掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信 〜Vol.2〜中編
九州ウォーカー
日本のサブカル界で異彩を放ち続ける掟ポルシェの新連載!ブログやツイッターでは語らない、“掟ポルシェの今”を赤裸々に語り尽くす居酒屋フリートーク企画「掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信」。あなたの知らない“もう一つの世界”はこんなにもおもしろい!
みっともなくて死ぬかと思いましたね

——最近出演されたイベントはどうでしたか?
掟「札幌にDJに行ってきまして。共演はアイドルみたいな人が何組か出てて、まだ20歳そこそこくらいの。ひょんなことが起こりまして、その共演した20代のアイドル3人から『小学生の頃、全裸で書いたラブレターを聴いてました』と言われまして」
——へぇ!「全裸で書いたラブレター」はロマンポルシェ。の楽曲ですよね。
掟「主催者がロマンポルシェ。のファンなんで何か言い含められてるのかなと。仕込みみたいな感じで、『意外と曲いいですよねって言うとあの人喜ぶからね』。そう言う風に言われたんじゃないかなと思ったら、全然違うんですよ。本当にたまたまそういう人が集まってて。中にはトラックを自分で作ってるアイドルの女の子とかもいて、それはロマンポルシェ。の影響を受けてるって(笑)。21歳、23歳、27歳だったかな。小学生の頃って言ってもせいぜい10年前なんで、物心ついた時にはYoutubeがあったみたいな感じで。21歳の女の子なんて10年前は小学校5年生とかですからね。しかも『川を泳いでる番組は観てましたよ』って人は結構いるんですけど、それじゃなくて『曲聴いてましたよ』って人が出てきて、なんだこれ!?っていう(笑)」
——20歳くらいの子がファンでしたってのも珍しいですよね。
掟「異常な時代になってきましたよ。Youtubeとかで過去のものを遡れるじゃないですか。関連動画とかで勝手に出てきたりして。それが3人もいて、しかもアイドルだっていう。いや、正直言うととてもうれしかったんですけども」
——今回のイベントはどんな感じだったんですか?
掟「300人くらい入ったらいっぱいくらいのクラブで、アイドルと、アイドルじゃない頭のおかしな人たちが一緒に出てくる感じでしたね。だって、前座が女王様と奴隷ですからね(笑)。アイドルイベントなのにまず前座がSMショーから始まるっていう(笑)。ちょっとおかしいんですよ。でもみんな20歳も超えてるし、そういうのにこだわらない人たちが選ばれて出てるんでしょうね」

——その後には東京で野沢直子さんのイベントにも出演されてましたね。
掟「野沢さん、年に2ヶ月くらい出稼ぎ期間というか、毎年日本に帰ってくるんですけど、なぜか俺が野沢直子さんとロリータ18号っていうパンクバンドのライブが終わった後に大トリで出てきて、西城秀樹のヤングマンを歌う (笑)。DJしに来たはずなのに。それいる?っていう(笑)」
——野沢直子さんも変わらずお元気そうで。
掟「そうですね。相変わらずめちゃめちゃ面白くて。例の吉本の騒動の直後だったんで、ライブ中もずっと闇営業の話をしていました(笑)。吉本の方はネタにする権利がありますからね」
——で、その次がタワーレコード福岡パルコ店のインストアライブでした。ツイッターで掟さんが踊ってる動画が流れてきたんですけど、あれは事前にリハとかしたんですか?
掟「ありませんよ、そんなもの。あの、小林清美先生っていう、宇宙人と精神と精神で宇宙セックスができると一部でおなじみの(笑)。俺は大好きな人なんで基本何されても甘んじて受けるしかないんですけど。K&Mミュージックというアイドル事務所?をやっていて、自分のところのアイドルの曲を作っていて、すごいいい曲を作る人で。でも、発想が自由すぎて時々困ってしまう(笑)。ライブの3日くらい前に『掟さん、私と一緒に即興でダンスをしましょう』ってツイッターでDMが来たんですよ。俺がリミックスした曲があるんで、それに合わせて踊りましょうみたいな(笑)。あの、俺、ダンサーじゃないんで、そういう仕事したことないですよ(笑)。確かに練習して何かをするタイプじゃないんで、瞬発力一発勝負の方が全然いいんですけど。いや、もう有無を言わせないですよね(笑)。どうですか?って聞かれてはいるんですけど、この人に頼まれたら嫌とは言えないですね。で、実際やってみて……いや、地獄でしたね(笑)。またね、福岡パルコの中のタワーレコードが店側の要請で音が小さいんですよ。足音がハッキリ聞こえる程度のちっちゃい音の中でダンスさせられて、みっともなくて死ぬかと思いましたね。久しぶりですよ。何かやってて恥ずかしいと感じたのは(笑)。こういう仕事してるとあまり羞恥心とか恥ずかしいとか感じることはないんですけど、とにかくめちゃめちゃ恥ずかしかったですね。あと、この次の日のイベントもトークの司会で行ったはずなんですけど、清美先生のステージになったときに『はい、じゃあゲストの掟さんで〜す!』って。ええ!?って(笑)」
冬になって寒くなると家燃やして温まるんだ

