近年、全国の花火大会で続出する「非開催」「中止」その背景とは?オリンピックイヤーはどうなる?

2019年8月31日 18:00更新

東京ウォーカー(全国版) 今井優佳

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8月も末。今年の花火大会のメインシーズンが終わりを迎えようとしている。この夏、花火大会の「非開催」が例年より目立つ結果に。全国で30件以上が今年の開催はなしと決定し (ウォーカープラス調べ)、中にはこれをもって長年の歴史に終止符を打つ大会もあった。このような事態の背景には、花火大会の「混雑によるトラブル」や「資金難」があるようだ。一方、一部の人気花火大会では「有料観覧席」が定番化している。来年には「東京五輪」が待ち受ける中、花火大会の今後はどうなっていくのだろうか。拡大と縮小、“二極化”が進む背景を探る。

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※画像はイメージIrisImage / iStock / Getty Images Plus

今年は花火大会が相次いで「非開催」や「中止」に

ウォーカープラスでは、毎年1000件以上の花火大会情報を取り扱っている。その中で、「近年、花火大会の非開催が続出している」との発見があった。特に本年度は、少なくとも30件以上の大会が今年の開催はなしと決定。また、大会自体は行うものの、”情報の非掲載”を希望する声も10件以上あった。

さらに、今年はお盆に台風10号が直撃。14日(水)~16日(金)の3日間で、西日本を中心に40件以上が中止となった。あくまで荒天を理由としたものだが、中止した中には「来年以降の開催は未定」とする大会もあった。

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※画像はイメージphoto-vista.de / iStock / Getty Images Plus

なぜ多くの花火大会が「非開催」を決断しているのか。情報の非掲載を希望した大会運営者の声から、その背景が見えてきた。人気ゆえの「異常な混雑によるトラブル」が、大会継続を断念する原因になっているのだ。

拡大と縮小、花火大会は”二極化”が進む

古くから日本の夏に欠かせない存在だった花火大会。その人気は近年さらに上昇中で、経済効果が大きくなるとともに様々な問題も生じてきた。最たるものが「混雑によるトラブル」だ。人混みの中で起こるけがや事故、混乱。警備を最大限に強化しなくては、安心・安全な運営は維持できない。特に多いのは交通面のトラブルで、駅警備や電車・バスの臨時運行の手配、駐車スペースの確保も必要になってくる。

また、開催できなくなる理由は「資金難」にもある。このような大規模なインフラ整備には、事前準備の人件費含め多額の費用がかかる。花火大会の多くは無料で、費用がかさめば立ち行かなくなる。開催に不可欠だった「企業協賛」の減少も、理由の一端を担っている。

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※画像はイメージChiccoDodiFC / iStock / Getty Images Plus

企業協賛だけでは成り立たず、募金による開催を行っている例もある。その一つが福岡県宗像市で行われている「大島花火大会」だ。50年以上の歴史を持つものの、現在は資金面で厳しい状況におかれ、島内・島外からの寄付を募るように。今年は台風の影響で一度は中止になったが、検討の末に再打ち上げが決定し、地元で明るい話題となった。

花火大会は縮小していくばかりではない。収益・規模を拡大している大会もある。その代表的な手段が「有料観覧席」だ。

日本三大花火の一つとして知られる「長岡まつり大花火大会」では、例年多数の有料観覧席を用意。特に今年は、1日あたり約4万席を販売したが、窓口販売の開始2時間前に整理券配布が終了するなど大人気に。また、京都の人気花火大会「亀岡平和祭保津川市民花火大会」には3つの有料指定席会場があり、そのうち一つは橋上観覧席となっている。その他にも多くの花火大会で、新たな設置や席数・エリア拡大の動きがある。

「長岡まつり大花火大会」日本三大花火の一つ 

「長岡まつり大花火大会」日本三大花火の一つ 写真提供:一般財団法人 長岡花火財団

拡大と縮小の二極化が進む近年の花火大会。大会中止、非開催が増える背景とは? ※写真はSTAR ISLAND 2019

拡大と縮小の二極化が進む近年の花火大会。大会中止、非開催が増える背景とは? ※写真はSTAR ISLAND 2019

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革新的なのは、2017年にスタートした「STAR ISLAND」だ。日本の伝統花火と、3Dサウンドやライティングなどの最先端テクノロジー、ショーパフォーマンスを組み合わせた複合型イベントで、なんと“全席有料”。初年度・2年目はお台場で開催し、第3回となる今年は場所を豊洲に移し、規模も拡大。総合プロデュースを行う小橋賢児氏は、インタビューで「お金を払ってでも見たい新たな体験に花火をアップデートしたい」という思いを明かしていた。

「STAR ISLAND」今年は“2019: A SPACE ODYSSEY”をテーマに豊洲で開催した

「STAR ISLAND」今年は“2019: A SPACE ODYSSEY”をテーマに豊洲で開催した

それでも日本人から愛され続ける打ち上げ花火、オリンピックイヤーはどうなる?

花火大会は時代の変化とともに楽しみ方の形を変えている。

そんな中、近年活発化してきたのは、「テレビで花火観覧」という動きだ。大型花火大会は地方局やNHKでも中継を行うのが定番となっている。花火に詳しい写真家で”ハナビスト”の冴木一馬氏によれば、「冷房の効いた部屋の中で、大画面テレビで花火中継を見るという楽しみ方が一部で広がっている」とのこと。テレビの性能の進化や4K・8K放送のスタートもこれを後押し。さらに、LINE LIVEやニコニコ動画といったサービスでも花火大会の中継番組が増えつつある。花火が日本人にとって誇るべきコンテンツであり、今後も時代が変わっても愛され続ける“文化”であることには変わりないだろう。

2018年はテレビ大阪の「天神祭奉納花火」の放送視聴率が歴代最高を記録

2018年はテレビ大阪の「天神祭奉納花火」の放送視聴率が歴代最高を記録写真提供:大阪天満宮

伝統ある長岡花火の今年の観覧者数は2日間で108万人となり、昨年の104万人を上回って過去最高を更新した。一方で、「STAR ISLAND」のように花火とテクノロジーを組み合わせた未来型イベントも登場。海外での高評価を受け、サウジアラビアはじめ数カ国で展開予定だ。課題はありつつも、花火大会はさらなる進化を続けている。

来年立ちはだかる大きな壁として考えられるのは、東京オリンピックの開催だ。主な影響は首都圏に限られるものの、大規模な観光客の流入から、先述の「混雑によるトラブル」のさらなる拡大が懸念される。既に「いたばし花火大会」ほか人気花火大会が、例年の7~8月より大幅に前倒しての5月開催を発表しており、非開催を決定した大会も数多い。例年通り開催される花火大会も、影響を鑑みて対策を講じる必要が出てくるだろう。

時代の流れにしたがって娯楽の選択肢は増え、考え方や時間の使い方も大きく変わった。花火大会のあり方も変化し、一人ひとりに合った多様な楽しみ方ができるコンテンツに進化してきている。オリンピックイヤーだからこそ、日本人にとって大切な文化である花火について改めて考えたい。この先もずっと日本人の夏とともに花火があり続けるよう、来年もマナーを守って、夏の夜空に咲く大華を楽しもう。

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