影山貴彦のテレビのホンネ。「強烈に感じる存在感! 千鳥の3分番組の魅力」
関西ウォーカー
提供読みも施設の紹介も全て2人で行う。視聴者により訴求できるやり方が上手い
今や圧倒的人気を誇る、漫才コンビの千鳥(大悟・ノブ)。テレビて顔を見ない日はないといっても大げさでなく、ますますその知名度を高めている。このコラムでも何度となく彼らの出演する番組を取り上げてきた。読者の中にはお笑い通の方も多いことだろうが、さて、この番組はご存じだろうか?
5月から7月にかけて放送された「大悟を探せ!」(MBS)がそれだ。なんとこれ「3分番組」だったのだ。温泉型リゾート施設がスポンサーの番組で、毎回のロケをそこで行っている。内容は仲の良い2人らしく、「施設の中に隠れた相方を探す」というものだ。「この番組は〇〇がお送りします」という、いわゆる提供読みも、施設の特徴を紹介するくだりも、全て千鳥の2人の喋りで行なう。新鮮だった。
原稿を手に持ちながら、決して流暢とは言えない独特な言い回しでこなす千鳥の姿が実にいいのだ。こうした番組での定番は、提供読みや説明的コメントは、アナウンスのプロに任せる形がほとんどだが、それを逆手にとった手法。どうすれば視聴者により訴求することができるか?を作り手は考えたのだろう。上手いやり方だ。
7月4日の放送オープニングで、ノブが、「この番組、MBS全部の番組のうち、TVer(ティーバー)で1番見られているらしい!」と言った。念のため、TVerとは民放テレビ局が連携して運営している公式テレビポータルサイトのことだ。一定期間、見逃した番組を視聴することができ、数多くの人に利用されている。TVerでは「大悟を探せ!」をノーカット版で見られるとあって、より人気を呼んでいるのだろう。
全国ネットとローカル番組、長尺番組とミニ番組を分け隔てることなく、自らの存在感を視聴者に植え付ける千鳥。驚異の8本撮りで知られるテレビ埼玉の「いろはに千鳥」も面白い。

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

関西ウォーカー
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