——今年は九州方面で台風や大雨が続いてますね。前回(Vol.1)、掟さんのご自宅の話をした時に「目の前が海で、裏には山があって」とお聞きしましたけど、災害対策みたいなことはされてますか?
掟「対策はないですね。川もあるんですよ。家の前に。川、山、海と全部あるんですよ。2年くらい前ですかね。結構な集中豪雨が来たことがあって、これ以上降った場合、万が一裏山が土砂崩れする可能性があるとかで、避難勧告のレベルが4くらいかな。『近所に逃げないとダメですよ』の一歩手前くらいまでいったんですよ。その時に、山側から水の流れに乗って土砂が川をつたってやって来て、海にまで流れ込んだんですよ。近所の海の浅瀬の水位が上がったということがあって。川の水位も上がったんですけど、川の中腹をショベルカーで掘って対策はしてくれたみたいです。まぁあまり大雨が降るとそりゃ心配ですよね。今どきの集中豪雨容赦ない量降るんで」
——掟さんの家にまつわる話では、昔住まれていた東京の自宅が火事なった話が有名ですよね。
掟「また話します?それ。擦りすぎてケムリが出てますよ、この話。もう一回燃えちゃうみたいな」
——あははは、よかったらぜひ(笑)
掟「2008年の5月30日に、その当時住んでいた新中野(東京都中野区)のマンションなんですけど、その時は平日の昼間だったんですよね。5月だったんで雨が続いてて、しばらく犬の散歩に行けなかったんですね。犬の散歩に行きたいので、嫁と二人で犬を連れて昼の1時くらいにでかけたんですよ。久しぶりに晴れた日だったので、部屋を換気しようと思って窓を開けてでかけたんですよね。そしたら、30分くらい経ったら俺の携帯に電話がかかってきたんですよ。消防署から。『お宅、燃えてますよ』って。『ええ!なに!?なにそれ!』『火事です。早く帰ってください』『いやいやいや、帰ってくださいって言われても・・・』。その時は新中野から中野坂上あたりまで歩いて来ちゃってたんですよ。うわ、もうこれはダメだと思って、慌てて帰んなきゃいけないからと思って、とりあえず犬抱えて嫁とタクシー乗ったんですよ。で、そんな時に限って渋滞が発生してるんですよ。『何でこんな時に!誰だよ事故とか起こしやがって!バカヤロー!ふざけんじゃねえよ!』って。行ってみたらどんどん自分ちが近づくにつれて車が止まってるんですよ。単純に自分ちの火事のせいで交通規制がかかってただけなんですよ。バカは俺だった(笑)」
——自分で自分に言ってたわけですね(笑)
掟「家を出てすぐ燃えたみたいで。一応、ボヤ+アルファ+アルファくらいだったのでもう鎮火してたんですよ。自分の家の隣の部屋が嫁の部屋だったんで、嫁の部屋から出火してるってことは分かって。自分の部屋も隣だからそれなりに被害があって。でも全部が全部燃えたわけじゃなくてって感じだったんですけどね。でも、消火活動の時に水を撒いたからその水で下の階までは漏水があったらしくて。翌日現場検証をしたんですけど、消防署の鑑識課みたいな火事の原因を特定する人がいるんですよ。その人が来て説明してくれるんですけど、まぁプロフェッショナルでしたね。嫁の部屋の畳が焼けててこの形状からすると、多分これはタバコの火(が原因)だと。その時言われてみたら、嫁が犬の散歩の前にタバコを吸ってたんですよ。タバコの火を灰皿でちゃんと消してたの確認してから出かけたんですけど、消防署の人が言うにはそれじゃダメらしくて。『先端を消したつもりでも中に火種が入っているので、我々消防署の人間は全て水につけて消します』と。たまたま換気をしようと思って窓を開けて行ったら、風が吹いて突風で灰皿ごとひっくり返って、それが畳に乗っかってタバコの火が引火。で、あっという間に燃えちゃったと」
——なるほど!怖いですね!
掟「怖いですね。ちゃんと消したの確認して出かけたわけですから。それでもダメだったみたいで。それで嫁も自分のタバコのせいで火事になっちゃったから落ち込んじゃって。自分で消したとはいっても原因になったタバコもほどなくしてやめてましたね。火事で燃えちゃった後、火災保険が降りて復旧するまでの間のマンションの家賃も払わないといけなかったりとか、金銭的にも苦しくて。住居の回復と嫁の心の回復で色々大変でしたね」

