素材を生かした絶妙な味わいで大人を魅了。昆布羊羹の「甘精堂本店」
東京ウォーカー(全国版)
1891年(明治24年)創業の老舗和菓子店の「甘精堂本店」が、青森市新町商店街に店舗を構えたのは1926年(大正15年)。季節を感じさせる和菓子を数多くそろえている同店だが、なかでも明治20年後半に考案された「昆布羊羹」が今でも高い人気を誇っている。



店内には、季節菓子のほか、塩豆大福やどら焼き、そして慶事の菓子など幅広い菓子が並んでいる。また、買い物の途中にひと休みできる椅子も配されて、くつろぐ客の姿が。営業課長の嶋田博義さんは「新町商店街を散策されている途中に立ち寄っていただくこともございますので、ひと休みしていただく場所をと思いご用意しています。ご自由に飲んでいただけるお茶もございますのでゆっくりしていただければ」と話す。
“地域の食材を生かした菓子を”との思いで誕生した昆布羊羹

「甘精堂本店」の顔となっているのが「昆布羊羹」。「津軽海峡の湾内で昆布が豊漁だった時期があり、これを菓子に活用できないかということで2代目当主が誕生させました。しかし昆布は上手に手を加えないと生臭さが出てしまう食材ですので、それを取り除くのに大変苦労したと聞いています」と嶋田さん。
現在は粉末状にした昆布を練りこんで作られているとのことだが、これも単純にパウダーにしただけでは美味しさを表現することは難しく、試行錯誤の末に完成した賜物となっている。「現在の味は昭和30年に全国菓子大博覧会で『名誉総裁賞』を受賞した時から変わらぬ製法を継承しており、当時の味を守っています」(嶋田さん)。

さらに、良質な昆布を羊羹に巻いた「若浪」や、日本一の生産量を誇る青森県産のカシスを白餡と練りあげた「カシス羊羹」を販売。特にこれまで和菓子で取り入れられることのなかったカシスを羊羹に仕上げた「カシス羊羹」は注目を浴び、平成27年に第二十七回全国菓子博覧会にて金菓賞を受賞した。
地域で大切に守られている風習を伝承


新しいことに取り組む一方、青森で大切にされている文化も今に伝えている同店。「昭和初期は嫁入りを承諾してもらうために、仲人や婿の両親が箱菓子を持参して嫁の家を訪れる風習がございました。今はめっきり少なくなってしまいましたが、ご家族顔合わせなどに菓子を持参する方がいらっしゃいますので、昔ながらの『嫁もらい菓子』を現在でも大切に作っております」(嶋田さん)。

また、驚くことに店内の奥にはオーストリアで修行を積んだ5代目当主が誕生させたウィーン菓子が並ぶ「シュトラウス」があり、その2階にはカフェサロンも備えている。「和菓子店が洋菓子を製造・販売していることにびっくりされる方もいらっしゃいますが、常に新しいものを追求する姿勢は創業当時から変わらないですね」と嶋田さん。
2019年で創業から128年。伝統を守りながらトレンドを追いかける「甘精堂」は、若い世代からも親しまれている。まずは気軽に訪れてみて。きっとお気に入りの菓子に出会えるはずだ。
※甘精堂本店はAmexとJCBの地元を応援するプログラム「SHOP LOCAL」参加店です
【編集・取材・文=CRAING/撮影=齋藤ジン/ウォーカープラス編集部】
※記事内の価格は特に記載がない場合は税抜き表示です。商品によって軽減税率の対象となる場合があり、表示価格と異なる場合があります。
CRAING
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