34年目の元祖“総選挙”!? 昭和から令和へ3時代で『サンリオキャラクター大賞』が担った役割とは?
東京ウォーカー(全国版)

毎年恒例となるサンリオキャラクター大賞(以下、キャラクター大賞)が、今年も開催されている。単なる人気投票に留まらず、その時代の人気キャラクターの傾向が見てとれるのも、このキャラクター大賞の特徴だ。本大賞の始まりは1986年(昭和61年)で、昭和、平成、令和と3時代にまたがり開催。昨年の総投票数は480万票と、34年かけて巨大コンテンツへと成長した。近年、ハローキティはじめ、任天堂のマリオ、SEGAのソニック・ザ・ヘッジホッグ、カプコンのロックマン、ガンダムなどのハリウッド映画化が相次いで発表され、より一層の盛り上がりを見せるキャラクタービジネス業界。今回は、時代と共に変化してきた大賞の変遷や、開催意義についてサンリオ マーケティング本部田中久美子さん、山口あすかさんに話を聞いた。
昭和61年から34年間継続開催、今年の初日速報は投票率昨対約160%の盛り上がり

サンリオキャラクター大賞の初回は、1986年(昭和61年)。携帯電話はもちろんPC、Webも普及もしていない昭和の時代に、サンリオキャラクター大賞がスタートした背景には何があったのだろうか。
「サンリオの最新情報をお届けする月刊紙『いちご新聞』が始まりです。読者はどのキャラクターが好きなんだろうという疑問が発端となり、『いちご新聞』内の特集のひとつとしてキャラクター大賞がスタートしました。大賞のキャラクターが『いちご新聞』の表紙を飾れるというもので、ファンの方にとって、自分の推しキャラが表紙を飾ることは名誉なことですから、当時からかなり盛り上がったようです。そこから恒例化し、気づけばファンの方以外も参加される恒例イベントとなりました」(田中さん)

お気に入りのキャラクターに投票し、その票数で順位を決めるというと、AKB48グループの総選挙をイメージしがち。実際、サンリオで働く方の中には「キャラクター大賞は、AKBの総選挙からインスパイアされたのですか?」と聞かれたことがある方もいるそう。しかし、その実態は34年前からスタートしている、いわば“元祖・総選挙”なのだ。そんなサンリオキャラクター大賞が、今年、例年以上に意味のあるものとして注目を集めている理由を次のように考察する。
「初日のWeb総投票数は36万5416票。昨年が23万371票だったので、約160%の票が集まったことになります。おそらく、自分の推しキャラクターが新時代最初の大賞に輝いてほしい、という方が多いのではないでしょうか」(山口さん)
“戦国時代”の再来!? 時代とともに移り変わる人気キャラクターの傾向
過去、大賞を受賞したキャラクターに注目してみると、“時代の写し鏡”のような役割も担っているのが特徴的。これまでの傾向を次のように分析する。

「第1回目のキャラクター大賞に輝いたのは、ザシキブタでした。1984年から商品販売を開始したこともあり、キャラクターの人気に比例して、商品が豊富に展開されていたことが影響していたと考えられます。初期の大賞結果を見てみると、商品展開の多さと連動している傾向が見てとれます」(山口さん)

それまで、キャラクターといえば子供たち・少女たちのもの、というイメージが世間的にもまだまだ強かった。ところが、1996年ごろに女子高校生たちの間でハローキティがブームとなり、キャラクターグッズは「子供だけのものではない」「大人が持ってもいいもの」、という認識が広まっていく。海外での展開も成功し、セレブが持っていたキティが海外でも注目された。それをきっかけにサンリオのビジネスもさまざまな方向へ拡大の拍車をかけていく。そんな、ターニングポイントともいえる時代の影響が、キャラクター大賞の結果にも表れている。1998年から2009年までのハローキティの“12連覇”だ。
「1990年代後半“キティラー”という言葉が生まれるくらい、日本中がキティに包まれました。写真シール機にキティフレームが登場したり、ピンク色のキルト生地を使用した携帯電話ケースが高校生の間で火が付き、大人ファン層へ一気に広がっていったのを覚えています。当時を振り返るとキティをきっかけにサンリオのファンになってくださった方も多いでしょうから、納得の12連覇ですね」(田中さん)