——でもこの火事で、掟さんに予知能力があるんじゃないかって噂になりましたよね。
掟「予知能力っていうか、こういうのって予兆があるんだなって。火事になったのは2008年ですけど、2004年に出したCDのタイトルが『おうちが火事だよ!ロマンポルシェ。』(笑)」
——ドンピシャ!(笑)
掟「それは元々俺がスヌーピーが好きで、スヌーピーの鶴書房から出ていた単行本のタイトルで、『おうちが火事だ!スヌーピー』っていう本があるんですよ。俺が、今回のアルバムタイトル何がいいと思う?って人に聞いたら、それを考えてきた友達がいて、『あ、それいいね!採用!』ってあっさりそれに決めたんですよ。そしたらこんなことになっちゃって。で、それだけじゃないんですよ。2008年の3月に出したベストアルバムの裏ジャケットで、俺とロマンが、俺は全身銀色に塗って、ロマンは全身真っ黒に塗って、スタジオで撮影したんですけど。スタジオで撮影だけだと絵面的につまんないんで、スタジオの扉の外で撮影しようと。でも、裸だから、外まで出られなくてなんか手近にいいものないかと思ったら、丁度見栄えがいいのがあるじゃないですか。というわけで、俺とロマンが二人で火災報知器のボタンを押そうとしてる写真を撮って(笑)。なんでこんな間抜けな予兆がいっぱいあるんだっていう。まだ予兆はありますよ。その年の1月に大根仁監督のテレビドラマに出てるんですよ。大根さん、俺を出す時にいつも(台詞を)フリーにするんですよね。俺の出番だけ台本書いてくれなくて『おまかせで』みたいな。で、台本ないから適当に思いついたことを言うんだけど、その時に俺がフリーで喋ってるのが、『俺の実家の北海道じゃあな、冬になって寒くなると、みんな家燃やして温まるんだ』って(笑)」
——あははは(笑)
掟「半年後、北海道ではなく東京の中野の自宅が焼けたっていう。そういうなんとも言えない予兆が山ほどありました……。想像以上に大変だから、みなさんも火災には気をつけて!」
※Vol.2〜後編〜は9/6に配信予定
今回取材に協力してくれたお店

[Sunshine]福岡市中央区薬院1丁目11-13 正山ビル1F / 092-791-9203 / 20:00〜27:00 / 日曜休
掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ)

1968年生。男気啓蒙ニューウェイヴバンド『ロマンポルシェ。』&ひとり打ち込みデスメタル『ド・ロドロシテル』での音楽活動、ピッチを一切合わせないアイドル曲オンリーDJ、読後一切頭と心に残らない酷いコラム著述業、アイドルイベント司会を手がける他、頼まれれば法に触れない範囲で大体のことはやる。2015年より福岡西区に在住。2019年8月29日(木)に新著『豪傑っぽいの好き』(ガイドワークス社)を発売。
田崎紀之
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