熊本のスターバックス発、パートナーの声を形にした限定マグカップを体験してきた

東京ウォーカー(全国版)

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スターバックスのJIMOTO made Series第12弾「マグ小代焼」(熊本県)


スターバックスの「JIMOTO made Series」最新作は、熊本県嘉島町が舞台!“水の国 くまもと”の職人の技術と、現地のパートナーの声を形にした“いつものコーヒーをさらに楽しむためのこだわりのマグカップ”が、7月23日(火)より、スターバックス コーヒー イオンモール熊本店で販売されることとなった。どのようなものが完成したのか?現地で体験取材をしてきました。

スターバックスと地元の職人が共同開発!“いつものコーヒーをさらに楽しむためのこだわりのマグカップ”とは?


スターバックスのJIMOTO made Series第12弾「マグ小代焼」(熊本県)


スターバックスの「JIMOTO made Series」第12弾として完成したのは、熊本県の北部で焼かれる陶器「小代焼(しょうだいやき)」の技術で作り上げた「コーヒーアロママグ小代焼」(税別5900円)。素朴ながら、つい手を伸ばしたくなるような存在感のある器を手掛ける嘉島町の「たけみや窯」とスターバックスが共同で開発したマグカップだ。

“水の国 くまもと”だからこそ完成したこだわりのマグカップ!なぜ熊本で?


 


今回の熊本では商品を作る前に、まずはパートナーのワークショップを開催した。そこでは、数種類の水を用意して、水を変えてコーヒーをいれるとコーヒーの味わいはどう変わるのだろうか。パートナーのワークショップで検証したところ、得られた結果は「熊本の水でコーヒーをいれると、『コーヒーのコクや質感』の部分が引き出される」ということだった。

商品開発前に行われたワークショップ


「マグ小代焼」のユニークなフォルムは、事前のワークショップの中で発見したパートナーの声をアイデアとして、この「コーヒーのコクや質感」を感じやすくさせているものだという。

「水の国 くまもと」と呼ばれる理由


 


環境省の選定する昭和と平成の各名水百選に4カ所ずつ、合わせて全国最多の8カ所が選ばれ、熊本地域においては水道水源も100%地下水で賄っている。蛇口をひねれば天然のミネラルウォーターが流れ出てくるといった恵まれた環境が、“水の国・くまもと”と言われる理由だ。

 


この水環境たらしめる要因の一つは、阿蘇山周辺に降り注ぐ豊富な雨と熊本地域の地下に広がっている、お盆の形の岩盤(地下水盆)が地下水の受け皿となっていること。また、その岩盤の上には、阿蘇火山の4度にわたる火砕流噴火によって噴出した火砕流堆積物が広く分布しており、自然のろ過装置に。阿蘇山に降った大量の雨水は地表から染み込み、約20年という長い時間をかけ、自然のろ過装置を流れ、美味しい地下水となっていく。

さらに、今回の舞台・嘉島町には、サントリー九州熊本工場があり「阿蘇の天然水」を採取している場所である。「マグ小代焼」は、同地の美味しい水に自信を持っているパートナーが「この美味しい水で、より美味しくコーヒーを味わっていただくためのマグカップを作りたい」という想いから、開発をスタートさせたものなのだ。

では、共同で開発した「たけみや窯」は、どのような想いで作ったのか。地元・熊本のスターバックスのパートナー約10名と共に、3代目窯元の近重眞二さんを訪ねた。

一度途絶えかけた後、息を吹き返した小代焼


たけみや窯


粗めの陶土に、茶褐色のワラ灰・木灰・長石で調合したワラ灰釉で覆い、白釉や黄色釉を、スポイトや柄杓を使って流し掛けする、大胆かつ奔放な風合いの器で知られる小代焼。焼成温度などにより多彩に変化する釉薬が特徴だ。また、鉄分の多い小代粘土を使用しているため、焼成すると赤茶色に。陶器と磁器の中間にあたる“炻器(せっき)”というもので、吸水性がないため、水漏れもしにくく、電子レンジで使える点もポイントとなっている。

個性豊かな小代焼


小代焼の始まりは、寛永9年(1632年)に細川忠利が豊前国から肥後国に転封となり、これに従った陶工源七(牝小路家初代)と八左衛門(葛城家初代)が焼物師を命じられたところからだといわれている。

たけみや窯の近重氏


しかし、明治維新後には一度途絶えかけた後、昭和になって復興。立役者となったのが、今回訪れた3代目窯元・近重眞二さんの祖父にあたる治太郎さんで、そこから健軍(たけみや)窯の他、いくつもの窯が再び築かれるようになったそうだ。そして、2003年には経済産業省指定伝統的工芸品に指定されている。

