【連載・シブヤ大学(5)】シブヤの地ビール作ります!

東京ウォーカー

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「このモカコーヒーのような独特の香りのビールは、上面発酵特有の重みを兼ね備えたスリランカ産の“ライオン スタウト”ですね」。なんてウンチクを年末年始の飲み会でさりげなく披露すれば、場の主役にきっとなれるはず。それほどにいつも何気なく口にしているビールは奥が深い。

そもそも、ビールは、発酵方法→色→風味や味と細分化される。ちなみに日本で飲まれているビールのほとんどが、“下面醗酵”の淡色をしたピルスナータイプ。まろやかな味、すっきりとした飲み心地が特徴だ。ほかにも“上面発酵”のペールエールやケルシュ、“自然発酵”のランビック…。その分類方法は細かく、世界に1万銘柄以上あるというのもうなずける。

東京のさらに特定の街の代表となる地ビールを作ろうと、アサヒビールとNPO法人のシブヤ大学とコラボした「ビール醸造ゼミ」が、08年8月から毎月1回行われている。開始から4か月という長い時間の中、侃々諤諤の議論を重ね、シブヤビールの商品化を進めてきた。前回の講義で、ようやく決まったシブヤビールの大枠は、街歩きのおともにできるようなビール。ビールを介して知らない人が仲良くなれるというコンセプト。商品名は“トナリニ”。透明感のある薄い黄色、アルコールは低く、ガス感もソーダのようなやさしい炭酸をめざす。

今回の講義の前に、シブヤビールを醸造する隅田川ブルーイングでさっそく“トナリニ”をカタチにすることに。コンセプトの全てを実現することはやはり無理。醸造スタッフと話し合い「苦味:ライト」「香り:爽快」「アルコール:低」を優先した。麦芽の量、アルコール度数、風味などが異なる試作品4種は、12/13(土)に行われた第5回講義でゼミ生が試飲。「最初のひと口にパンチが足りない。これではビール好きな人はきっと飲まないと思う」「味、苦味、炭酸がどれも軽すぎる。ビールという感じがまったくしない」と多くのゼミ生たちは、試作品の出来ばえに満足がいっていないよう。一方で「味が軽く、炭酸も弱いが、持ち歩きにはいいのかも。麦芽を抑えていてと、穀物臭さがないのがいい」「お酒っぽくなく、大量に飲めるからいいのではないのか」と一部からは肯定派の意見も。

仕事帰りにグビっ!と一杯。うまいと感じるのはやはり、喉にピリピリくる炭酸と程よい苦味。それが、試作品4種には足りなかった。 その意見を受け、隅田川ブルーイングのスタッフは「一口目と後半の味の変化がないビールを想定して造った。時間経過だけでなく、温度変化に強いビールという視点も必要と思い、低炭酸でボディも軽くなど、全ての要素が軽いほうが時間経過の味の変化が出にくいし、穀物臭も出にくい。長時間持ち歩いても味が変化しない、ぬるくなっても美味しいという機能面よりも、最初のひと口が美味しいという前提は忘れてはならないですね。もう少し麦芽の比率を上げて、ビール本来の味に近づけましょう。また、アルコール度数3〜4度というのは変えずに、ガス感を出し、喉越しのよさを出してみてもいいかもしれません」と醸造のプロとしての意見を語った。

「ビール醸造ゼミ」もいよいよ佳境。次回の講義には、ゼミ生たちの理想に限りなく近い改良版シブヤビール“トナリニ”ができあがってくることだろう。 4か月の間、講義日以外でも集まり、商品開発に努めてきたゼミ生たち。年齢も職業もまったく異なるメンバーが、試行錯誤の末にカタチにしたシブヤビール“トナリニ”。いよいよ完成間近。ゼミ生たちの想いが詰まったそれには、妥協という雑味はいっさい含まれていない。【東京ウォーカー/町田拓郎】

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