佐藤健「ヒーロー役だけでは息が詰まる、ダサい役もできる今がちょうどいい」
東京ウォーカー(全国版)

1986年の誕生以来、根強いファンに支えられてきた『ドラゴンクエスト』シリーズ初の3DCG映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が、8月2日から公開中。『ドラクエ』シリーズの中でも最高傑作と評される『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』が原案とのこともあり、ファンを中心に公開前から注目されている本作。そんな本作で主人公・リュカを演じるのが佐藤健だ。ピカチュウやハローキティ、ガンダムなどの国民的コンテンツの映画化に注目が集まる昨今。自身もかなりのDQ(ドラクエ)ファンだと話す佐藤が、“ドラクエの映画化”の価値について語ってくれた。
DQ映画の主人公を演じることに、迷いもプレッシャーもなかった

――佐藤さんはもともと『ドラゴンクエストシリーズ』の大ファンだったそうですが、オファーをいただいたとき、どのような気持ちでしたか?
【佐藤健】シンプルに嬉しかったです。発売された当時「ここまでストーリー性のあるゲームがあるのか」と没頭していたゲームだったので。オファーを頂いたときに、脚本はすでに完成していて、劇中のワンシーンに僕が過去に出演した作品の声をはめたパイロット版の映像を見させていただいたんですけど、そのクオリティーがとても高くて感動しました。それで、迷いなく「やりたい」と答えましたね。

【佐藤健】もちろん世界中にファンの多いDQ作品を演じること、声だけの仕事の経験が少ないこともあり、プレッシャーが全くなかったかといったら嘘になりますけど、僕がリュカを演じる上で期待されていることに応えたい一心でしたね。
――『ドラクエ』シリーズの中でも、今回原案となった『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』はゲームが好きなら世代を超えて一度はプレーしたことあるのではないかといっても過言ではないような名作ですよね。収録中、共演者の方と“ドラクエ談義”で盛り上がったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

【佐藤健】もともとDQ好きな坂口(健太郎)くんや、監督、スタッフさんと、当時フローラを選んだか、ビアンカを選んだかみたいな話をして盛り上がりましたね。坂口くんだけフローラを選んだらしく、他のメンバーからひんしゅくを買っていました(笑)。一方、ビアンカとフローラを演じた有村(架純)さんと波留さんは、あまりゲームをやってこなかったそうなのですが、有村さんは映画に向けてドラクエ図鑑みたいなのを買って勉強したらしく「健気だな~」って思いましたね。(山田)孝之くんとは、残念ながら収録がかぶらなかったのですが、ぜひお話したかったです。
ヒーローだけでは息が詰まってしまう、ダサい役もできる今がちょうどいい

――佐藤さんといえば『仮面ライダー電王』に始まり、『るろうに剣心』などヒーロー役を演じているイメージが強くあります。一方、『半分、青い』や『ぎぼむす』では、ヒーローでない佐藤健が評価されドラマ賞も多数受賞されました。そして今度また、ドラクエ主人公となりますね。
【佐藤健】僕自身、子どものころから仮面ライダーを始め、漫画やゲームなど、いわゆるヒーローものが好きで育ってきましたし、今でも好きなので、見られる側としてヒーローを演じるチャンスをいただけるのはうれしいですね。でも、そう思う一方で、いくらヒーローが好きだからといって、ずっとヒーローでいることを続けていたら息が詰まってしまったり、退屈に感じてしまったりするんじゃないかなと思うんです。どんなにお寿司が好きでも、さすがに毎日お寿司を食べられないのと同じで。そういう意味では、かっこいい役もダサい役も、どっちも演じられる今がちょうどいい立ち位置かなと思いますし、俳優という仕事の魅力だなと感じていますね。
――なるほど。ヒーロー役、ダサい役、どちらも魅力的で、演じられる俳優でありたいと。
【佐藤健】もちろん。そもそもヒーロー役か、そうでない役かでジャンルの分け方をしたことがないんですよね。何事においても、いいか悪いかシンプルに判断する性格なので。それに、ヒーロー役だから絶対いいとは限らないし、ヒーローじゃないから悪いということも絶対にないはず。だから、役はもちろん、出演する作品のジャンルや、演じ方への固執はまったくないですね。
俳優、声優のボーダーレス化が進む中「与えられた以上にこなすのがプロの仕事」

