掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信 〜Vol.1〜中編
九州ウォーカー
日本のサブカル界で異彩を放ち続ける掟ポルシェの新連載!ブログやツイッターでは語らない、“掟ポルシェの今”を赤裸々に語り尽くす居酒屋フリートーク企画「掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信」。あなたの知らない“もう一つの世界”はこんなにもおもしろい!(〜Vol.1〜前編からの続き)
もしかしたら自分が被害に合うかもしれないっていう若干のスリル

--今、掟さんが2年前にDJで出演された『りんご音楽祭』の映像を観ながらお話ししてるんですけど。
掟「これね、DJでやってる内容毎年同じですから。喋ってることもほぼ同じです。でも年に一回なんで許されてます」
--最初にだいたい5分くらいMCをされるんですね。
掟「最初のしゃべりが長くなればなるほどかける曲数が減っていくので楽ができます」
--なるほど(笑)。で、このあと曲をかけていくんですけど、ずっとテンション高いままですよね。これ30分やるってすごいですね。
掟「たまにDJで1時間やってくれとか言われることがあるんですけど、絶対無理です!なぜならお客さんが疲れる(笑)」
--掟さんよりもお客さんが疲れていくっていう(笑)
掟「プロレスの試合もそうなんですよ。デスマッチとかFMW系の試合って、だいたい一試合10分もないんですね。長いので15分くらいなんですよ。王道の全日本プロレスとか、DJでいうとちゃんと正統派の人たちとかだと1時間やるっていうのは普通のことなんですけど、俺は基本デスマッチ側ですから(笑)。もたないです。お客さんの集中力もそこまで続かないです。刺激がどんどん刺激じゃなくなっていくんで。長い時間やると」
--それにしてもお客さんはずっと掟さん見ながら笑ってますね。
掟「そうですそうです。そして、自分がもしかしたら被害に合うかもしれないっていう若干のスリル(笑)」
--あ、DJの途中でフロアの近くにある屋台で買い物してますね(笑)。これ何を買うかはその時に決めるんですか?
掟「DJ中に使って面白みがあるもの。例えばフランクフルトとか。自分がくわえたフランクフルトを人に食べさせようとするみたいな若干の不衛生(笑)。焼きそばとかだとちょっと難しいので。やっぱり一通り先に見ておきますね。どこに何の屋台があるのか。あと登りやすそうな木があるなとか(笑)」
--ここ(ステージ横)にありますね(笑)
掟「ここにあるんですよ。毎年俺が登ってる木(笑)。決まって同じ木に登ってます。あの木、いい感じに登りやすいんですよね」
--ちなみに屋台にはいつお金を払ってるんですか?
掟「お金?ああ、露店で物を買う時ですか?リアルタイムで払ってます」
--え、そうなんですか?
掟「リアルタイムで払ってるところを見せた方が面白いんですよ。『DJはメチャクチャなのに、お金はちゃんと払うんだ』みたいなことで」
--それ生で観れた人はラッキーですね(笑)。
掟「(DJが始まる前に)ちゃんとポケットに小銭入れてます。基本自分のDJはビール噴射から始まるんで、ポケットにお札を入れておくとビチャビチャになっちゃうんですよ。財布とかすぐダメになるんでよく買い換えてます。だから小銭だけ入れるようにしてます」
--ビール噴射って野外の会場以外でもやるんですか?
掟「基本的に全部でやります。やっちゃダメって言われたところでもやってよく怒られてます。一昨年かな?『加賀温泉郷フェス』ってのがあるんですけど、(スタッフに)絶対ダメです!って言われてたんです。絨毯敷きのホテルだから。でも当日会場に行ってみたらなんかいけそうなんですよ。ドリンクカウンターの下とかにブルーシートみたいなのが張ってあって。こういう感じだしちょっとだったらいいかなって。あるいは噴射させないで蓋開けた瞬間自分で飲んじゃえばいいんじゃないって。そんな感じでやったんですけど、思ってた以上にビールが噴射して、なんか天井にまで飛んじゃったらしくて……。それで二度と出られなくなりました。『誰にやっていいって言われた!』ってすごい怒られて」
--あははは(笑)
掟「二度と呼ばれないと思います……その節は本当にすいませんでした!」
ようやく福岡に受け入れられた気がします