しかし、そのキティの連覇を2010年に阻止したのがマイメロディだ。また、2015年以降はポムポムプリンとシナモロールによる首位争いが見受けられる。これにはサンリオが近年力を入れている「周年事業」が影響していると分析する。

「“周年”を機に店頭に並ぶ商品も増えますし、ファンの方も『記念の年に大賞を取らせてあげたい』と気合いが入りますから“周年”のキャラクターは強い印象ですね。今年でいうと、45周年を迎えたハローキティと30周年を迎えたポチャッコがまさにそうなのですが、初日速報・中間発表を見ても、例年以上に順位をあげてきています。どこまで票を伸ばすか楽しみです」(山口さん)

今年2019年の初日速報では、3連覇を狙うシナモロールが首位をマーク。しかし、ゴールデンウイーク明けに発表された中間発表で1位になったのは、45周年を迎えたハローキティだった。
『いちご新聞』の特集から、世界の人が参加する巨大コンテンツへと成長

今でこそサンリオファンだけでなく、幅広い層から知られるキャラクター大賞だが、その始まりは『いちご新聞』の特集のひとつ。“いちごメイト”(いちご新聞読者)で盛り上がりを見せていたコンテンツが、海外の一般ユーザーも参加する巨大コンテンツへと成長していった理由はどこにあるのだろう。
「第1回目から続いているハガキでの投票方法に加え、2012年に投票サイトを開設したことは大きなきっかけですね。現在は、スマートフォン1つで気軽に参加できることで、一般の方も参加しやすくなったのだと思います」(山口さん)
「気軽に投票できるようになった一方で、無料でできるWEB投票と、いちご新聞やグッズを購入して投票することの価値が一緒でよいのかという声も上がるようになりました。そのため、今年はお店での投票は3倍に、いちご新聞からの投票は2倍にと票数を変えることにしたんです。その影響もあってか、各ショップでは、キャラクターを応援するためにお客さまがより多く来店してくださっていると報告があり、 “キャラクターパワー”を感じざるを得ませんね」(田中さん)

また、気軽に投票できるようになったことで、「小さいころ、サンリオキャラクターが好きだった」と話す人にサンリオを思い出してもらうきっかけとしての意義を持つようになった。ファンづくり、ブランディングの役割を担うことを狙っているとのことで、推しキャラ以外のキャラクターにも目が行くデジタルコンテンツが拡充している理由も納得だ。

あきらめずに34年「継続は力」、キャラクターの“タレント化”に貢献

グッズ販売が中心だった時代から時は流れ、現在は、ライセンス事業を各社が展開している。キャラクタービジネスの在り方に変化をもたらし、昭和、平成と2つの時代を経て「キャラクター=子供のもの」というイメージを覆したという意味でも、業界に与えた功績は大きい。
「ライセンスビジネスをきっかけに、年齢や性別、国を問わず多くの方がキャラクターたちに興味を持ってくれるようになりました。そういう意味では、キャラクターの価値を上げられたかなと思います」(田中さん)
そんなキャラクタービジネスの次なるステージとして注目されているのが“IP化”である。その傾向は、ハローキティが“YouTuber”ならぬ“CTuber”になったことや、公式SNSだけでなく、サンリオキャラクター大賞においても見てとれる。


「ぐでたまは、“頑張らないキャラクター”として知られていることもあって、キャラクター大賞においてもゆる~く参加している印象。ファンの方にもその姿勢が伝わっているのかもしれません。一方、物販に強い特徴をもつキャラクターもいれば、YouTube、Twitter、LINEなど、それぞれの強みを生かして奮闘している子もいます。SNSでの発言直後に票が一気に伸びたりするのを見て、もはやアイドルとファンのような関係性だなとも感じます。今後、キャラクターたちが持つ力がどんな影響を生むのか楽しみです」(田中さん)
すでに投票期間が終了し、残すは6月4日の結果発表のみとなった34回目のサンリオキャラクター大賞。これまで時代の写し鏡として機能してきた同大賞で、令和時代、最初の栄冠を手にするのはどのキャラクターなのか。令和初のキャラクター大賞は6月4日(火)に発表される予定だ。
於ありさ
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