自分史上最高の一着を提案してくれる「SATSUKI TAILOR」

かつてブティック店が多く立ち並び、岐阜県のファッションの先端であった柳ケ瀬商店街。この商店街の一角にあるオーダースーツ専門店が「SATSUKI TAILOR」だ。この店を営む水野琢朗さんは、高齢化が進む柳ケ瀬商店街においては若手の30歳。商店街全体を巻き込んだイベントを積極的に開催するなど、これからの柳ケ瀬を担うキーマンのひとりでもある。

「オーダースーツのよさを、いろいろな方に知ってもらいたい」

大学卒業後は就職し、営業職として一般企業で勤めていたという水野さん。そのときオーダースーツという世界に、初めて触れたのだという。

「幼少のころからファッションには興味があったのですが、自分に合う服がないのが悩みでして。なにせ身長が158cmの割にガタイはいいものですから（笑）」

そこでオーダースーツの店を訪れオーダーしたところ、「ジャストフィット」という感覚を初体験。次第に「オーダースーツのよさを、いろいろな方に知ってもらいたい」と思うようになり、この道を志すようになった。

オーダースーツ店で修行を積み、2016年に「SATSUKI TAILOR」をオープン。水野さんと年齢的にも近い30～40代の若手経営者や、本物のよさを知る50～60代の人など、同店を訪れる客層は多岐に渡っている。

自分だけのために仕立てられた最高の一着をオーダー

体型が特殊でもぴったりなスーツが作れることはもちろん、自分好みのこだわりの一着が手に入ることも魅力。オーダースーツを作る第一歩は、生地選びから。

テーブルの上にはバンチブックと呼ばれる、生地の見本帳がずらり。「数えたことはないのですが、生地だけで1000種類以上はありますかね。取引先の業者さんに『水野さんとこが岐阜のなかで一番取り扱いの種類が多いよ』と、言ってもらえます」

生地に加え、ブリティシュスタイル、アメリカントラッドスタイルなどスーツの型、ボタンの種類、裏地の素材などセレクトの幅はかなり広い。なかには「自分はおしゃれには疎いし、選べるかどうか不安」と身構えてしまう人もいるかもしれないが、しっかりアドバイスをくれるのでご安心を！水野さんと雑談を交えてスーツを作っているうちに、次第にスーツづくりが楽しくなってくるはずだ。

柳ケ瀬は「ダンディズム」を感じる街

岐阜県多治見市出身の水野さんはオーダースーツ店を開くまで、柳ケ瀬商店街を目的に岐阜市を訪れたことはないそう。この場所に店を構えたのも、たまたまテナントの募集があったというのみで特別な理由はなかったという。しかしながら、柳ケ瀬商店街の魅力を今は実感している。

「店を開いてみて気づいたのですが、岐阜の方はとにかく柳ケ瀬が大好き。底に大きなパワーを持った土地だなと感じます。“老舗商店街で頑張る若者”を応援してくれる風潮もあり、私もいろいろなご支援をいただきました。現在ではこの柳ケ瀬に骨を埋めるくらい、がんばって営業していきたいと思っています」

水野さんは「柳ケ瀬サプール」というイベントの主催者でもある。“紳士的なファッション”を身に纏い柳ケ瀬を闊歩するというシンプルなイベントだが、ダンディズムと商店街のレトロな雰囲気がマッチ。地元メディア中心に大きく取り上げられ、話題となっている。

イベントの開催でも商店街の発展に一役買っている水野さんだが、目指すのは飽くまでも「商店による商店街おこし」だ。「『商店街』という言葉の通り、魅力的なお店が並べば自然に人通りは多くなると思うのです。例えば、うちの隣が腕時計店でその隣が革靴店だったとします。そうすると、『柳ケ瀬に来れば、一通りそろう』となりますよね。その腕時計店や革靴店は私自らが開いてもいいし、志を同じにする仲間が開いてくれてもいい」と、展望を語ってくれた。

5万円からと良心的な価格でオーダースーツを作ってくれる「SATSUKI TAILOR」。最高の一着を纏いダンディーに決めて、ダウンタウンに繰り出そう。

※SATSUKI TAILORはAmexとJCBの地元を応援するプログラム「SHOP LOCAL」参加店です

【構成＝CRAING/取材・文＝取材・文＝安田 淳(しらかべ企画社)/撮影＝南 章佑(APOLLO STUDIO)/ウォーカープラス編集部】

CRAING