――今作は声優さんではなく、佐藤さんら俳優が演じる意味をどうとらえていましたか?
【佐藤健】もしも『ドラクエ』のアニメ化で、絵に動きを合わせるアフレコという手法を用いていたとすれば、声優さんがキャスティングされていらっしゃったのかもしれません。ただ、今回は演者が演じた声をもとに絵を制作していくプレスコで映画が作られていきました。最近の3DCG映画では、このプレスコが主流です。監督の言葉をそのまま借りるのだとすれば「声優だとトゥーマッチ、俳優だと物足りない。声優と俳優のハイブリッドで演じること」を求められていました。とはいえ、実際にやってみると、非常に難しくて苦戦しましたね。監督の求めている声を探り探り演じていて、徐々にわかっていった感覚でした。普段の演じ方だと物足りなかったから、いつもよりもギアを何段階か上げて抑揚強めで、映像の芝居というよりも舞台の芝居というほうが近かったかもしれません。

――今の話に関連することなのですが、今の俳優さんは映像作品だけでなく、声優に挑戦したり、舞台や歌、作家などに挑戦したりと活躍の場が広がっていますね。新しいチャレンジがたくさんあって、大変じゃないでしょうか。
【佐藤健】俳優としての活躍の幅が広がっているのは、喜ばしいことだと思います。ただ、評価される際に「声優が演技をしているからだ」「俳優が声優をしているからだ」って、ジャンルだけを理由に物事を判断してしまうのは、少し安易なんじゃないかなと思います。どちらのジャンルだろうと、与えられた以上のことをできる人はいますからね。だから、僕個人としては、ジャンルに固執しない性格なので、声で演じようと俳優で演じようと、与えられたものは与えられた以上にこなせる人でありたいなと思います。
ゲームの3DCG映画化は…「クロノ・トリガ」&「ボンバーマン」希望!

――最近だとスーパーマリオやロックマンのほか、ハローキティなどの国民的コンテンツの映画化も発表されている流れの中、『ドラゴンクエストの映画化』は映画界にも影響を与えそうですね。
【佐藤健】本作をきっかけにゲームの本編が映画化されていく流れになったら、非常に光栄ですね。これまでゲームが映画化された前例や、成功例って数少ないのですが、正直なことをいうと、今回リュカを演じて完成された作品を観て、僕個人としては、間違いなく成功例のひとつになったのではないかと確信しました。本作を見て「もしかしたら、これも3DCG化できる可能性があるかも」っていうゲームが出て来るでしょうね。そういう意味では、今回の映画が、エンターテインメントの世界が広がる、可能性を広げるパイオニア的な存在になってほしいなと思います。
ゲーム好きの一人としては、ぜひ「クロノ・トリガー」の映画化をしてほしいですし、もし映画化されたら、ぜひ主人公のクロノを演じたいですね。一言もしゃべらない役になりそうですけど。あとは、山田孝之くんとも話していたのですが、ギャグだったら「ボンバーマン」が映画化されても、楽しいんじゃないかなって思います(笑)。
――なるほど(笑)。そういう意味では、幅広い世代のゲームファンにぜひ見に来てほしいですね。

【佐藤健】約30年前に発売された「ドラクエV」が原案ではあるんですけど、ストーリーは王道でわかりやすいし、誰でも感情移入して共感できる内容になっていて、全然色褪せてないなって思いました。

【佐藤健】子どものころって、大人たちからゲームはよくないものだと否定されたじゃないですか。「ゲームにも素敵なところがいっぱいあるのに!」と僕は思っていました。ゲームがくれた楽しい時間や興味まで否定されたくはなかった。この映画は、そういう人たちの心の声を代弁してくれています。過去の自分や、ゲームと共に生きてきた人たちの生き方を肯定してくれて、認めてくれて、包み込んでくれるような感じ。映画を見て、ドラクエの世界に没頭していたはずが、映画の副題である「ユア・ストーリー」の意味につながったとき、鳥肌が立ちましたね。本当にすべての同士に、はやく見てほしい、感想を共有したいですね。
於ありさ
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