世界遺産登録で注目!長崎県・五島の歴史と絶景をめぐる一人旅へ

九州ウォーカー

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長崎県の西の海上に大小140の島々が連なる五島列島。ほぼ全域が西海国立公園に指定される豊かな自然のなかに、多数のカトリック教会が点在する。2018年には一部の集落が「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産登録され、注目を集めている場所だ。今回は、キリシタンの歴史をたどるスポットをはじめ、海沿いの絶景ポイントやご当地グルメなど、盛りだくさんの一人旅を満喫してきた!

「福江武家屋敷通りふるさと館」で五島ならではの草木染めを体験!


まずは、福江空港から車で10分ほどの場所にある「福江武家屋敷通りふるさと館」へ。藩政時代に中級武士が居住していたという一帯は、約400mに渡って石垣と石畳が続き、往時の面影を感じられる。

敵の侵入を防ぐため「こぼれ石」と呼ばれる丸い石を石塀の上に積んだ石垣は全国的にも珍しい


ふるさと館として開放している武家屋敷跡は、当時のものが残されている林泉式庭園や石の刻み方が芸術的とも称賛される石垣が見どころ。ほかに福江城のあった城下町当時の歴史を紹介する展示や、郷土民芸の体験室、軽食・喫茶コーナーなどもあり、五島の歴史や風土を体感できる。五島を訪れてまず初めに行くのにぴったりの場所だ。

【写真を見る】年表や地図などで歴史を解説する展示室 / 武家屋敷通りふるさと館


せっかくなので、体験室で五島ならではのものづくりを体験!五島の草木を使った草木染めや民芸品のバラモン凧作り、五島の貝殻で作るフォトフレーム作りがあるなか、今回は植物の自然な風合いが魅力の草木染めにチャレンジ。染料が入らないよう折り目や挟む場所を作った布を専用の植物染料、媒染液、水に繰り返し浸ければ、所要1時間ほどででき上がり。

今回はピンク色に染まるコチニールという植物染料を使用 / 武家屋敷通りふるさと館


ピンク色のほかに臭木の緑色、玉ねぎの皮で黄色に染めたりできるという。先生が話してくれる島の身近な植物や食材についての話も興味深い。やさしい色合いとオリジナルの模様で作る草木染めは、旅の思い出作りにぴったりだ。

選ぶ染料によってさまざまな色合いに染めることができる草木染め(体験料税込2000円〜) / 武家屋敷通りふるさと館


[福江武家屋敷通りふるさと館]五島市武家屋敷2-1-20 / 0959-72-2083 / 8:30〜17:00(7・8月は〜18:00) / 月曜休み(祝日の場合は翌日休み、7~10月は無休) / 入館無料

あの人気名作アニメーションが見られる「山本二三美術館」


「福江武家屋敷ふるさと館」の斜め向かいにあるのが、五島市出身のアニメーション美術家山本二三氏の作品が展示される「山本二三美術館」。山本二三氏は、画業40年以上に渡り「天空の城ラピュタ」や「もののけ姫」、「時をかける少女」などの名作アニメーションの美術監督を務めてきた。館内ではアニメーションの背景画や五島の風景を描いたオリジナルの絵画など、貴重な展示を見ることができる。

山本二三氏が描いた空と雲で囲まれた「空と雲の部屋」。 雲のソファで短編アニメを見ることもできる / 山本二三美術館


建物は武家屋敷通りの中で唯一、建築当時のまま残されている「武家屋敷 松園邸」を改修したもの。靴を脱いでリラックスした状態で、じっくりと作品を観賞できる。五島の雄大な自然を見て育った山本二三氏の繊細なタッチが生み出す作品をまじかに、その幻想的な世界観に引き込まれる。

「もののけ姫~シシ神の森」の背景画 が壁一面を埋め尽くす「森の小道」 / 山本二三美術館


アトリエを再現した空間は、まるで現在も使用されているかのようなリアルさ!数々の名作が生み出された制作現場の臨場感を感じることができる。

使用する道具や画材など山本二三氏のアトリエを忠実に再現 / 山本二三美術館


[山本二三美術館]五島市武家屋敷2-2-7/ 0959-76-3923 / 9:00〜18:00 / 月曜休み、12月29日〜1月3日) / 入館料400円 (2020年2月24日までは企画展につき入館料600円)

五島であがった美味しい魚介を手頃な価格で楽しめる「寿し善」


ランチには、五島であがる新鮮な魚介を使ったお寿司を味わえる「寿し善」へ。主人自ら釣りへ出向き、なるべく地元のものを使うという魚は脂がのって旨味も深い。さらに気軽に訪れやすい価格帯とあって地元の人に評判なのもうなずける!

