日本刀の秘密をゼロから学び、いざ備前長船で聖地巡礼!

関西ウォーカー

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平安時代より数々の名刀を生み出してきた日本刀の聖地である長船(岡山県瀬戸内市)。今もなお、刀造りの技術が受け継がれる日本刀の里を巡って、日本刀の魅力に触れよう!まずは、刀と日本刀の違い、海外の剣との違いなど、意外と知らない「日本刀」の基礎知識を、学んでみよう!

備前おさふね刀剣の里では、毎月第2日曜に古式鍛錬が見られる。火花が飛び散り迫力満点


意外と知らない「日本刀」の基礎知識


一般的にイメージされる日本刀は、平安後期ごろから造られるようになった、刀身に反りのあるものを指す。造りや材質に日本独自の特徴があり、海外の剣は鉄鉱石を、日本刀は砂鉄から造られた玉鋼を材料とする。日本刀は玉鋼を材料とした鋼を折り返し、鍛錬を繰り返して造られる。また、研ぎの技術も世界に誇れるものだ。

太刀は刃が下にあり、紐で腰に下げて馬上戦に使用。刀は刃が上にあり、腰に差して徒歩戦で使用


太刀は刃が下にあり、紐で腰に下げて馬上戦に使用するもの。一方、刀は刃が上に付いていて、腰に差し徒歩戦で使用する。刀は刃長60cm未満を脇指、30cm未満が短刀とよばれる。

7人の職人でひと振りの刀を造る


日本刀作りにはたくさんの職人がかかわっているが、現在の備前おさふね刀剣の里では7つの工程に分かれる。各工程の職人の技をチェックしてみよう!

まず、刀鍛冶(かたなかじ)が、鍛錬によって刀身を造る。鋼を熱して延ばし、折り返すことで3万以上の層となる。その後、研師(とぎし)が10数種類の砥石を使い分け、刀鍛冶の造った刀身を美しく磨き上げる。刃の部分は白く、地鉄は青黒く磨いていく。

刀鍛冶(かたなかじ)が、鋼を熱して延ばし、折り返すことで、3万以上の層となる


研師(とぎし)は、10数種類の砥石を使い分け、刀身を美しく磨き上げる


そして、刀身に神仏等の像を彫る彫金師(ちょうきんし)と、鞘の中で刀身を安定させる鎺(はばき)を造る白銀師(しろがねし)が、機能と装飾面から刀身を仕上げる。鞘については、鞘師(さやし)が厚い朴を使い、鞘や柄を造る。金具や漆塗りが施されたものは、拵(こしらえ)と呼ばれる芸術品となる。

白銀師(しろがねし)、彫金師が、機能や装飾面から刀身を仕上げる


鞘師(さやし)は、厚い朴を使い、鞘や柄を造る


さらに、柄巻師(つかまきし)は、刀の柄にサメ皮や正絹の糸を巻き付けて装飾する。これは、刀が手の中にしっかり収まり、操りやすくする重要な仕事だ。最後に塗師(ぬりし)が、薄く漆を引き、何層にも塗り固めて鞘に美しさと強靭さを与える。漆には防水や防湿の効果もある。

柄巻師(つかまきし)が、刀の柄にサメ皮や正絹の糸を巻き付け装飾する


塗師は、漆を何層にも塗り固めて鞘を美しく、強靭に仕上げる


なぜ岡山県長船が、日本刀の聖地なの?


名刀を生み出し続け、日本刀の聖地とも言われる長船。刀造りの技術が大きく発展した理由は、南北を走る吉井川の水運と、東西に延びる山陽道という交通手段に恵まれていたから。吉井川の水運では中国山地の良質な砂鉄、強い火力を生み出すアカマツなどの燃料を運んでいたそう。

さらに、東西からさまざまな製品が運ばれた山陽道により、発展した「備前福岡」という中世を代表する商業拠点に集積された刀が、船と陸路を駆使して全国各地に流通することになった。

備前刀とほかの刀の違いはなに?


日本には備前(岡山県)、大和(奈良県)、山城(京都府)、相州(神奈川県)、美濃(岐阜県)といった刀の生産地があり、地域ごとに刀は異なっている。そのなかから備前刀を見分けるのに役立つのが、刃に現れる刃文。備前刀には、丁子のつぼみのような「丁子刃(ちょうじば)」などの刃文が多く見られる。

一方でとがった山形が連続して現れる「三本杉」や波が大きくうねるような「濤乱刃(どうらんば)」などは現れないのだとか。またほかの刀と比べて、腰反りが深いのも特徴のひとつだ。

備前刃の刃文は、丁子刃。刃文にも種類がたくさんあっておもしろい


歴史上の有名人も備前刀を持っていた!


備前刀の勇壮な姿と鋭い切れ味は、各時代の有名武将など多くの人々を魅了してきた。備前刀の地元である備前福岡にゆかりの深い黒田官兵衛や、国宝となっている「山鳥毛(さんちょうもう)」を愛刀にした上杉謙信などに始まり、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康といった天下を治めた名将たちも、こぞって備前刀を収集している。刀好きで知られる織田信長は、特に長船派の光忠の作を好み生涯に20数振を集め、ほかにも名品の刀剣を多数所持した。そして天下人である徳川家康のもとにも、多くの備前刀が集まった。そのひと振は、信長から贈られた「大般若長光」だった。また備前刀はその価値の高さから、恩賞として与えられることも多く、多くの武将のもとを渡り歩いたという逸話にあふれる作品も多い。

上杉謙信の愛刀「山鳥毛」を長船に!


国宝に指定されている「山鳥毛」は、備前で長船派と並び立つ刀鍛冶の一派である、一文字派が最も興隆していた鎌倉中期に造られたもの。上杉謙信の愛刀で、備前刀のなかでも最高峰の作とされる。現在は岡山県立博物館に寄託されているが、備前長船刀剣博物館のある瀬戸内市では、この刀を購入し故郷に戻すクラウドファンディング「山鳥毛里帰りプロジェクト」を実施している。寄付額に応じた返礼品なども用意されているので、興味のある人は参加してみて。

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