常連になりたい!福岡コーヒーカタログ<高宮・大橋エリア編>

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オリジナリティよりも安定の味を大切に「伽楽」


1988(昭和63)年創業。福岡市南区エリアでは随一の歴史を誇る自家焙煎コーヒー専門店で、現在、初代夫婦と、甥っ子にあたる前川周三(まえかわしゅうぞう)さんが切り盛りする。店に入って驚くのは、豆のラインナップの豊富さ。ブレンド12種類、ストレートおよそ20種類と常時32種類程度を準備し、焙煎度合いも幅広い。5年前にカフェスペースを新設した以前は、豆売り一本で営んできたそうで、地域で愛されていることがよくわかる。

伽楽 / 先代夫婦と、現在代表取締役を務める2代目の前川さん(写真中央)。店の歴史が長いだけに、同店で焙煎を学び、独立したコーヒー店の店主も多い


ボンラパスの全店舗や福岡三越といった小売り店をはじめ、喫茶店や会社への卸も多く、創業時から焙煎を担当する初代の増田繁紀さんの熟練の技はいわずもがな。「特別なことはしません。焙煎機の能力をフルに発揮できるように、しっかり整備してあげればいいんです」と話し、31年前に導入した半熱風式の3㎏釜もまだまだ現役。

伽楽 / 今なお現役の創業時からの相棒、フジローヤル3kg釜。隣にふた回り大きい10kg釜を据える


最初から粒がそろっているなど、品質がいい生豆を仕入れることで、焙煎に注力できるようにしている。「最初は自分ならではの個性を、と焙煎していましたが、長年やっていると、お客さんが何を求めているのかという点の方が重要になってくる。僕はそれでいいと思っているんですよ」と増田さんは笑う。

伽楽 / 店があるのは西鉄大牟田線の高架下。店前に置かれたロバの置物から、“ロバのコーヒー屋さん”の愛称で親しまれている


[伽楽(からく)]福岡県福岡市南区大楠3-26-18 / 092-531-6200 / 9:00〜18:30 / 日曜・祝日休み 

理系出身の店主らしいロジカルな焙煎「ツバクロコーヒー」


高宮通り沿いの白を基調とした外観から、大人びた上品な雰囲気を漂わせる。6年前から店を営むのは、以前は関東や関西で精密機械の会社を営んでいた、荻原慎一(おぎはらしんいち)さん。

ツバクロコーヒー / 抽出は自宅でも気軽にでき、味わいの再現性が高いペーパードリップ


「引退したら自家焙煎のコーヒー店をやりたいな、ぐらいで考えていて、東京の『カフェ・バッハ』などで焙煎を習っていましたが、大病を患ってしまいまして。それがきっかけで予定より早い開業となりましたね」と荻原さんは話す。理系出身だからか、「焙煎はさまざまな条件が絡み合う化学反応」と語り、数値や理論を大切にするが、「プロファイルどおりの手順を踏んでも、風味が変わってしまうことがあります。1000回以上焙煎すればわかってくるよ、と教えられたとおり、3〜4年経って、やっとねらった味わいを引き出せるようになりました。それが、逆におもしろくて」と笑う。

ツバクロコーヒー / 焙煎前後に必ず行うハンドピック。「毎日のほとんどの時間を、ハンドピックにあてていますよ」と笑う荻原さん


豆の特性に合わせた細やかな焙煎により、焙煎後の豆は粒がそろい、焼き色も均一。シングルオリジン約10種類をメインに、ブレンドは注文が入るごとにアフターミックスするスタイル。焙煎後5日前後で売り切るよう、こまめに焙煎する。試飲のほか、挽いた状態のドライ、湯を入れたウェットと2種類の香りを嗅ぐことができるので、それを指標に豆を選んでみよう。

ツバクロコーヒー / 定番、シーズナル1種ずつを用意するブレンドと、ストレート10種をラインナップ。産地も中南米、アフリカ、東南アジアと幅広い。オーガニックの豆も人気だ


