編集長が語る、これからの商店街と街の未来〜関西・大阪編〜

2019年10月30日

東京ウォーカー（全国版）

全国の個人商店を応援する、AmexとJCBによる地域活性化プログラム『SHOP LOCAL』。本サイトでは全国10の商店街をピックアップして、各地で総力取材を実施。改めて地域の魅力を再発見することができた。そこで、地域の魅力の発信を続けているエリア情報誌ブランド「ウォーカー」を手がける各地域の編集長に “地元”のすばらしさや街の魅力を語ってもらった。

行動を支援することが地域の活性化につながる

関西ウォーカー編集長・篠原賢太郎氏は、「媒体の編集方針は、読者の“行動を支援すること”である」と話す。

「誌面を見た読者が、実際にその場所に行って、食べて、見て、買って、遊んで、というアクションを起こす。そうすることで街ににぎわいが生まれ、それが地域の活性化に繋がると考えています。誌面を“見て楽しい”だけではなく、それをきっかけに実際に行動して、街の楽しさを体感してもらうまでが我々の仕事だと考えています」

すべての画像を見る(6件)

大阪の魅力について尋ねると、地域の特性が垣間見られる一面も。

「安くておいしいものがたくさんあることです。そうでなくては大阪ではやっていけません（笑）。あと、お店の人に話しかけやすいような気がします。他愛もないことでもOKで、お話好きな人が多いですね！」

「道頓堀商店街は大阪を代表する最も活気ある場所」

篠原氏は本サイトで特集した道頓堀について、「大阪を代表する最も活気ある街で商売をやってらっしゃるお店ばかりです。お客さんのことを第一に考える、確固たる信念があるから、みんなに愛されているのだと思います」と話す。

大阪・道頓堀にある大阪松竹座の隣に店を構える。1階の精肉店ではミンチカツやビフカツサンドも販売

道頓堀商店街に店を構えて100年という老舗「はり重」も、みんなに愛されている店の一つ。同店は繁華街として栄えていた新世界にすき焼き屋兼精肉販売の店を開店。戦後の1948年(昭和23年)に、現在の地・道頓堀に場所を移し、現在は和食のほか、洋食なども味わえる店へと進化し、時代に即したニーズに応え続けている。

本サイトの取材に、道頓堀商店会の副会長としても活躍している3代目の藤本有吾さんは、「観光客はもちろんですが、その前に地元に住んでいる僕たちが楽しめるような街にしないと」と話し、商店街でさまざまな取り組みを実施していると語ってくれた。

「地域の人々に根付いている文化も発信したい」

大阪の魅力について篠原氏はこう語る。「道頓堀界隈を中心とした“ミナミ”はもちろんですが、梅田周辺の福島や天満エリアがやっぱり元気ですね。数年前とは町の活気が段違いです。“安くておいしい”の象徴のような街ですね」

情報を扱うことへの理念やおもしろさについて尋ねてみると、キーワードは“そこでしか体験できないこと”だという。

「大阪には実際に足を運んで、自分の目で見て舌で味わってという“体験するからこそ楽しめるおもしろさ”がたくさんあります。歴史や文化はもちろん、食べものやお祭りなど、地域の人々の暮らしに根付いている生活文化も豊富。海外からも多くの人々が訪れる街ですが、まだまだ知られていないことがありますし、私自身も知らないことばかり。それを発見して、どんどん発信していきたいと考えています」

「“地域らしさ”があるからこそ、街の良さが輝く」

2025年に開催が決定している大阪・関西万博や、未決定ではあるがIRの誘致など、これから大きく変化していく大阪。篠原氏は人々の中に「“自分たちの街が世界中から注目されている”という感覚が芽生えてきているように感じる」と語る。

「これは大阪に限ったことではありませんが、地域に暮らす人々が主体となって魅力を発信していくべきだと考えています。もちろん、我々メディアが果たすべき役割もありますが、地域の魅力を継続的に発信する核となるのは、やはりその地域の人々自身の“熱量”であると考えています。自分の街に愛着と誇りを持ってこそ、その街が輝き、多くの人が訪れるのだと。一過性のブームに踊らされるのではなく、地域らしさを失わないことが大切なのだとあらためて思います。歴史や文化のバックボーンがあってこそ、地域の良さが輝くのだと思います。関西ウォーカーはこれからも、街の魅力を発掘するお手伝いをしていきたいと考えています」