柳ケ瀬の夜をドラマティックに変える「RESTAURANT＆BAR Enza」

イタリアで修業したシェフが、薪火を用いて創り上げる逸品を楽しめる「RESTAURANT＆BAR Enza」。ブラックを基調とした店内は、レトロなイメージが先行しがちな柳ケ瀬商店街に居ることを一瞬忘れてしまうような洗練された空間だ。

店の名は多くの人が輪になって座る“円座”から付けられている。大切な人と店内に揺らめく薪木の炎を眺めながら、ゆっくりと語らう時間は何事にもかえがたいひととき。

岐阜の食材を中心に使った美味なる料理でお腹を満たすのもよし、バー感覚で訪れて豊富にそろうワインなどを嗜むのもよし。「Enza」ではそれぞれの人の、それぞれの夜に合った過ごし方ができるのも魅力だ。

最高の食感を生み出す「魔法の炎」

キッチンは店内のどの席からも見渡すことができるオープンな造り。繊細に、ときには大胆に調理された食材が、キッチンからダイレクトにテーブルへと運ばれ、ライブ感やダイナミズムにあふれる。このキッチンの中心に立つのは、高島アントニオ康シェフ。イタリアのローマ・トスカーナ・シチリアにある有名レストランで修行したのち、地元・岐阜に戻り本場の味を伝えている。

同店の代名詞であり、シンボルと言えるのが薪火だ。「“薪火でおいしくなる食材”というのを常に追求しています。炭とは異なり温度が低く水蒸気を含むので、スモーキーな香りが付きやすいです。そして、外側はパリッと、内側はジューシーな食感に仕上がります」とシェフ。

薪火の実力を堪能するなら、まずは和牛のグリルを。全国から厳選した十数種の銘柄肉を、店内で熟成保存。それぞれの好みに合った肉をオーダーできる。

この日おすすめされたのは、「岩手県久慈産 山形村の短角牛の薪火グリル」(150g税抜3500円)。農村で放牧飼育されている希少種で、脂肪分が少ないのが特徴だ。薪で焼き上げることによって肉がふんわりと仕上がり、赤身肉の旨味を閉じ込めている。その旨味が、噛めば噛むほどに“湧く”ように押し寄せるので、思わず唸ってしまう。

岐阜食材を活かした一皿や本場ローマのカルボナーラも

岐阜県産を中心とした野菜を、ふんだんに用いた「契約農家さん栽培 旬菜のバーニャカウダ Enza風」(税別1500円)は人気の一皿。ニンニクを何度も煮こぼして手間を惜しまずバーニャカウダソースの上に、ソテーされた旬の野菜がのる。一般的なバーニャカウダとは一線を画し、野菜とソースが一体になった斬新なスタイル。野菜は季節により異なるが、この日添えられた赤オクラは生でも味わえるほど新鮮で、シェフや生産者のこだわりが伝わってくる。

「ローマの味をそのまま再現しています」と、シェフ自らが推してくれたのが、「自家製グァンチャーレとペコリーノチーズのカルボナーラ パッケリ」(税別1600円)。グァンチャーレとは、豚のほほ肉を塩漬けして数週間熟成を加えたもの。イタリアを代表するチーズ、ペコリーノの独特な甘い香りとグアンチャーレの熟成香、そしてブラックペッパーの香りが食欲を刺激し、際限なく口へと運んでしまう。筒状パスタのパッケリの噛み応えも堪らない。

柳ケ瀬の夜に新たな灯をともす存在に

「Enza」のオーナーは自然素材の和菓子を柳ケ瀬商店街で販売し、名古屋にも店を構える人気店「ツバメヤ」の経営者である。この「ツバメヤ」が“新しい柳ヶ瀬”の象徴としてメディアなどで話題になり、柳ケ瀬商店街の動線を大きく変え、昼のにぎわいを生んでいる。

そんなオーナーがさらに考えたのが、「柳ヶ瀬をもう一歩盛り上げるためには、夜が大切」ということ。そして、新業態として柳ケ瀬商店街のなかにスタイリッシュなレストランバーを立ち上げるにいたった。

それにあたり、オーナーに迎え入れられたのが、高島アントニオ康シェフ。オーナーからその想いを聞いたとき、こんなことを思ったという。「私が幼いころの柳ケ瀬は“よそゆき”の服を着て出かけるような、特別な場所でした。『ちょっとカッコをつけたいとき＝柳ケ瀬』のようなブランド意識は、今でも実はどこかに潜んでいるはずです。当店がそれを呼び起こすきっかけになれれば、自分もそのお手伝いができればいいですね」

商店街に、2017年8月に出現した大人の空間「RESTAURANT＆BAR Enza」。今までになかった、スマートな「柳ケ瀬の夜」を満喫しよう。

※RESTAURANT＆BAR EnzaはAmexとJCBの地元を応援するプログラム「SHOP LOCAL」参加店です

【構成＝CRAING/取材・文＝安田 淳(しらかべ企画社)/撮影＝小塚清彦(ホープクリエイティブ) /ウォーカープラス編集部】

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