「主戦場は声優業」タレント化する声優界、福山潤40歳の決意

2019年10月9日 18:00更新

東京ウォーカー(全国版) 国分洋平

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近年、声優人気の上昇が止まらない。CMやバラエティといったこれまで縁遠いと思われていたジャンルでの起用も増加している。今回は、10代で声優としてデビューし、『コードギアス 反逆のルルーシュ』ルルーシュ・ランペルージや『暗殺教室』殺せんせーなど数々の人気キャラクターを演じる声優の福山潤に独占インタビュー。異色の公式YouTubeチャンネル「CV部」に出演するなど、40歳の節目を迎えてさらに活躍の場を広げる福山に、大きく変化する声優業界と20年以上にわたる自らの声優人生について語ってもらった。

40歳の節目を迎えてさらに活躍の場を広げる、人気声優の福山潤

40歳の節目を迎えてさらに活躍の場を広げる、人気声優の福山潤

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櫻井孝宏に「全幅の信頼」 CV部での共演振り返る

CV部とは、人気声優が身近なものに勝手にアテレコをする異色の公式YouTubeチャンネル。コンテンツスタジオ CHOCOLATE Inc.が企画・製作を行っているこの企画の第一弾に、福山が出演した。

――今回の企画ですが、自動車をはじめとした様々なものに勝手にアテレコをするというなかなか型破りな内容ですね。

福山:メインに自動車の映像を使って声優が面白い掛け合いをするという企画を聞いて、なんとなくこういう感じかなって形は想像していたんですけど、実際に台本を読んだら斜め上を行っていました(笑)。

――福山さんはすごくハイテンションな語りで、演技の幅の広さを改めて感じました。収録を振り返っての感想は。

我々のような声の仕事の人間を起用していただき、いろいろなものをとっぱらって大人が精いっぱいふさげるという企画は、挑戦的かつ面白かったです。さまざまな角度からふざけているので、みなさんの感想が聞けると嬉しいですね。

――今回のCV部の中での、福山さんイチオシの見どころ、聞きどころはありますか。

福山:まだ公開前なのですが(※ヴェルファイア・アルファード編の公開は10月23日(水)予定)、ヴェルファイアとアルファードのくだりは、通常の宣伝にも使っているきちんとしたプロモーション映像に僕らの声を被せています(笑)。僕がラジオDJのような感じでセリフを読むことはなかなかないので、櫻井さん(※今回のCMで共演した声優の櫻井孝宏)のクールな感じとの落差、そういった面白みを楽しんでいただけたらいいなと思います。

――今回、ゆかなさん((※同じく共演した声優のゆかな)は別日の収録だったそうですが、櫻井さんとは掛け合いで収録されたんですよね。共演を通して改めて感じたことはありますか。

福山:櫻井さんとはもう十年以上の付き合いになりますが、自身が個性が強い役をやりながらでも、相手とのバランスをリアルタイムでとれる方で。まっすぐなキャラクターだったりとか、悪役だったり、僕が役柄によって芝居に要求されることが変わるなかで、ちょうどいいバランスをとってくれる。共演相手が櫻井さんというだけで、どんな演出がきても「ああ、バランスはとれるようになるな」という安心感があって、全幅の信頼を置いています。

継続の秘訣は「飽きない」こと、意外性を楽しむメンタリティ

ターニングポイントになった作品や声優生活について語る

ターニングポイントになった作品や声優生活について語る

――声優として20年以上活躍されている福山さんですが、ターニングポイントになった作品やキャラクターとの出会いはありますか。

福山:3年、4年おきでターニングポイントとなる作品が1本は必ず出てきます。25歳を過ぎた頃なら『巌窟王』や『XXXHOLiC』、『コードギアス 反逆のルルーシュ』など。その中で、自分のキャラクターや声に合ったものだけでなく、まったく想像もしなかった役柄にも巡り合いました。ルルーシュ(注:『コードギアス 反逆のルルーシュ』の主人公)は僕の中でエキセントリックな部類だったんですよ。

すると今度は、ものすごくアブノーマルなキャラや、ヒロイン的な男の子など、僕のキャスティングで“遊び”が増えていきました。思い描いていなかった使われ方が、自分にとってのターニングポイントだったかなと思います。

――ここ最近では、そうしてキャリアを積んできたからこそ得られた体験はありましたか。

福山:『THE FLASH』という海外ドラマシリーズで、アニメをメインでやっていた僕が、吹き替えのメインもやらせていただけたことは大きかったですね。役柄もすごくまっすぐな好青年で、自分が若手の頃にやっていて得意分野としていたものを吹き替えというところのジャンルで今やらせてもらえる喜びはすごく感じます。

