「海外でもガンダム立像ができれば」、新メディア開設の『ガンダム』が挑む“新世代ファン”と“世界進出”

東京ウォーカー(全国版)

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東京・お台場のガンダムベース東京で7月31日(水)、『ガンダムシリーズ』新メディア発表会が行われ、ガンダム公式YouTubeチャンネル「ガンダムチャンネル」の開設が発表された。ガンダムシリーズはこれまでもYouTubeでシリーズ最新作をネット配信しており、シリーズのアニメーション制作を行うサンライズの公式YouTubeチャンネルでも動画プロモーションを行っている。そうした中、YouTubeチャンネルをあえて“新メディア”と位置付けた意図はどこにあるのか。サンライズのゼネラルマネージャーを務める小形尚弘氏の言葉からは、40周年を迎えたガンダムシリーズが直面するファンの世代交代と作品のさらなる海外進出、2つの課題と挑戦が見えてきた。

ガンダム公式YouTubeチャンネル「ガンダムチャンネル」ロゴ(C)創通・サンライズ


迫るファンの“高齢化” 新世代ファン獲得にYouTube活用


創通とサンライズが開設したガンダムチャンネルでは、過去のガンダムシリーズ作品から全300エピソード以上を無料配信する。2019年10月からは『ガンダムビルド』シリーズ最新作『ガンダムビルドダイバーズ Re:RISE』の配信も予定されているほか、「C3AFA TOKYO 2019」内で開催されるガンダムゲームのe-sports大会「GGGP 2019」のライブ配信など、企画番組や各種PVも随時更新していくという。

サンライズでゼネラルマネージャーを務める小形尚弘氏


小形氏は今回の公式YouTubeチャンネル開設で、全世代の幅広い人々にガンダムシリーズを届ける環境を作りたいと話す。現在、ガンダムというコンテンツを世代として支えるのは、1979年から放映された『機動戦士ガンダム』や1985年の『機動戦士Zガンダム』など、シリーズの黎明期をリタルタイムで体験した30代後半から40代が中心だ。小形氏はこうした直撃世代と、生まれた時にガンダムがシリーズとして確立していた世代との間にギャップがあるといい、10年、20年後もシリーズを続けていくためには新しい世代を取り込んでいく必要があると話す。

「昨今、特に若い世代はスマートフォンやタブレットの中でメディアを楽しむようになってきています。そうした視聴環境の変化の中で、これまで『ガンダム』に触れることのなかった人たちも含め、シリーズをより広く見てもらえるようなチャンネルを作りたいというのが一番大きな点です」

JRA、プロ野球、ハローキティ…異色コラボでファン層拡大へ


シリーズ作の有料配信や最新作のネット配信はこれまでも様々な形で行われてきたが、シリーズ作品を無料で楽しめるガンダムチャンネルの開設によって、ライト層参入のハードルをさらに下げたい構えだ。これに加え、ガンダムチャンネルのオリジナル番組にタレントの十味を起用するなど、作品以外でも若年層へアピールすることでファンの世代断絶を埋めていきたいという。

「ガンダムチャンネル」内の番組に出演するタレントの十味さん


同時に、ガンダムシリーズを手掛ける創通・サンライズだからこそ、コアなガンダムファンに向けたよりディープな情報を発信できる強みもある。小形氏は「たとえば現在最新作の『Gレコ』(劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ』)を制作している富野(由悠季)監督も、(作品以外でも)発信したいという気持ちを持っています。こうしたメディアを使えば、サンライズがより主体的にファンの皆さんとの接点を作ることもできます」と、既存ファンと新規ファンを包括した情報発信の場を目指す。

新たなファン層開拓への思いは「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」のコンセプト「BEYOND」にも表れている。同プロジェクトでは、個々の作品の枠を超え国境や世代を超えた幅広い人にアプローチしていきたいという思いから、ハローキティ、プロ野球12球団、JRAなど、異色とも言えるコラボを大々的に展開。話題性もさることながら、先入観にとらわれない形でガンダムの魅力を発信している。恒常的に映像を配信するガンダムチャンネルは、こうした取り組みを今後も続けていく決意表明ともとれる。

「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」ロゴ(C)創通・サンライズ


国民的作品から世界的作品へ 「ハリウッド版ガンダム」で“翔べ”るか


さらに、ガンダムシリーズは海外での人気も高まりつつある。お台場の実物大ユニコーンガンダム立像やガンダムベース東京を訪れる訪日観光客は年々増加。また、昨年のガンプラ世界大会「ガンプラビルダーズワールドカップ 2018」では、中国や韓国、フィリピンといったアジア圏の国や地域に加え、アメリカやフランスなど欧米各国の代表も力作を出展した。今回の公式チャンネル開設は主に国内向けの施策だが、海外市場の可能性を踏まえ、ゆくゆくは新しい作品を全世界で同時に発信できるようメディアの整備を進めていきたいと小形氏は展望を語る。

シリーズ最新作『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』のガンプラ「HGBD:R 1/144 アースリィガンダム」(C)創通・サンライズ


「日本国内では、ガンダム30周年(2009年)に実物大ガンダム立像が潮風公園に登場したのをきっかけに、『ちょっとマニアックなアニメ』から、日常にいておかしくないエバーグリーン的作品になってきたと思っています。一方、国外ではアジア圏での人気は高く、欧米などにも熱心なファンがいらっしゃるのですが、全体で見るとまだまだ知名度が低い。今後、国内外でガンダムブランドをどう展開していくかは我々の命題の1つです」

小形氏は「計画はありませんが」と前置きしつつ「海外でもガンダム立像のようなものができれば」と、世界的な作品への飛躍を期待する。そのターニングポイントの1つとして、小形氏はサンライズがレジェンダリー・ピクチャーズとの共同制作で進めているハリウッドでのガンダム実写映画化を挙げる。また、国内でも2020年に18メートルの動く実物大ガンダムを一般公開することを目指すプロジェクト「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」が進行中で、こちらも国内外から注目を集めることが見込まれる。

国民的作品となった『ガンダム』が次に目指すのは、次世代に続く、そして全世界規模の作品となること。そのためには、大きなプロジェクトを成功させるだけでなく、継続的にファンを取り込んでいく姿勢が必要不可欠だ。新メディア開設は、大きな挑戦を支える確かな布石と言えそうだ。

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