--先日は『GOTTON JAM 2019』に出られてましたね。
掟「嘉穂劇場ですね!」
--あの会場はどうでした?
掟「嘉穂劇場、飯塚ってところですよね?福岡にお住いの方は分かってらっしゃると思いますけど、土地柄的にちょっと気性の荒いところでありまして。ツイッターで飯塚駅に降り立ったことをつぶやくと、『大丈夫ですか?大丈夫ですか?』とそれだけでみなさんに心配されまして。『カツアゲされないように気をつけて』、『車に乗ってる人と目線が10秒以上合うと拉致られますので気をつけて』とか、あの、それ本気で言ってます?みたいな。元々炭鉱の町ですから気性が荒いっていうか。まあ、諸説ありますけど」
--飯塚いいところなんですけどね(笑)
掟「で、これまで福岡市内でDJやってもほんとにウケなかったんですよ。サブカルチャーに弱い街だから。俺なんかいくらがんばっても福岡市内だと30人くらいしかお客さんが来ないし。4年前に福岡に住み始めた当時、DJで福岡市内のイベントにゲストで行った時に、俺目当ての客、4人ですよ!」
--4人!(笑)
掟「4人!片手以下!何これ!うわ、これは手強いなと思って、そこからちょっと覚悟するようになったんですけど。まあ、福岡でやってもウケないウケない!で、東京まで仕事で出ないと食えないんですよね。単純に言うと。それがですね、この時の嘉穂劇場!満杯!!」
--そうですか!
掟「ぎっちぎち!!!」
--へえ!
掟「フェスだから全部が自分のお客さんというわけじゃないですけど、まぁ面白いようにウケましたね。やることすべてがウェルカムな感じで最高に盛り上がって。多分、筑豊ぐらい気性の荒い街の方が、自分がやってることとかに対して受け入れてくれるだけの度量があるというか。最初『ロマンポルシェ。』を始めた時もやっぱり東京以外はあんまりウケなかったんですよ。で、そんなまだ始めたばかりで知名度もないのに、何故か何度も呼んでくれたのが広島県の福山市。あそこもやっぱりちょっと気性の荒い方が多い街というか、すごく好きな街なんですけど、やっぱりなぜか自分みたいなものを受け入れてくれるんですよね。駅前の一番目立つところに石碑が建っているんですけど、それが行く度に観に行くほど大好きで(現在は別の場所に移動してます)。そこに書いてある文句が、『防ごう シンナー 覚せい剤』。石に彫ってあるんですよ!」
--看板とかじゃなくて、石に!?(笑)
掟「石に彫らないとやめられないんですよ!石に彫らなくても普通やめられるから!そんな流行ってないから!そこまでしないとやめられないんだっていう(笑)。でもそういう街の方が自分がやってることをものすごく受け入れてくれるんですよ。やっぱこう、何て言うんでしょう、夜の街が栄えてるところは全般に娯楽に対しての度量が広い。素直に熱狂したい気持ちがあって、気性の荒い街ほどそこに意外性のあるものや規格外のものを求められてるっていうか。正統派じゃないものを。だから、飯塚の嘉穂劇場に行って初めてようやく福岡県に受け入れられた気がします。俺、ここだったんだ!と思って(笑)。途端に飯塚のことが好きになりましたね」
※〜Vol.1〜後編(7/31配信予定)に続く

掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ):1968年生。男気啓蒙ニューウェイヴバンド『ロマンポルシェ。』&ひとり打ち込みデスメタル『ド・ロドロシテル』での音楽活動、ピッチを一切合わせないアイドル曲オンリーDJ、読後一切頭と心に残らない酷いコラム著述業、アイドルイベント司会を手がける他、頼まれれば法に触れない範囲で大体のことはやる。2015年より福岡西区に在住。
田崎紀之
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