――一方で、長い声優生活の中でつらかったこともあったと思うのですが。

腐るほどありますね(笑)。ただ、僕は落ち込むことをマイナスだと思っていないんですよ。「あれができなかった」と悶々とする時間がとても大切なので。若い頃は悔しい思いをしたら「じゃあどうすればいいか」と考えてスポコン漫画みたいな特訓も結構やりました。緊張するとうまく笑えなかったので、ラッシュ時の駅のホームで、スピーカーのアナウンスが流れた時に笑ってみたりと、人にオススメできない無茶なこともやっていました。

――声優として20年以上、そうして努力を続けられた秘訣はなんなのでしょうか。

福山:一番大きいのは「飽きない」ことです。同じアニメーションというくくりでも、作る人や手法が全然違うと、声優がやることも違うんですよ。また、年齢を重ねて、同じ年齢の役柄でも感じ方やアウトプットが変わってくるので、そこで若い声優たちといかになじませるかといった作業も楽しい。

作品が終わってしまうと、同じ役をもう一度演じることはほとんどないので、その時々にやりきれるようにしたいなと続けてきたら、ずっと楽しくやれています。これからもずっと飽きないんじゃないかなと思います。

「主戦場は声優業」激変する声優界、40歳の決意

今後もあくまで「主戦場は声優業」と決意を語る

今後もあくまで「主戦場は声優業」と決意を語る

――声優として長く活躍されていますが、その間声優という職業の立ち位置や見られ方が大きく変わっていると思います。そういった変化をどう感じていますか。

福山:だいぶ変わりましたよね。以前は声優という仕事があまり理解されておらず、仕事で呼ばれたのに「声優っぽいしゃべりをしてほしくない」と言われることがあって、「じゃあ、声優っぽいしゃべりってなんですか」と訊いても答えが返ってこなかったりと、定義や理解があいまいだったと思います。

だから、この10年くらいで僕らが普段アニメで使う手法をCMやナレーション、全然違うジャンルでも起用して、なおかつそれを楽しんでもらえるくらいに理解をえられる職業になったのは大きな進歩だなと思っています。今回のCV部も、僕や櫻井さんのような声優がどういう作品をやっているかって知っていただけているというのが大前提ですし、そこにはただただ感謝しています。

――今では当たり前になった声優の露出も、以前はほとんどなかったですよね。

福山:この10年で、声優のメディアへの出方というものも変わりました。なので、声優業界に入ってくる方たちも、そうした露出を織り込み済みで入ってくる方たちが増えていますし。僕は裏方的、職人的な魅力を感じて声優をやっていたのが、いつの間にか表に立ったりすることになったので、人生分からないものだなあ、と。

――仕事の幅が広がったことへの戸惑いはありませんでしたか。

若い頃の方が「自分は声優なので」という思いがあったと思います。30歳までは個人活動を一切しないと決めていたのですが、この業界である程度の信頼を勝ち得てくると、ディレクションとしてのダメ出しはもらえても、声優としての方向性へのダメ出しはもらえなくなるんですよ。

できないことや未知の仕事を自分から求めていかないとこのまま(キャリアが)固まっていっちゃうんだろうと思い、以前は物怖じしていたことを痛い目を見てもいいからとはじめたら、むしろ自分の性に合っていたという感じです。

――声優のみなさんのこれまでのがんばりがあってこそ、声優が世の中で憧れの存在になってきたと思いますが、そういった地位向上の面も意識されていますか。

福山:実は僕は逆の立場で、むしろ「尊重されすぎない方がいい」と思っていて。あくまで技術職っていうものが根底にあるので。声優の選出の仕方には、(例えば)歌うこと以外にもっと重要なことがあるはず。(タレントとしての)尊重のされ方が進んで、本当に力もあって技術もあって素晴らしい方の才能がつぶされてしまうかもしれない、そういった危惧はありますね。

――そんな福山さんから、今の時代の声優に憧れて門を叩く方たちへのアドバイスはありますか。

福山:才能はどういう望みで入ってきても変わらないので、どういうきっかけでも声優業界に興味をもってやっていただけるなら僕は歓迎です。

ただ、吹き替えやアテレコ、ナレーションという、技術職としての声優が従来やってきた仕事を本気で頑張らないと、その後の派生もないとも思います。華やかに見えない仕事に対しても、より真摯に向き合っていただけるとうれしいですね。根幹は結局そこですよ、ということは先達として伝えたいです。

――最後に、福山さん自身は、これから声優という職業をどう続けていかれますか。

福山:自分の主戦場は声優業。それをしっかりやることなんだろうと考えています。時代が移り変わって、声優を取り巻く環境や表現の仕方はこれからも大きく変わっていくでしょうが、与えられたセリフやナレーションを読むという仕事は変わらないと思います。声優という仕事が廃れないように、面白がってもらえるように、自分のできる範囲で、自分のクオリティを上げていく。それはずっと変わらないことだと思いますね。

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