神野美伽がブギの女王・笠置シヅ子の人生を演じる!「人生を堂々と闊歩していく彼女のエネルギーを届けたい」

2019年11月26日 21:00更新

関西ウォーカー

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昭和の激動の時代を圧倒的な歌唱力と抜群のリズム感、強烈なキャラクターで駆け抜けていった、ブギの女王・笠置シヅ子。彼女の人生を描く音楽劇『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』でシヅ子を演じる演歌歌手、神野美伽に今作への思いを聞いた。

神野美伽。1984年デビューの演歌歌手。近年では海外での音楽活動にも力を入れ、国内外の音楽フェスにも出演


■「笠置シヅ子を通して、がむしゃらに生きる姿や歌でエネルギーを届けたい」


今作は、脚本にマキノノゾミ、演出を白井晃と豊田めぐみが手がける音楽劇。笠置シヅ子役を演じる神野美伽のほか、山内圭哉、福本雄樹、星田英利、鈴木杏樹など個性的な役者が脇を固める。また、参加ミュージシャンも少数精鋭の技巧派が集まり、音楽監督&ピアノに小原孝、ドラムにASA-CHANG、ギターにSatoshi Gogoを迎え、神野美伽が歌うシヅ子の名曲をほぼこの3人でサポート。歌手・神野美伽の魅力も存分に詰め込んだ作品となっている。

にぎやかなビジュアル絵画は「野性爆弾 くっきー!」が手掛けた


なぜ、今、笠置シヅ子なのかとよく聞かれるそうだが、その答えは「今だからこそ、だと思うんです。笠置さんが生きた時代は日本も貧しく、戦後は心身共に疲れ切った人たちが多かった。今の日本もどこかあきらめがあったり希望が持てなくなっている。笠置シヅ子物語をやりたんじゃない。こんな時だからこそ、笠置さんのもつ、がむしゃらに生きて歌った、自分の生き方を曲げずに人生を闊歩した、そういうエネルギーを世のなかに届けたいんです」という神野。

「笠置シヅ子は大好きな歌手のひとり」と語る


■思い入れのある曲は?


劇中には「ジャングル・ブギ」や「東京ブギウギ」「大阪ブギウギ」「買い物ブギー」など、陽気で楽しい名曲が多数登場する。中には、ずっと眠っていた楽譜や音源、資料を紐解き、これまで世に出ていなかった楽曲や歌われていなかった歌詞を初披露するものも。例えば「大空の弟」という曲は、シヅ子のために多数の名曲を生み出した作曲家・服部良一が密かに書き溜めていた手書きの楽譜が資料の中から見つかり、それを、戦争へ行った弟とシヅ子の手紙のやり取りとあわせて曲にまとめたものだ。「歌っていて泣きそうになる時があります。発掘された曲なので、私がこの世で最初に歌うことになる。だから毎回きちんと歌いたいです」。

また「センチメンタル・ダイナ」という曲にも強い思い入れがあるという神野。「これを歌っているころの笠置さんは、恋人の吉本興業創始者の息子、吉本穎右(えいすけ)との永遠の別れを体験しているんです。そして、彼が亡くなった12日後に、穎右との娘を出産している。結婚も許されず、会うこともできず、遠くで想うばかりのまま死別。その後すぐに愛する人の子供を産んで、その子を育てながら舞台に立ったんです。そして、その年の秋に歌い始めたのが『東京ブギウギ』。『センチメンタル・ダイナ』は、あまり広く知られていない曲かもしれませんが、悲しみを抱えながらも歌い続け、さらに、あの陽気な『東京ブギウギ』をレコーディングしたのかと思うと・・・。でも、アーティストとしての笠置さんは、この曲を境にブギの女王と呼ばれるようになった。彼女を鼓舞し、応援した服部先生もまたすごいと思います」と、シヅ子の気持ちにを馳せた。

「一番つらい時に、歌手としては一番のっている!というのが体感できる時。それを自分自身が一番わかっている。歌うことも面白いでしょうし、期待もされている。だけど自分はつらい。神様ってコクやなって。それでも、自分の人生を全うするんだ、という風に生きてらしたんだろうなと解釈しています」。

■笠置さんを知れば知るほど、共通点も感じる


神野は笠置シヅ子を演じるにあたり、取り寄せられる本や資料をとことん読み込んだそうだ。「笠置さんは、服部先生と一緒にアメリカにもおもむき、現地のジャズミュージシャンとも交流していたんです。私も5年半ほど前から、自分が行きたいから歌いたいからという思いを胸に、ニューヨークへ行きはじめ、ハーレムでゴスペルのリハーサルに参加したり、ジャズクラブで笠置さんの『ラッパと娘』を歌ってきました。私がやりたいからやっている。きっと笠置さんも、同じことを言うんじゃないかな」とにっこりとほほ笑む。

「服部先生がジャズをヒントに作った歌を笠置さんが歌い、今、私のような演歌歌手が服部さんと笠置さんの作品をアメリカで歌うというのは非常にドラマチックなことだと思いますね」。

自身の経験と笠置シヅ子の人生がオーバーラップ。


■タイトルにこめられたハイヒールとつけまつげの意味とは?


ハイヒールとつけまつげ。タイトルにつけられたふたつのアイテムについて神野は「これは、本名の亀井静子が笠置シヅ子になるためのマストアイテム」だという。

「彼女は宝塚少女歌劇を受験したんですが、身長が足りなくて落ちたんです。それ以来舞台に立つときは常にハイヒールを履き続けた。つけまつげは、3㎝(1寸)。この2つを身に着けて、舞台にあがると人が変わったようにパワフルになるんです」と神野。

「今の時代、音楽も演劇もテレビも、アイフォンなど手のひらの中ですむでしょう? みんな自分の耳にフタをして、自分の音楽だけを聴く時代。でも、もともと歌や音楽にはエネルギーがある。笠置さんの歌を通して、それを感じてほしいな思う。戦後、暗い時代に神様が『この人に歌わせて、世の中に自分の人生を闊歩する生き方を見せつける役割』として、笠置さんを選んだんじゃないかと思うんです。そして、時代は違うけれども、なんとなく砂を噛むようなこの現代に笠置さんの曲や人生を歌い演じることで、そのエネルギーを届ける役割を私が与えてもらったんじゃないかと思っています」。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』は12月1日(日)までCOOL JAPAN PARK OSAKA TT HALLにて上演。

公式HP:http://sizukoboogie.yoshimoto.co.jp/

田村のりこ

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