影山貴彦のテレビのホンネ。「膿をしっかり出し切れ!未来のお笑いの為に」
関西ウォーカー
エンターテインメントは、社会のあらゆる事柄と「陸続き」なのだ。
連日、「吉本」の名を目にしないことがない状況が続いている。
先にお断りしておくが、出版事情があって、この原稿を書いているのは、7月30日だ。締め切り当日に記しているが、いささかのタイムラグがあることをお許しいただきたい。
可能な限り今に繋がる話をする。今回の件、反省すべき人間は、この上なく大いに反省する。隠し事をしている人間は、それを全て詳らかにする。組織人としてあるまじき行為をした人間は、いかなる形であるにせよ、しっかりと責任を取って、再生に向けて歩を進める。これらを遅滞なく実行に移して欲しいと願っている。すでに進んでいる部分もあると信じつつ、キーを叩いている。
関西人はお笑い、エンターテインメントを特に愛している。「笑えない」状況が続くことは、ファンの望むところから最も遠い。だだ、物事をうやむやにしてスルーすることは断じて許されることではあるまい。膿を出し切らず、表層的処置で済ますことになれば、視聴者、ファンの失望度合いは、取り返しがつかないほど更に大きなものとなる。エンターテインメントのこれからのためにも、各テレビ局はじめ、メディアは今後しっかり対応していく事も大いに重要だ。
今回の事例が、長期に渡る大きな騒ぎとなったことに対して、「しょせんお笑いの世界のこと」と軽視するタイプの人がいるが、それは間違いだ。そもそもエンターテインメントは、社会のあらゆる事柄と繋がっている。まさに「陸続き」なのだ。ましてやこの度の吉本の件は、反社会的勢力、芸能界の雇用問題、パワハラ、組織のガバナンス、行政とのつながり度合いなど、さまざまな社会問題と直結しているということをしっかりと理解しておく必要がある。
エンターテインメントが良き方向に進んで欲しい。私の願いはそれに尽きるのだ。

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

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