横浜DeNAベイスターズ、2年目左腕・櫻井周斗選手は肝っ玉ピッチャーだった

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現在発売中の横浜ウォーカー「とびだせ!ハマの一番星HYPER」では、横浜DeNAベイスターズ期待の若手左腕、櫻井周斗選手を特集。一軍登録直後の6月7日の西武戦で、山川穂高選手から内角147キロのストレートで空振り三振を奪い鮮烈デビュー。驚いた表情で次打者に球筋を確認するような仕草でベンチに戻る山川選手の姿が印象的でした。ここでは本誌では紹介できなかったエピソードをたくさん交えて紹介します!

野球好きの父親のススメと2人の兄の影響で野球を始めたという櫻井選手(C)KADOKAWA 撮影=福岡諒祠


高校時代は二刀流&清宮キラーとして話題に


櫻井 野球を始めた時はピッチャーでした。中学高校は野手中心で、高校の途中からまたピッチャーをやらせてもらいました。バッティングもピッチングも好きなので、両方やらせてもらえたのはよかったです。

日大三高時代は二刀流として鳴らした櫻井選手。バッターとしては高校通算32本塁打。2017年の「WBSC U-18ワールドカップ」では、早稲田実業の清宮幸太郎選手(日本ハム)と履正社の安田尚憲選手(ロッテ)と共にクリーンナップを組んだ。そして投手としては、2年生の秋季東京大会でその清宮選手から5打席連続三振を奪い、さらに3年生の時に出場した春の甲子園(選抜)では、敗れはしたものの安田選手からも3三振を奪った。2017年のドラフトでは、5位入団でありながら、その注目度は高いものだった。

――櫻井選手が野球を始めたのはいつごろですか?

櫻井 小学校1年生です。父が野球好きで、その影響で2人の兄も野球をやっていたんです。そこで「お前もやってみないか?」って言われて始めました。実は最初はサッカーの方が好きだったんですよ(笑)。でも兄たちが楽しそうにプレーしているのを見ているうちに、野球の方が好きになりました。

――名前が「周斗(しゅうと)」なので、ひょっとしたら親御さんはサッカー好きなのかと思っていました(笑)。

櫻井 言われてみればそうですね。なんで「周斗」なんだろう? 今度聞いてみようかな(笑)。

――小さいころはどんな子供でしたか?

櫻井 内気というか、口数の少ないおとなしい子でした。周囲からはあまり感情を表に出さない子供だと思われていたと思います。

――今とはイメージが違いますね。

櫻井 野球を始めてから感情が表に出るようになったんです。本当は淡々と投げていたいタイプなんですけれど、ピンチとか気持ちを奮い立たせないといけないという時は、自然と感情が前に出ている。子供のころにはなかったことなので、プラスとしてとらえています。

「おとなしくて口数の少ない子供でした」と、意外な子供時代を教えてくれた(C)KADOKAWA 撮影=福岡諒祠


自分の力が足りないのならば、もっと練習すればいい


――これまでの野球歴の中で、印象に残っている言葉、支えになっている出来事ってありますか?

櫻井 高校時代の話なのですが、当時の監督がとても親身になってくれて、いろんなことを教えていただきました。清宮との対戦で名前を覚えてもらえるようになってきた時に、「周囲から見られていることを忘れてはいけない」「人間性を大事にしよう」ということを教わりました。今、プロ野球選手になって、その言葉の重みが増しています。

――プロ入り2年目。振り返ってみてどのような1年でしたか?

