弁護士が教えてくれた“ながら運転”厳罰強化で気をつけることとは?「通話と注視がポイント」
東京ウォーカー(全国版)

スマートフォンの普及で“ながら運転”の交通事故は増加傾向に。政府は2019年12月1日に道路交通法の一部を改正し、携帯電話使用等に関する罰則が強化された。その違反にかかわる基礎点数と反則金の額が引き上げられた。

具体的にはどのような内容なのか、何が罰則に当たるのか。交通事案を専門としている加茂隆康弁護士に話を聞いた。
キーワードは「通話」と「注視」
【加茂弁護士】平成30年に、携帯電話等にかかわる交通事故件数は全国で2790件と、5年前と比べて約1.4倍に増加しています。さらに携帯電話の使用が原因となる死亡事故率は約2.1倍でした。交通安全政策というのは私たちの日常に深くかかわっています。そのなかでスマートフォン操作などによる事故が多発していることから、厳罰化という形で今回の法改正が行われました。
――法律から見て具体的にどのような行為をすると“ながら運転”という解釈になるのでしょうか。
【加茂弁護士】「携帯電話やスマホなどを手に持って通話しながら」「携帯電話やスマホを手に持って画面を注視しながら」「カーナビやカーテレビなどの画面を注視しながら」運転する行為です。
「スマホを持っただけでダメなのか?」と気にされている方もいるでしょう。注目すべきは「通話」と「注視」です。改正された道路交通法第71条5の5の条文に「自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第41条第16号若しくは第17号又は第44条第11号に規定する装置であるものを除く。)に表示された画像を注視しないこと。」とあります。
2秒が問題ではなく、操作すること自体が「注視」につながる
――「通話」は分かりますが、「注視」とはどういう行為ですか。
【加茂弁護士】注視について道路交通法に規定はありませんが、道路交通法の解説書によると「注視とは画像表示用装置に表示された画像を見続ける行為」とあり、「画像を見続けることにより危険と感じる時間は、環境により異なるが、各種の研究報告によれば、2秒以上見ると運転車が危険を感じるという点では一致している」とされています。2秒以上というのは、普通に操作していたら2秒は経ちますよね。数字の2秒が大事なのではなく、操作をしてはいけない、ということになります。
――具体的にどのように罰則が改められたのでしょうか。
【加茂弁護士】以前に比べて、最も重い交通の危険を生じさせたケースでは免許停止になるほか、1年以下の懲役または30万円以下の罰金になるなど、以前より何倍も重罰化されました。
スマホのチラ見は安全運転義務違反に!
――スマートフォンを持っていることすらダメなのでしょうか。

【加茂弁護士】ここでのポイントは、「危険を生じさせた者」という点。生じる可能性がある行為をしてはいけない、という意味ではなく、「危険を生じさせ」てしまった、ということになります。例えば「スマホを操作しながら信号を無視した」「スマホを操作して、蛇行運転した」「スマホに気をとられて、高速道路を逆走した」というのは、危険を生じさせた者ですよね。スマホを持っているだけでは、すぐに“ながら運転”にあたるとは言えないと思います。
しかし、スマホを持ってチラッと画面を見て運転していたという場合、安全運転義務違反(道路交通法70条)に該当してしまいます。罰則については「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」と定められています。厳密に言うと、片手運転は安全運転義務違反になります。
――では、信号待ちの停まっているときの操作は大丈夫ですか。
【加茂弁護士】停車時における注視は道交法に抵触はしません。ですが、すぐ車が動く状況である信号待ちの間に注視をすることは、注意が散漫になって危ないことには変わりありません。しないほうがいいでしょう。渋滞のときも同様です。
対象は車載ナビやオーディオも含まれる
――罰則の対象は携帯電話やスマホのほかにありますか。
【加茂弁護士】車載カーナビやオーディオ機器、タブレット、ポータブルプレーヤー、携帯ゲーム機なども含まれます。物の問題ではなく、注視をするものが対象です。
――ハンズフリーでの操作は問題ないでしょうか。
【加茂弁護士】道交法では問題ありません。ですが操作方法によっては、都道府県の条例に抵触する場合があります。たとえば東京都道路交通規則の第8条5には「高音でカーラジオ等を聞き、またはイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」と明文化されています。運転中に周囲の音が聞こえない、注意力が散漫になるような行為を連続して行うことは好ましくない、ということです。
当然ながら、この罰則強化の根底にあるのは安全運転義務の遵守です。道路交通法の改正点や細かいことに目がいきがちですが、それ以前に車を安全に運転するということが一番大切であることを絶対に忘れてはいけません。運転時は周囲に配慮しながら、前を向いて、両手でハンドルを握って運転しましょう。

スマホ等を持ったり見たりすることは、罰則を受けるという問題ではなく、交通事故を引き起こす原因になることは容易に理解できる。この“ながら運転”の罰則強化をきっかけに、自分や周りの人の運転をお互い見直してみよう。無意識にやっていることもあるはずなので、良い機会になるはずだ。
そこで、手に持つことはもちろん、画面を見ることもなく音声で操作ができるスマートフォンナビアプリ「LINEカーナビ」が“ながら運転”対策にはうってつけ。ある家族に「LINEカーナビ」を使ったドライブおでかけをしてもらった。無事目的地には到着できたのか。下記のURLで確認を。【ウォーカープラス/PR】
栗原祥光
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