としての経験が、今の彼らのネタ作りに反映しているのだろう。
一般の方をスタジオに呼んで、彼らの「嫌な奴」エピソードを聞くことは確かに興味深い。ただ、私たち視聴者が一番見たいのは、3組の旬の芸人たちが見せる「本芸」の部分ではないかと思う。25分というコンパクトな尺のやりくりは難しいかもしれないが、もう少しコントの部分を増やしてもらえたら最高だ。コント番組は、今のテレビ界に根付きにくいという一面はある。だが、彼らならきっといい流れを作ってくれるはず。しっかり応援していきたい番組だ。

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。「カンテレ通信」コメンテーター、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。
関西ウォーカー
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