櫻井 1年目は開幕前のオープン戦まで一軍にいさせてもらい、一軍のレベルを実感することができました。球速だったり、コントロールだったり、自分にはまだまだ足りないところがたくさんあると実感しました。早く一軍で投げたいという気持ちはありましたが、課題がはっきりしたおかげで焦ることはありませんでした。結局1年間ファームで過ごしたのですが、「WBSC U-23ワールドカップ」の日本代表にも選んでもらえましたし、今年につながるいい1年になったと思います。

――今年6月についにプロ初登板を飾りました。

櫻井 もともと緊張しないタイプなんですけれど、あの日だけはさすがに緊張しました。ピークはリリーフカーに乗っている時。自分の登場曲が流れる中、あの大歓声を聞いて、勇気をもらうと同時に “オレ、大丈夫かな”って、ちょっと自分を心配してしまいました(笑)。そうしたらマウンドに上がってすぐに、先輩方が声をかけてくださったんです。おかげで、落ち着いて(伊藤)光さんのミット目掛けて投げることができました。

――相手は西武の山川選手。昨年のパ・リーグの本塁打王です。どんな印象でしたか?

櫻井 すごいバッターであることは承知していますが、いつでも一軍で投げられる準備をしていたし、グラウンドに立ったら年齢もキャリアも関係ないって思っているので、あまり意識はしませんでした。むしろ打たれることを怖がるより、しっかりと攻める姿勢を、味方にも相手にも見せることを心掛けていました。そういう姿勢を見せなければ、次に呼ばれるチャンスはないと思ったんです。攻めていって打たれたら仕方ない。自分の力が足りないのだからもっと練習すればいい。そう考えています。

デビュー戦で、昨年のパ・リーグ本塁打王から三振を奪った(C)KADOKAWA 撮影=福岡諒祠


一軍登板という目標は達成。次に狙うのはプロ初勝利


――チームは左腕王国です。先輩たちを見ていて感じることはありますか?

櫻井 先輩としても野球選手としても尊敬できる方ばかり。最初は“こんなピッチャーになりたい”という憧れの気持ちがありましたが、それぞれ本当にタイプが違うんです。最近は、その中で自分がアピールできるものは何だろうと、考えるようになってきました。自分のよさは投げっぷりだと思うので、まずは攻めの姿勢を崩さないピッチャーでありたいと思っています。

――今シーズンの目標を教えてください。

櫻井 この間までは一軍で登板することが目標だったのですが、それは達成されたので、次は勝利投手です。先発でも中継ぎでも構わないので、まず1勝。そしてシーズンが終わった時に、チームの勝ちに貢献できたと、戦力になれたと思えるような活躍をしたいです。

――最後に将来的にどんなピッチャーになりたいと思っていますか?

櫻井 息の長い選手なりたいです。18歳でプロ入りしましたから、大学や社会人を経てきた選手より長くプロ野球選手を経験できるはず。10年、20年と長くやれるような、そして三浦(大輔)コーチのようなファンからも愛される選手になりたいです。

*****

約2か月にわたる一軍帯同で疲れが出たのだろうか、7月27日の中日戦から4試合続けて失点。目標である“1勝”はおあずけのまま、8月9日にファーム行きを告げられた。

「力が足りないのなら、もっと練習すればいい」

櫻井選手の声が思い出される。

そしてそんな櫻井選手への、ラミレス監督の期待は高い。

「“グラウンドの中では年齢もキャリアも関係ない”。櫻井がそう言っていたのですか? うれしいですね。攻めのピッチングを標榜する選手はたくさんいますが、それを実行できる選手はそう多くはありません。しかし彼は言動が一致している。常に攻めのピッチングができていました。8月1日のヤクルト戦では1失点しましたが、3回1/3を投げて、最後まで球威が落ちなかった。今後は先発としての適性も見ていきたいですね」

今シーズン中の“初勝利”、そしてそれがどのような形によってもたらされるのかに注目だ。

【取材・文/小貫正貴、撮影/福岡諒祠】

櫻井周斗[投手]41 SHUTO SAKURAI

1999年埼玉県生まれ。日本大学第三高から2017年ドラフト5位で入団。高校時代に早稲田実業・清宮幸太郎選手を5打席連続三振に抑え話題に。6月7日の西武戦で、山川穂高選手から空振り三振を奪い鮮烈デビュー。140キロ台後半のストレートに切れ味鋭いスライダー、ブレーキの効いたチェンジアップが武器。

編集部

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