上にぎり(1400円)、刺身盛り合わせ(1000円)、赤だし(200円) / 寿し善


カウンター席と小上がりの座敷席がある店内 / 寿し善


[寿し善]五島市木場町241-15 / 0959-72-7951 / 11:00〜21:00 / 不定休

キリシタン文化にふれる海辺の「堂崎天主堂 キリシタン資料館」


そこから車で15分ほど走った福江島の北東部に位置するのが、カトリック教会の聖堂「堂崎天主堂 キリシタン資料館」。前身は江戸時代からのキリシタン禁教が解かれて以来、五島初の木造の天主堂として建てられた。その後、就任したペルー神父によって1908(明治41)年に完成したのが、現在のレンガ造りの聖堂だという。

海に面した場所に建つ / 堂崎天主堂 キリシタン資料館


現在は弾圧の歴史や資料を展示する資料館として一般公開され、県指定文化財の木版画やキリシタンの歴史を紐解く資料、祈りの場で使われたロザリオなど貴重な展示が見ることができる。館内は撮影禁止だが、色とりどりのステンドグラスの窓やアーチ型のコーモリ天井など、美しい教会建築は目を見張るものがある。

1974(昭和49)年に教会として県の有形文化財に指定された / 堂崎天主堂 キリシタン資料館


教会から少し階段を上った庭園にあるマリア像 / 堂崎天主堂 キリシタン資料館


[堂崎天主堂]五島市奥浦町堂崎2019 / 0959-73-0705 / 9:00〜17:00(11月11日〜3月20日は〜16:00) / 無休(12/30〜1/3は休み) / 拝観料300円

幅広い五島みやげがそろう「道の駅 遣唐使ふるさと館」


時間に余裕があれば、五島ならではのみやげを購入しに「道の駅 遣唐使ふるさと館」へ足を延ばしてみるのもおすすめ。堂崎天主堂からは車で40分ほどの場所にあり、加工品や銘菓はもちろん、女性におすすめの椿を使った椿オイルやコスメなど、迷ってしまうほど多数の商品がそろっている。

定番の五島うどんやかんころ餅、椿の葉を煎じた椿茶や椿オイルなど幅広い商品がそろう / 道の駅 遣唐使ふるさと館 


[道の駅 遣唐使ふるさと館]五島市三井楽町濱ノ畔3150-1 / 0959-84-3555 / 9:00〜18:00 / 年末年始のみ休み

スタイリッシュなコンセプトホテル「セレンディップホテル五島」


宿泊は「素敵な偶然に出会う宿」をコンセプトにした「セレンディップホテル五島」へ。島の天然素材を使ったインテリアや島内の風景写真などが配置された館内では、そこかしこに島の壮大な自然を感じられる。コワーキングスペースや飲食店、アウトドア用品のレンタルを併設し、カジュアルでオシャレな雰囲気だ。

フロントの壁面には五島の溶岩、カウンターは五島のクスノキを使用 / セレンディップホテル五島


客室は海や山などの色彩をイメージするようなカーペットやクロスが映えるカジュアルな内装が魅力的。全室ダブルベッドでシングルユースも可能な客室から、和洋室やデラックスツインまで多彩なニーズに応える全28部屋を備えている。

空と海のようなブルー系の壁が目を引くツインルーム / セレンディップホテル五島


1階のコワーキングスペースは東京の「NOZY COFFEE」が監修したこだわりの豆を使ったコーヒーが味わえる、カフェさながらの空間。浅煎りですっきりとした飲み口のコーヒーを飲みながら、旅の続きに思いをめぐらせるのもいい。ドリンク1杯を注文すれば宿泊者以外も利用することが可能で、地元の人々で賑わっている。営業時間は7時から23時まで。