“最高の1杯”を…!マグカップに込めた想いとは


ロクロ水挽きの工程で成形しやすくするための「土殺し」をしている所


窯元の近重さんは、小代焼完成までの7つの工程をじっくり解説。土を手で練り上げる「手練」、ロクロによる「成形」、半乾きのときにカンナなどで仕上げる「仕上」、天日による「乾燥」、600℃から900℃で焼く「素焼」、釉薬を素焼地に施す「施釉(せゆう)」、1240℃から1300℃で焼成する「本焼」の工程を、各製造場所へ案内しながら教えていった。

実際に作りながら製造工程を解説していく


小代焼の特徴のひとつでもある釉薬。藁の灰を使って窯元独自の配合で仕上げている


「本焼すると生のときから16%くらい小さくなるんですよ。本焼のあとは2日かけてゆっくり冷まします。冷め割れに気をつけているんですが、窯の蓋を開けるまで、ワクワクした気持ちと心配が入り混じった気分です」と、商品が出来上がるまでの気持ちを語る近重さん。

製造工程を解説する近重さん


また、こだわり部分については「私はあえて鋳込み(溶かした粘土を石膏型に流し入れること)はしないんです。人の手は一人一人異なるので、あえて取っ手も手びねりで一つ一つ付けています」と解説。「各自の手にフィットするものを選んでいただきたいと思っていまして。カップは2本指で持ちたい、3本指で持ちたいなど、それぞれの好みもあるでしょうから、気に入るものを選んでほしいですね」とのことだった。

いよいよパートナーの声を形にしたマグカップとの対面


小代焼を説明した後、「マグ小代焼」のお披露目が行われた。「真心を込めて作りました」と、商品のベールが外されるとパートナーからは歓声が。一同、「かわいい~」と目を輝かせた。

プロジェクト開始前のワークショップから約半年。やっとの思いで商品と対面!


流し掛けした釉薬、側面に波模様を描く櫛目、独特な口元の形状。この形状は、“コーヒーテイスティングの4ステップ”の1つ「舌の上にコーヒーを広げる」という作業がしやすくなる効果があるという。ちなみに、4ステップの1つ目は「香りをかぐ」、2つ目は「すすって口に含む」、3つ目は「舌の上に広げる」、そして最後に「自分の言葉で表現する」。

今回の事前ワークショップでファシリテーター(サポート)を担当し、パートナーの声を引き出したコーヒースペシャリストの渡邊さんは、「外側に反った飲み口は、液体を口で受けに行くような形ではなく、自然と口に入ってきてくれるような、唇に沿った形にしました。カップの口径も、一般的な口の幅にマッチするような大きさに。厚みも極力薄くしようということになりました」と再度、説明。

独特の形状を解説する、コーヒースペシャリストの渡邊さん


陶器で「丈夫な薄い飲み口」を作るのが困難だったそう


近重さんが「土ものは磁器ほど強くないので、普段はそこまで薄くしないのですが、今回はいろいろと試作して作りました。中の釉薬は外側と違った白っぽいものにして、コーヒーの色合いが分かるようにし、側面には阿蘇の山の稜線をイメージして器の縁から流し釉を掛けています」と付け加えると、パートナーからは自然と拍手が沸き起こった。

熊本限定マグカップを手にするパートナーたち。歓声が上がった。


最後は、このこだわりのマグカップを使って、「スマトラ」をテイスティング。するとパートナーは「マグカップの形状のおかげか、丸みのある味わい!」「心が落ち着くような香りの立ち方…」と感動した様子。感激のあまり、思わず涙する人も…!

感激のあまり、思わず涙する人も…!


コーヒースペシャリストも「カップの感触がないような感覚。コーヒーテイスティングをする際はいつも、すすることで口の中にコーヒーを広げようとしますが、このマグカップはそういうことをしなくても、液体だけを口に入れているような感じになる。無意識に口に運んでも、テイスティングをしているように味わいを楽しむことができます」と驚きの表情を見せた。

「全然ちがう!」とマグカップによる味わいの変化に驚くパートナーたち


実際に体験した記者の感想は…「飲みやすい!」。口の中にスーッと“適量のコーヒー”が広がるのを実体験できた。コーヒースペシャリストの話を聞いて、舌の奥の方まで、口全体で味わうことで、コクと酸味をしっかり感じられた。この感覚は、今までのコーヒー体験とは異なるものだった。今までなんとなく飲んでいたコーヒーがもったいなく感じるほど、飲み方一つで味わいが変わることを実感できた貴重な体験となった。

 


さらにパートナーに窯元ツアーの感想を尋ねると「これから地元のよいものをお客さまにお勧めしていける。そのことにワクワクしています」「いろんなお話を聞いて、じっくり見て、体験して、地元の小代焼のことを知ることができて本当に感動しました」などの回答。こだわりのマグカップから、地元の魅力を再認識し、これまで以上に郷土愛を高めているようだった。

平井あゆみ

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