カジュアルなデザインも豊富な京扇子の老舗「白竹堂 喚風三条寺町店」
東京ウォーカー(全国版)
1718(享保3)年、西本願寺前で旅籠と寺院用の扇子を扱う店として創業し、現在は麸屋町六角に本店を構える白竹堂。創業300周年を迎えた2018年には、デザイナーやミュージシャンなどとコラボレーションした限定販売の扇子も話題に。その評判はSNSで拡散され、コラボ商品を求めて開店前から並ぶファンもいたとか。


紙が貴重だった平安時代、和歌や文書などを書きとめるために用いられた木の板・木簡を束ねて綴じた「檜扇(ひおうぎ)」がルーツとされる京扇子。貴族や僧侶など限られた人しか使うことができない時代もあったが、和紙の技術が発達した江戸時代頃から町の人々にも普及していったという。創業当時は寺院用の扇子を専門に扱っていた白竹堂も、時代の流れとともに一般向けのものまで幅広く扱うように。現在では、飾り扇子や舞扇子から、カジュアルなオリジナルデザインのものまで、多種多様な扇子を手掛けている。
使ってこそ分かる扇子の魅力を伝えたい

「扇子を使ったことのない人や若い世代にもその魅力を伝えたい」と語るのは、営業部の上野健次さん。特に喚風店は場所柄、幅広い世代、国内外から観光で訪れる人も多いため、扇子を使ったことのない人も手に取りやすいカジュアルなデザインを中心に、価格も3000円台と手頃なものからそろえている。
「やはり、畳んで持ち歩きサッと取り出して使えることが扇子の大きな特長です。ほかにも、開閉する際の気持ち良い手応えや閉じた状態での美しさなど、使ううちに感じていただける魅力がたくさんあると思います」

古来より“末広がり”の縁起物としてお祝い事や記念品にも用いられてきた扇子。無病息災のひょうたんや勝ち虫とされるトンボなど、縁起の良い図案のものもそろい、贈り物にもよろこばれるアイテムだ。上野さんは、「自分用に初めて購入された方が、使ってみてよかったからとギフト用に選んでくださることも多いんです」と、うれしそうに話してくれた。
熟練の職人たちに支えられ新たな挑戦も

美しさと機能性を備え、日本国内はもとより海外からの人気も高い白竹堂の扇子。製造は昔ながらの分業制で、完成までに何人もの職人たちが携わっている。「骨づくり、和紙漉(す)き、絵付け、紙を蛇腹状に折る作業など、それぞれの工程が専門性の高い熟練の職人によるものです。1つの扇に5~6人、多いものだと2桁近い数の職人の技術が集まって作られています」

白竹堂では、「“扇子は古いもの”というイメージを覆し、新しいことをやっていきたい」という山岡社長のチャレンジ精神のもと、和紙だけでなく、布やレース、デニム、レザーなど、さまざまな素材の扇子を生み出してきた。その珍しい扇子は若い層の目にもとまり、「ファッションアイテムとして扇子を取り入れたい」と好評を呼んでいるという。こういった商品開発にも専門的な知識や技術を持つ職人たちの存在が欠かせない。「新しいことに挑戦したい時やお客様からご意見を頂戴した時は職人に打診したり、逆に職人の方からアイデアをいただいたりすることもあります」

長い歴史の中で受け継がれてきた伝統を守りながら、時代のニーズに合わせた新たな挑戦を続ける白竹堂。専門店ならではの多彩な扇子がそろうショップを訪れれば、きっとお気に入りの一品と出合えるはず。例年トレンドを取り入れた新作も登場するのでお見逃しなく。
※白竹堂 喚風三条寺町店はAmexとJCBの地元を応援するプログラム「SHOP LOCAL」参加店です
【構成=CRAING/取材・文=岩永茜/撮影=鈴木誠一/ウォーカープラス編集部】
CRAING
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