注文を受けてから1杯1杯バリスタが淹れるコーヒー / セレンディップホテル五島


[セレンディップホテル五島]五島市武家屋敷1-7-12 / 0959-72-3151 / チェックイン15:00、チェックアウト10:00 / 素泊まりシングル5910円〜(朝食は別途910円)

キリシタンの聖地と崇められるルルドが残る「井持浦教会」


翌日は、島の西側まで足を伸ばして井持浦教会へ。1895(明治28)年に、フランス人宣教師のぺリューが五島の信徒に呼びかけ、島内の奇岩や珍石を集めて設立されたという教会だ。島内で唯一迫害を逃れた地区と言われる閑静な場所にひっそりと建っている。

小高い丘の上に建つ / 井持浦教会


教会の脇には、ぺリュー氏の呼びかけで創設されたルルド(聖母出現の地)を模した洞窟が残っている。ルルドにはぺリュー氏がフランスから取り寄せた霊水と聖母像が収められ、この霊水を飲むと病が治るという言い伝えからキリシタンの聖地となっているという。自然と祈りを捧げたくなるような荘厳な空気に包まれている。

内部に聖母マリアの像が安置されているルルドの洞窟 / 井持浦教会


[井持浦教会]五島市玉之浦町玉之浦1243 / TELなし / 9:00〜17:00 / 日曜休み

五島列島最南端の断崖に立つ白亜の灯台「大瀬崎灯台」


さらに南下した海沿いの断崖にあるのが大瀬崎灯台。灯台まではアップダウンのある遊歩道を15分から20分ほど歩く。

灯台までは1.2kmほどの遊歩道を歩くので歩きやすい靴で向かうのがおすすめ / 大瀬崎灯台


ちょっとしたトレッキング並みに歩くだけに、視界が開けた先に東シナ海の雄大な景色に出会えた時の感動はひとしおだ。展望台からは海に沈む夕陽の一大パノラマを眺めることもできる。

光達距離約22kmにもおよぶ日本の灯台50選のひとつ / 大瀬崎灯台


一帯は20kmに及ぶ海触断崖が連なっている / 大瀬崎灯台


[大瀬崎灯台]五島市玉之浦町玉之浦 / 0959-87-2211 (玉之浦支所)

海を眺めながら食事を楽しめる「椿茶屋」


帰路へ着く前に、香珠子海水浴場に面した食事処「椿茶屋」へ。店内に入ると、全面ガラス張りの窓から広がるオーシャンビューに心が弾む。

ガラス張りの店内から壮大なオーシャンビューが広がる / 椿茶屋


ここでは、囲炉裏を備えた席で島の食材を使った炭火焼を味わうことができる。メニューはコース(2000円〜)のみで、その日に揚がった旬の魚や美豚と呼ばれるブランド肉など、五島の恵みを堪能できる内容になっている。美しい海の風景と焼き立ての炭火焼で、旅の締めくくりに申し分ない贅沢なひとときを過ごせた。

写真は地魚塩焼きや五島美豚の天然塩焼き、五島産野菜盛りなどが付くコース3000円 / 椿茶屋


海を眺めながら囲炉裏を囲んで食事を楽しめるのが魅力 / 椿茶屋


[椿茶屋]五島市浜町1247 / 0959-73-5940 / 昼11:00〜、夜17:00〜(完全予約制で前日の15:00まで予約受付) / 不定休

五島の冬を代表するイベント「椿まつり」


"幻の椿"といわれる銘花「玉之浦」が発見されたことから、椿の自生地としても名高い五島。2月から3月に催される「椿まつり」が冬の風物詩となっている。五島市内各所で椿を使った体験講座や椿に関する展示、イベント、ツアーなどが行われるこの時期も一興。冬ならではの楽しみもある五島を訪れてみてはいかがでしょう。

白く縁取られた赤い花びらが特徴の銘花「玉の浦」 / 椿まつり


[椿まつり] / 0959-72-2963 (五島椿まつり実行委員会) / 2020年2月22日(土)~03月01日(日)、詳細は下記リンク先参照

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上川奈穂美

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