渡辺和貴「この作品は史郎の成長記でもあるので、人間臭くやりたいと思っています」【NINJA ZONE連載6回】

ワールドワイドに活躍する映画監督、プロデューサー、スタントマンで、特撮界のキーマンと呼ばれる坂本浩一が2018年に生み出した『NINJA ZONE』の公演が、2019年も決定！　本作は忍者、サムライ、アクション、殺陣、ダンス、アイドルなど、日本のポップカルチャーを詰め込んだオリジナル・エンタテイメント作品で、9月4〜8日に東京・品川の六行会ホールにて9公演行われる。

昨年のプレ公演に引き続き、桜役・宮原華音らが続投するが、今回は人物背景が一新。全く新しい物語として生まれ変わる。特に男性キャストは大きく変わり、その中心的人物が白蓮教の教祖・天草史郎を演じる渡辺和貴だ。

バカが付くぐらい真っ直ぐな人。演じていてちょっと疲れます(笑)

――『NINJA ZONE』に出演が決まった時のお気持ちは？

【渡辺和貴】「NINJAが中心の作品なので戦いが描かれつつ、歌あり、ダンスあり、殺陣ありのエンタテイメント性の高い作品なので、最初は僕も殺陣がたくさんあるのかな？と思いましたら、役が教祖で(笑)。しかし、全然ないのかと思ったら、思ったよりはありました(笑)。役名は天草“史郎”ですが、歴史上の天草“四郎”ではないので、たまたま名前が同じという気持ちでやらさせていただいています」

――史郎はどんな人物ですか？

【渡辺和貴】「根っからの良い人です。ここまでの人はなかなかいないだろうなと思うぐらい良い人で、バカが付くぐらい真っ直ぐな人(笑)。しかし、いろんな人に心を動かされながら、何でも真に受けてしまう人でもあるので、演じていてちょっと疲れます(笑)」

――近くにいる半蔵や白蓮衆だけでなく、あとから白蓮教に入ってくる竹や丸橋、宗介ら3人組の言葉にも影響を受けますよね？

【渡辺和貴】「そうなんですよ。宗介たち3人組はコメディ部分を担うコミカルなキャラクターなのですが、彼ら以上に史郎はおバカなんじゃないかなー？と思うぐらい真っ直ぐに真に受けるんです」

――しかし、教祖としての登場シーンを見ているとそんな感じはしないですよね？

【渡辺和貴】「はい。衣装からしてボスっぽいですし、冒頭のシーンも教祖としてのボス感がある。しかし、徐々にこの衣装を着せられているような雰囲気が滲み出てくるんですよ。教祖という役割は父親から受け継いだものですが、もしかして教祖は向いてないのかな？と思えるぐらい。演出面の監督をされる石山英憲さんとは、もう何作もお仕事をさせていただいているのですが、いつもやったことのないような役どころを与えてくださるので、石山さんとのタッグを今回も楽しみにしています」

――石山監督はどんな方ですか？

【渡辺和貴】「芝居のうそを許さず、決して妥協をしない方です。ダメ出しをする時は、その役についてというよりも、役者さんの将来のことまで考えてダメ出しをされる。“石山さん、そんな優しいの!?”と驚いてしまうぐらい、根っこのところからダメ出しされるので、とても信用します。実はプライベートでも2人でスーパー銭湯に行くぐらいの仲なので、今回も楽しみにしています」

人間関係を一番大事に演じたいと思っています

――初共演の方が多いと思いますが、このカンパニーはいかがですか？

【渡辺和貴】「アイドルグループでもあるBGを演じる女性の皆さんとはどう接したらいいものやら…と思ったりもしましたが(笑)、7月の舞台『愛媛のスキャンティ』でご一緒した小林れいちゃんがいますので、れいちゃんをきっかけにお話できたらと思っています。加えて、れいちゃんは『NINJA ZONE』の先輩でもありますので、頼りにしてます」

――白蓮教の眞白を演じる湯本健一さんとも少し前の舞台で、ご一緒してらしたんですよね？　湯本さんが、渡辺さんがいらっしゃると場が和むとおっしゃっていましたよ。

【渡辺和貴】「いえいえいえ。僕は石山さんと付き合いが長いので、石山さんに突っ込んだり、逆に石山さんに『納得いきません！』などと冗談を言ったりするだけで、そんなことは全然ないと思いますよ？　でも、確かに石山さんは顔が怖いから、僕が突っ込まないとみんなが本気にしちゃうから、そういう意味では和ませてるのかもしれないです(笑)」

――では、史郎としての見せどころはどこだと思いますか？

【渡辺和貴】「ちょっとしたリアクションですね。町民、半蔵、音羽など、いろんな人物と関わっていきますが、相対する人物との関係性によって、言い回しを変えていきたいなと思っているんです。言葉って、相手との関係性が変わるので。そして、人間関係を一番大事に演じたいと思っています。そこは本番まで深く探っていきたいと思っています。また、この作品は史郎の成長記でもあるので、人間臭くやりたいと思っています」

――そこが一番の見せどころとなりそうですか？

【渡辺和貴】「最後の殺陣は必見です！」

大喜多州統