映画『ラストレター』広瀬すずインタビュー「岩井俊二監督作を語る」

関西ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

19年のNHK連続テレビ小説『なつぞら』でヒロインを務めた広瀬すず。その後、初舞台を踏んだNODA・MAPの話題作で、第54回紀伊國屋演劇賞を受賞する快挙を成し遂げた。次代を担う女優として、大きく1歩を踏み出した、まさに時の人。そして映画では、『なつぞら』と同時期に撮影した岩井俊二監督作『ラストレター』が公開される。

広瀬すずインタビュー


『ラストレター』は、岩井監督が初めて出身地・宮城を舞台にした作品。手紙の行き違いをきっかけに始まった、2つの世代の男女の恋愛と、それぞれの心の再生と成長を描く。名作『Love Letter』を感じさせる世界観に、岩井ファンは感動必至。高校時代の過去と現在が交差する中、最後の手紙に込められた初恋の記憶が時を超えて淡くせつなく立ち上がる。岩井ワールドならではのラブストーリーだ。

【写真を見る】映画「ラストレター」は、岩井ファンは感動必至のラブストーリーだ(C)2020「ラストレター」製作委員会


出演は松たか子、庵野秀明、森 七菜、神木隆之介、福山雅治ら豪華キャストが集結し、広瀬は高校生の鮎美と亡くなった母・未咲の高校時代を二役で演じる。

『ラストレター』への想い、初挑戦が続いたドラマと舞台の経験から学んだこと、関西のごはん、そしてこれから。広瀬が今の気持ちを語ってくれた。

【物語】

映画「ラストレター」ってどんなお話?(C)2020「ラストレター」製作委員会


裕里(松)は姉・未咲が亡くなった葬儀の場で、未咲の娘・鮎美(広瀬)から、未咲宛ての同窓会の案内と未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされる裕里。そこで初恋の相手だった鏡史郎(福山)と再会、勘違いから裕里と鏡史郎の不思議な文通が始まり…。

※回想シーンの高校時代では、裕里を森、鏡史郎を神木が演じる。

【岩井監督からオファーを受けて】

岩井監督からオファーを受けて(C)2020「ラストレター」製作委員会


 肌の毛穴まで見えるような生っぽい質感と、時間軸の不思議な感覚がすごく好きで、やってみたいなと思っていました。だから、そこに入れるのがうれしくて「やった~!」という感じでした(笑)。人生の中にある悲しみや小さな幸せを、作品の中から自分で見つけるのが好きで、今回も特に多くて。淡くて繊細な美しさがここまで表現されるんだなと、脚本の会話の部分からすごく感じていました。何回かページを戻って読み直したりしましたね。でも、演じる人によって表現の仕方が全然違うので、現場に行ってからの方が楽しかったです。

【二役を演じて岩井監督の演出は?】

二役を演じて岩井監督の演出は?(C)2020「ラストレター」製作委員会


 二役だけど親子なので、違うより一緒の表現がいいかな、とかバランスが難しかったです。でも、岩井監督は何も言わないんですよ。だから、その質問が一番困る(笑)。演出というより、やったことに対する感想を言われていた記憶があります。とても自由でした。

【神木隆之介さんとは?】

神木隆之介さんとは?(C)2020「ラストレター」製作委員会


 ドラマの『学校のカイダン』(15年)でご一緒してから、仲良くなりすぎて超やりづらかった(笑)。姉(広瀬アリス)とやる時と同じぐらいのやりづらい人(笑)。今回は役柄が似てるのと、安定感のある距離感で心強かったです。ずっと一緒ではなかったけれど、でもやっぱりいてくれると落ち着くような安心感があります。

【作品のカギとなる手紙。手紙は書く?】

手紙は、書くのももらうのも好きです。小さいメッセージでもいただいたものは全部取っておくタイプで、読み返したりすることもあります。学生時代からなにか文字や文章を書くことが好きで、今も誕生日のプレゼントや舞台を観に行った時の差し入れには必ず手紙を入れるし、共演者の人にも1対1で伝えたいことを書いたり。メールでは言えなくても、手紙ならなんでも書けます。手紙は大切ですね。

作品のカギは「手紙」(C)2020「ラストレター」製作委員会


【最後のスピーチシーンで号泣】

 生きるって簡単じゃないんだって思いました。まだ学生の時に、将来こんな未来が待っていると思うけど生きて行きますという、生きることに対しての決意表明のような感じのスピーチですよね。早く自分に子供が生まれて、その卒業式に行きたいと思いました。そこでもボロボロ泣ける自信があります。

【作品の印象を】

 せつなさが、繊細な岩井ワールドに包まれている感じで、すごくすてきです。余韻がどっぷり残る気がします。気持ちいいと言うより、ちゃんと考えたくなるような作品になっていると思いますね。人を通して報われない瞬間の切なさを感じるけれど、それを超えてくるものがさらにありそうで、観れば観るほど違う気持ちになると思います。参加できて、とてもうれしく思いました。

【『なつぞら』と初舞台のこと】

 『なつぞら』は、自分の力不足を実感させられた作品でした。長期間に同じ役を演じて、これまでよりさらに辛抱強くなったような気がします。なにが来ても、もう大丈夫かな(笑)。野田(秀樹)さんの舞台は新鮮でおもしろかったです。演じることや舞台の観方が変わりました。機会があれば、今後もやってみたいなと思っています。

【今年チャレンジしたいことは?】

 映画をやりたいです。でも、『なつぞら』からすぐにNODA・MAPに入って自分を落ち着かせる時間がなかったので、一度脳を休ませたいなと思っています。お休みをいただけたらベストなんですけど…。自分の中から湧き出てくるものを大事にしたいので、いろいろな作品をたくさん観て、自分に吸収できる時間をもう少し作りたいですね。

【関西のこと】

 関西は、NODA・MAPで9日間もいたのが初めてです。その時に連れて行ってもらった串揚げ屋さんが、めっちゃおいしくてハマりました。串揚げは大好きですが、その概念を覆されたお店。そのためだけに関西に行ってごはん食べよと思うぐらいです(笑)。でも、お好み焼きは食べてなくて…食べたかったなぁ。粉もんもイカ焼きも大好きなので、今度関西に行ったら食べ歩きをしたいです!

ひろせすず●1998年、静岡県生まれ。13年女優デビュー。17年、映画「ちはやふる-上の句-」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。19年、NHK連続テレビ小説「なつぞら」でヒロインを務めた。初舞台のNODA・MAP「Q:A Night At The Kabuki」では、第54回紀伊國屋演劇賞を受賞。また、「広瀬姉妹・写真展」が梅田ロフトで開催中。映画「一度死んでみた」が3/20♯祝♯公開

 

MOVIE「ラストレター」1月17日(金)よりTOHOシネマズ梅田ほかにて公開

映画「ラストレター」は1月17日(金)よりTOHOシネマズ梅田ほかにて公開(C)2020「ラストレター」製作委員会


監督・脚本・編集:岩井俊二

原作:岩井俊二「ラストレター」(文春文庫刊)

出演:松 たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、豊川悦司、中山美穂、神木隆之介、福山雅治ほか(’20 東宝)

高橋晴代・はーこ

この記事の画像一覧(全8枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

花火特集

花火特集2025

全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!

CHECK!全国の花火大会ランキング

CHECK!2025年全国で開催予定の花火大会

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る