朝ドラ「ひよっこ」で話題のミニチュア作家・田中達也に単独インタビュー!福岡市科学館で展覧会を開催

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ミニチュア写真家・田中達也さんの展覧会、「『MINIATURE LIFE展』ー田中達也 見立ての世界ー」が福岡市・六本松の福岡市科学館で開かれている。

「MINIATURE LIFE展」―田中達也 見立ての世界― 会場エントランス(C)KADOKAWA


会場内には約100点のミニチュア作品の写真を展示(C)KADOKAWA


NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックでも全国的に話題となった田中達也さんのミニチュアは、単にサイズが小さいだけではなく、文具や生活用品、食品など暮らしの身近なものを“見立て”ているのが特色。ストーリーやアート性があり、思わずくすりとさせられたり、「ああ、こんな見方があったか!」と目からウロコが落ちることも。日々作品を撮って更新している公式インスタグラムはフォロワーが200万人を突破。田中さんの世界。どうやって生み出されているのか話を伺った。

ストックしているアイデアは600ぐらいあります


お菓子をペンキ塗りに見立てた作品「1本1本丁寧に塗られています」 展示されている写真をよーく見てみると…?(C)KADOKAWA


ところどころに実際に使われているミニチュアの人形が! 遊び心満載の会場のため、いろいろなところを観察してみてほしい(C)KADOKAWA


——2011年から毎日、インスタグラム上に作品を発表されています。たくさんのアイデアはどこから浮かぶのですか?

田中達也さん(以下田中さん)「普段の暮らしのなかで思いつくことが多いです。むしろそれがほとんどです。一番アイデアが出るのは買い物をしているときですね。特に100円ショップやコンビニで買い物をしているときなんか。何もないところからアイデアは出てきませんよね。目にすることでそれがスイッチになって思いつきます。物を見るのは大事です。思いついた時点で、スマホにメモして常に書き留めておき、撮影の際にその中から選ぶという感じです」

——ストックはどれぐらいあるものでしょうか。

田中さん「前もってストックしているアイデアは600ぐらいあります」

——600!2年は回せますね!

田中さん「いや、でも3つに1つぐらいです。ちゃんとアイデアとして作品になるのは(笑)。実際やってみたら面白くないとかありますよ」

——作品を作るのがつらくなったりはしないんですか?

田中さん「大変ですよ。風邪引いたりしたときとか。しかし、毎日作品を撮ってアップするっていうのは日課になっています」

——毎日制作をしているんですか?

田中さん「基本的にアップする前日にやっています」

——うっかり熱出したりしたら・・・。

田中さん「それでもやります。出張とかあるときは前もって撮りますけど。午前中撮影して、午後はほかの仕事をしています」

——たくさん撮り貯めされているものだと思っていました。

田中さん「撮り貯めした作品は生ぬるいんです。ギリギリでそのときのいいものを出すからいいんであって。3日分ぐらい撮り貯めしようと思ってやっても、その3日後ぐらいに『これあんまりよくないな』ってことはよくあります」

会場には本物のミニチュアも多数展示してある。こちらはスポンジをテニスコートに見立てた作品。タイトルは「なんて吸収の早い奴だ!」 (C)KADOKAWA


——失礼ですが、もしかして田中さんは宿題ギリギリ派でした?

田中さん「いえいえ前もってやる派ですよ。ポイントは作品が新鮮かどうかですね。自分にとって新鮮さというのもありますが、明日は○○の日とかもあります。世の中で起こった事件のことも考えますね」

——そういえばパイナップルの日もありましたね。その点からいうと“今”を切り取っているはずなのに、懐かしさを感じるという声もあります。

田中さん「それはみんな思っているところがあるからでしょうね。たとえば『ブロッコリーというのは、木にそっくりではないか』って。みんな共有しないから自分だけだと思っているけれど、意外とみんなそう思っている。それが単純に目の前に現れているということでしょうね。自分が思っていることを代弁されているというか。だから僕が出す作品は外しすぎてもおもしろくないし、斬新すぎてもおもしろくないんですよ」

出し尽くしたあとのアイデアというのはより感動が大きい


コッペパンを新幹線に見立てた作品。タイトルは「新パン線」(C)KADOKAWA


拡大してみると、駅名が「博多駅」に! 駅のそばには当イベントの看板も(C)KADOKAWA


——しかし、田中さん独自の見え方というのがあるのかなと思います。その秘策は?

田中さん「アイデアは出し尽くします。出し尽くしてから次のアイデアが出る。その次のアイデアっていうのは、さすがにみんなが思いつかないアイデア。それをひたすらやることで、人が追いつけないアイデアを出すというのが大事だと思っています」

——なるほど。

田中さん「1個目、2個目のアイデアは思いつく。そのはじめの、誰でも共感できるアイデアもいいんだけど、出し尽くしたあとのアイデアというのはより感動が大きい。こういう見方があったんだというのはその先にあるアイデアです」

——インプットはどうしていますか?

田中さん「漫画やアニメ、映画はたくさん観ています。話題の映画は必ず観ますね。なぜならみんなが観るから。漫画もそう。売れているのは理由があるとも思いますし」

——田中さんの作品にはストーリー性が感じられます。この人形とこの人形はお話ししているのかな、なんて。

田中さん「それは大事にしています。このあとこうなるのかな?と想像してもらうことは大事にしています」

——そもそも制作を始められたきっかけは?

田中さん「インスタグラムをやり始めたことですね。最初は風景を撮ってて、被写体がほしいなということでミニチュアを使いはじめた。するとミニチュアを撮るだけではおもしろくない。だったら・・という感じで今の“見立て”のスタイルになりました。“いいね”の反応を見ていると、おもしろいとされるものが共通してきたんです。それが“見立て”でした。こうなったら意地でも“見立て”で通してやる(笑)、というのがこういうふうになったきっかけです」

——今後はどんな展開を考えてますか。

田中さん「もっとたくさんの人に見てもらいたいと思っています。特にまだ知られていない、アメリカやヨーロッパ方面に広がるといいですね。10月にドイツで日本関連のイベントがあるので、まずはそれを楽しみにしています」

畳を田んぼに見立てた作品「帰り道」。母親と背負われた子どもの姿にストーリーを感じ、想像をかきたてられる(C)KADOKAWA


会場では巨大ブロッコリーの下で記念撮影が可能。田中達也さんのこれからの作品も楽しみだ(C)KADOKAWA


「こんな手もあったのか!」「こういう風に見たら面白いな」と発見がいっぱいの田中達也さんの作品。会場を出た後はきっと、物の見方が変わること間違いなし!。写真のほか実物のミニチュアも展示されるほか、科学館らしく宇宙を題材にした作品も多数。ぜひお見逃しなく。「『MINIATURE LIFE展』ー田中達也 見立ての世界ー」は、2019年10月14日(月・祝)まで開催予定。

大月小百合

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