たこ焼き文化を道頓堀から世界へ「たこ焼道頓堀くくる本店」

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

道頓堀沿いに、大きく掲げられたタコの看板が目を引く店がある。ここ「たこ焼道頓堀くくる本店」は、道頓堀で生まれ育った人気店だ。その味を求め、週末には行列ができることもしばしば。今や多くの同業店がひしめき合う道頓堀だが、くくるが誕生した1985年(昭和60年)には、たった3店舗しか営業していなかったそう。しかし、2012年には同店のほか、商店街に店を構える専門店とともに「道頓堀たこ焼連合会」を立ち上げ、たこ焼きをテーマにしたイベントなどを行うまでに成長した。

店長を務める吉年美希さん。店内でのイートインのほか、店頭販売も


同店を運営するのは、食品会社でもある白ハト食品工業株式会社。道頓堀に「くくる」を開店したのは、現在3代目代表取締役を務める永尾俊一氏が大学4年生の時だったそう。当時は「KUKURU」とアルファベットの店名で、おしゃれな創作たこ焼きレストランを始めた。作ったたこ焼きを単に売るだけはなく、変わり種の入ったたこ焼きをお客さん自身に焼いてもらうという斬新な挑戦だった。今でこそ罰ゲームの定番となったロシアンルーレット焼を始めたのも、永尾氏が店長をしていた時期だという。

しかし、当時はたこ焼きの人気は高いとはいえず、なかなかお客さんが入らず苦戦したとか。そんな状況でも「NYに店を出したい」という目標を掲げ切磋琢磨すること34年、大阪から関西へ、そして海外へと販路を広げ、現在では国内外に60店舗を抱える大型たこ焼きチェーンへと成長した。数年前には、念願だったNY・マンハッタンの催事への出店も叶ったという。

社員が胸を張っておすすめするこだわりのたこ焼き


仕上げは風味づけに白ワインをひと振り。大振りのたこ焼きはご飯がわりにもなるボリューム満点の一品だ


「うちのたこ焼きは、とにかくふわとろで、お出汁の風味が口の中に広がるんです」と話すのは店長の吉年美希さん。うまさの秘訣を聞くと「オリジナルで作っている粉と卵の配合が絶妙なのです。あとは焼き方。通常、たこ焼き用のピックを1本使うところを2本使い、手を早く動かすことで、火を通しすぎず、ふんわりと仕上げています」

オリジナルの粉の調合は社内でもほとんど知らないというトップシークレットだというが、「カツオベースの出汁が肝かと…(笑)」と、ヒントをくれた吉年さん。

本店限定の名物「びっくりたこ焼」(1600円)は、アツアツの鉄板で提供。毎朝魚屋さんから届けられる新鮮な刺身用のたこを使用している


卵をたっぷり使った「明石焼」(790円)は地元の人からも愛される定番メニュー


多いときは、一気に9人前を焼き上げることもあるという吉年さん。たこ焼きは、とにかくすばやく何度も繰り返しひっくり返して焼き上げる。雄々しく豪快に焼き上げるパフォーマンスに目を奪われる人も多々。一方、明石焼きは、女性を扱うように優しく、丁寧に。ひっくり返すのも一度か二度で、生地でたこを包み込むように焼くことで口の中でとろける食感になるのだ。

仕事で大阪を訪れたというビジネスマンは「道頓堀に来たら、たこ焼きを食べないと!と来店しました。サイズの大きさに驚いています」と顔をほころばせた


関西では昔から愛されていた明石焼きだが、知名度が低く、全国的には注文も少なかったとか。「明石焼きこそ、ぜひ食べていただきたい。出汁に自信があるので、ひと口食べれば納得していただけると思います。最初はお出汁につけて、次に紅ショウガや三つ葉を入れて、と一品でいろいろな味わい方ができるのも明石焼きの魅力です」と話す。

世界へと羽ばたく、くくるのたこ焼き


「くくる」の味を自宅で楽しめる、たこ家道頓堀くくる 「たこ焼の素6点セット」(1080円)もお土産に人気。特製のイカ天やフルーティーなソースなどもセットになっている


訪日外国人が増えたこともあり、たこ焼きは、大阪、ひいては日本を代表する食文化として認知されている。特に欧米ではあまり好んで食されないタコだが、たこ焼きを作る際の職人技がエンターテインメントとして受け入れられ、今では多くの外国人がたこ焼きを口にしている。「海外の人は、たこ焼機に生地が入った平面の状態から、最終的に球体になることがとても興味深いようです。店頭で焼いていると、足を止める方も多いんですよ」と吉年さん。

最後に、白ハト食品工業株式会社の広報・菊池洋子さんに今後の展望を聞いた。「現在、2010年の上海くくる1号店を皮切りに、海外に7店舗を展開しています。また、2012年に立ち上げた『道頓堀たこ焼連合会』ではタコの足の本数に因んだ8月8日に、“道頓堀たこ祭”を行う活動もしております。2025年の大阪万博も決定したので、もっとたくさんの人にたこ焼きの魅力を伝えていきたいです」

「道頓堀コナモンミュージアム」は、本店のすぐ近くの立地。コナモンの歴史を学べるほか、好きな食材を選んでオリジナルのたこ焼きを作ることができる


白ハト食品工業は“コナモン(粉物)文化”をもっとたくさんの人に知ってもらおうと2011年夏に「道頓堀コナモンミュージアム」をオープン。銅板でたこ焼きを焼ける道場など五感で楽しめることができるので、ぜひ立ち寄ってみて。

※たこ焼道頓堀くくる本店はAmexとJCBの地元を応援するプログラム「SHOP LOCAL」参加店です

【構成=CRAING/取材・文=高島夢子(エディットプラス)/撮影=マツダナオキ/ウォーカープラス編集部】

※記事内の価格は特に記載がない場合は税抜き表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となる場合があり、表示価格と異なる場合があります。

CRAING

この記事の画像一覧(全7枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

花火特集

花火特集2025

全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!

CHECK!全国の花火大会ランキング

CHECK!2025年全国で開催予定の花火大会

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る