老舗の豆大福から変わり種まで!年末年始に食べたい大福4選【川田裕美の東京あんこ巡り 最終回】

東京ウォーカー

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第13回のテーマは「大福」。その歴史は古く、発祥は江戸時代初期とも言われる和菓子の代表格です。大福の名店には老舗が多く、創業以来変わらぬ製法を守る店がある一方、いちご大福(第5回参照)など進化系が続々生まれているのも興味深いところ。数ある中から、川田さんが推薦する「一度は食べてほしい」大福を紹介!

豆大福好きにはおなじみ!すべてが完璧な「松島屋」の豆大福


最初は絶大な信頼を置いている「松島屋」さん。私が言うまでもなく有名なお店です。こちらの豆大福1個190円(税込)はとにかく完璧なんです。まず持った時の感触がいい! お餅がすごく柔らかくて、持った瞬間に「これはおいしい」とわかります。その薄いお餅の中には粒あんがギッシリ入っています。水分が少なめのホクホク系で、甘さは控えめ。塩がかなり利いています。

「『松島屋』さんの豆大福はお餅が薄くて、あんこの割合が多い。まさにあんこを食べているという感覚ですが、塩が利いていて全くくどさはありません」


そして「松島屋」さんの特徴の一つが、赤えんどう豆がかなり多く入っているところ。それが少し固めの食感で、ホクホクのあんことの食感の対比がよいです。まさに100年の歴史(大正7年(1918年)創業)を感じさせる貫禄の味わい。あまりにもおいしすぎて、私は最高で1度に4個食べたこともあります(笑)。

【写真】「豆大福」1個190円(税込)。1日1,500個が売れる人気商品。朝から行列ができて、午後の早い時間に売り切れてしまうこともあるので予約がベター(1個から可)


お餅の柔らかさに感動!「麻布 昇月堂」の豆大福


次に紹介するのは、西麻布の「麻布 昇月堂」さん。こちらの豆大福1個220円は、差し入れでいただいて知りました。あんこはこしあん。しっかりとした甘さで舌触りがなめらかです。そして最初に食べた時に驚いたのがお餅の柔らかさ。厚みはしっかりあるんですが、すごく柔らかい! どうしたらこう仕上がるのか本当に不思議です。こちらのお店も大正7年(1918年)創業の老舗で、長年の技術と経験が成せる業なんでしょうね。さらにこちらの豆大福は期間限定商品。しかも販売時期は決まっておらず、お店に問い合わせないとわからない。初めて食べて感動して、その後自分でも買いに行ったら売っていなくて、その時に期間限定商品だと知りました。そんな希少な豆大福なので、差し入れやお土産にすると絶対喜ばれると思います。私自身、いただいてすごくうれしかったです。

「お餅は厚めなのに、本当に柔らかい。もちろんあんこもおいしいです。こしあんのみずみずしさと、赤えんどう豆の固い食感の対比が絶妙です」


「豆大福」1個220円。国産の材料にこだわり、赤えんどう豆がたっぷり入っている。期間限定(季節の大福の合間に販売)だが、注文販売は常時受付(前日までに要予約)


丹波黒豆の存在感が際立つ「しろいくろ」の塩黒豆大福


続いては麻布十番の「しろいくろ」さん。黒豆の中でも最高級の丹波黒豆を使ったお菓子とお茶の店で、「おいしい大福がある」と知人に教えてもらって知りました。それが塩黒豆大福1個260円。あんこはこしあんで色は薄めですが、風味がしっかりしています。あんこ自体のほか、塩黒豆もほんのり甘くて、あんこだけでない甘さを感じられます。また、塩黒豆は丸ごとの粒と刻んだものも2種類入っていて、異なる食感が心地よいです。何よりサイズ感がすごくいい。手のひらサイズで、ちょっと小腹が空いた時にピッタリです。お餅はつきたてで柔らか。皮が厚めなので小さくても食べ応えがあります。

「あんこだけでなく、塩黒豆からもほんのり甘さを感じられるのもポイント。その2つが合わさって独特の味わいを作り出しています」


「塩黒豆大福1個260円。煮詰めた大粒の塩黒豆とこしあん、さらには刻んだ塩黒豆をつきたてのお餅でくるんでいる。丹波黒豆の風味を十二分に引き出している


甘さとほろ苦さが絶妙!「日本橋 日月堂」のコーヒー生大福


最後は変わり種の大福を1つ。「日本橋 日月堂」さんのコーヒー生大福1個260円です。以前こちらのお店に冷やし金つばの取材で伺った時に、同じ冷蔵庫の中に並んでいたコーヒー生大福が気になりました。それで個人的に購入して食べたら、一瞬で好きになりました。お餅にコーヒーを練り込んでいて、中にたっぷりの生クリームと薄っすらこしあんも入っています。コーヒーのお餅は甘くなく、エスプレッソを感じるような渋め。それが中のクリームとこしあんの甘さと本当によく合うんです。「日本橋 日月堂」さんは明治10年(1877年)創業の超老舗ですが、このような斬新なネオ和菓子を開発する姿勢が素晴らしいと思いました。洋菓子好きやコーヒー好きの方、そしてあんこがあまり好きでないという方にもぜひ食べてほしいです。

「コーヒーの香りが強いお餅は、手で持つと潰れそうになるほどの柔らかさ。食べる直前まで冷やしてから味わうのがおすすめです」


「コーヒー生大福」1個260円。オリジナルブレンドのコーヒー、北海道産42%の純生クリーム、北海道産小豆など素材にもこだわる。完全手作りで1日約500個限定


以上、おすすめの大福、いかがでしたか。私は子供の頃から大福が大好きです。柔らかいお餅の中にどんなあんこが隠れているのだろう? ワクワクしながら一口食べると、あんこの味が口いっぱいに広がって、まさに至福の瞬間でした。もちろんその気持ちは大人になった今も変わりません。みなさんも大福を食べて、幸せな気持ちになってください。

【おまけコラム】初恋のいちご大福「おしゃれ」


今回は私があんこ好きになったキッカケの和菓子について。小学生の時に初めて食べた「青木松風庵」さん(大阪・和歌山で27店舗を展開)のいちご大福「おしゃれ」です。当時はその存在を知らなくて、祖母が買ってきてくれたのがいちご大福との出会いでした。初めて食べた時は子供ながらに衝撃でしたね。お餅、あんこ、いちごの3つのおいしさが一度に味わえる。そんな和菓子はそれまで出会っていなかったので、「こんなにおいしいものがあるのか!」とすごく感動したのを今でも覚えています。

いちご大福「おしゃれ」1個216円(税込)。不動の人気を誇るベストセラー商品。みずみずしいイチゴと白あんを柔らかな求肥で包んでいる。毎年11月~翌5月までの期間限定販売


以来、いちご大福が大好きになりました。ところで「おしゃれ」をはじめ、関西のいちご大福は白あんが主流なんです。それが当たり前だと思っていたのですが、上京したら東京は黒あんが主流だったので驚きました。黒あんタイプももちろんおいしいですが、白あんは他の食材を引き立ててくれるので、いちごとすごくよく合います。ぜひみなさんも関西に行く機会がありましたら、私の思い出のいちご大福を食べてみてください。

取材・文=河合哲治郎/撮影=島本絵梨佳、吉澤広哉/フードスタイリング=片野坂圭子

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