[ツバクロコーヒー]福岡県福岡市南区野間1-2-12 / 092-562-0121 / 12:00〜20:00(カフェLO19:00) / 月曜休み

先駆者たる所以はカップの中にある「ハニー珈琲 高宮店」


いわずと知れた九州におけるスペシャルティコーヒーのパイオニアで、「マヌコーヒー」や「レックコーヒー」など、数々の“ハニーチルドレン”を誕生させた店としても知られる。今や直営店、暖簾分け店、FC店を含めて九州に18店舗も展開するが、ここ高宮店が、その旗艦店という位置付けだ。

ハニー珈琲 高宮店 / 直営店のバリスタがJBCで入賞した際のトロフィー


生豆の買い付けはCOEの国際審査員も務める代表の井崎克英さんが担当。各国のCOE入賞豆をオークションで落札したものをはじめ、自らが世界中の農園を回り豆の品質はもちろん、生産者の人柄までわかった信頼の置けるものだけを仕入れる。

【写真を見る】ハニー珈琲 高宮店 / 「村山牛乳」を使った「カフェラテ」(550円・税込)は安定のおいしさ


むろん、最高品質の豆を仕入れるだけでなく焙煎の技術も卓越している。16年、卸先だった「レックコーヒー」の岩瀬由和さんと二人三脚でWBCの準優勝を果たしたように、豆のキャラクターを引き出すピンポイントな焙煎技術は世界と戦ったロースターならではの財産。近年は井崎さんの息子で14年にWBCチャンピオンに輝いた英典さんも味づくりやバリスタのトレーニングをサポート。王者に死角はなさそうだ。

ハニー珈琲 高宮店 / 販売するすべての豆が試飲できるスタイルや、豆の購入でコーヒー1杯無料サービス(テイクアウトのみ)もハニーならでは


[ハニー珈琲 高宮店]福岡県福岡市南区野間1-1-1 ラクレイス高宮1F / 092-555-2075 / 10:00~20:00 / 無休 

凛とした空気が心地よい喫茶で心の静寂を「手音」


村上 崇さんが九州芸術工科大学(現・九州大学大橋キャンパス)横に「手音(てのん)」を開いたのは、03年。今泉に店を構えていたころの「珈琲美美」で4年10か月勤め上げ独立を果たした。

手音 / 村上さんの抽出姿はまるで神事を見ているよう。淹れ終わるとまたいつもの静かな空間に戻る。最初は白かった壁も15年間続けた焙煎により飴色に変わった 


入店前、客として通っていた頃、カウンターでマスターの故・森光宗男さんがコーヒーを淹れる様子を飽きもせず眺めていた。「湯を注ぐとネルの中に、むくむくと命が吹き込まれるように感じるんですよ」と村上さんは思い出す。おそらく、今「手音」で村上さんのドリップする姿を見た客も、同じように厳かで神秘的なものを感じるだろう。それほどまでに「手音」もまた静謐な空気に満ちている。

手音 / キリマンジャロやエルサルバドルなどストレートは5種類用意


結局、修業期間中は一度も焙煎の様子を見る機会はなかったが、その味わいはしっかりと舌に留めている。今はそれを頼りに手廻し式の焙煎機で2日に一度豆を焼く。扱う豆はほとんどが深煎りで、二枚看板ともいえるブレンドは、すっきりとして軽い「爽」と香ばしさとコクのある「薫」と、対極といっていい味わいに作り分けている。

特にモカハラールとマンデリンという重厚感のある豆を使い、120㏄に対し30gもの豆を使う「薫」は、その濃厚な味に虜になる人も多い。また、コーヒーを入れたシェーカーを氷塊に押し付け、回転させながら急冷するアイスコーヒーも美味。暑い季節にはぜひ。

手音 / 木漏れ日が射し込む時間帯は特に美しい。本を片手にじっくり過ごす客も多い


[手音(てのん)]福岡県福岡市南区塩原4-12-10 / 092-512-6117 / 11:00~20:00 / 不定休 

九州ウォーカー編集部

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