大丸心斎橋店にて「大丸300年クローゼット」展示開催 300年後の未来へ残したいものとは?

関西ウォーカー

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大丸心斎橋 本館(大阪府大阪市)の1階イベントスペースにて、大丸創業300周年記念企画「大丸300年クローゼット」プロジェクトの展示が開催中。展示期間は、2019年12月26日(木)~2020年1月9日(木)。

「大丸300年クローゼット」展示の様子


「大丸300年クローゼット」は、2017年に始まった大丸創業300周年を記念したプロジェクトの一環。顧客が持つ大丸ゆかりの品物とその品にまつわるエピソードを募集し、選ばれた3点の品物を“大丸での幸せなお買い物体験の象徴”として、創業600周年となる2317年までの約300年間、顧客から預かるというもの。顧客へは品物と引き換えに「300年引継証」を発行。子孫へ引き継ぎ、思い出の品を未来へ届けるプロジェクトだ。

左から大丸松坂屋百貨店 心斎橋店長 西阪義晴、代表取締役社長 好本達也、蒔絵師 島本恵未、graf代表 クリエイティブディレクター服部滋樹


12月26日に行われたお披露目イベントでは、顧客から収蔵される品物3点を報道関係者に公開。さらに特別ゲストとして「300年引継証」のデザインを手掛けた島本恵未氏と、9月20日にグランドオープンを迎えた大丸心斎橋店8階フロアの環境内装設計を手掛けたgrafの代表 服部滋樹氏を迎えたトークセッションも開催された。

まずは好本社長が挨拶。「令和元年は、私たちにとっても特別な年となりました」と、9月に心斎橋本館がグランドオープンしたことに触れ、さらに「『大丸300年クローゼット』は大丸創業300周年記念プロジェクトの締めくくりとなる企画。300年続いた企業だからこそできることがあるのではないかと、皆様の大丸ゆかりの品を募集したところ、たくさんのご応募をいただき、その中から3点を選ばせていただきました」と企画の趣旨を話した。

3つの品物とその物語


『大丸300年クローゼット』に選ばれた品物は「90年間つれそった3枚の写真」「戦火をくぐり抜けた雛人形」「お祖母さんがあつらえたウェディングドレス」の3点。品物にまつわるエピソードの映像が上映された後、3点のうちの1つ雛人形の除幕式が行われた。

「戦火をくぐり抜けた雛人形」の除幕式の様子


「戦火をくぐり抜けた雛人形」は、昭和13年頃に大丸心斎橋店で購入された物で、持ち主のおじさんから送られた物。戦争のさなかで疎開する際に、母親が大きな木箱に入れて疎開先へ持って行き、戦火を逃れることができた。

持ち主の女性は「疎開で最低限の荷物しか持って行けない中、母がわざわざ持ってきてくれた。ワクワクしながらお雛様を眺めたことを思い出します」と話す


「90年間つれそった3枚の写真」は、大正15年から昭和6年頃にかけて大丸心斎橋店内の写真館で撮られた3枚の写真。持ち主の父親が36歳という若さで亡くなるまでに残してくれた写真だ。

持ち主の女性の3枚の写真。左から、生まれて間もない1歳の時、おもちゃのボートを買ってもらった3歳の時、紐落としで大人と同じような着物を着た5歳の時


「お祖母さんがあつらえたウェディングドレス」は、昭和50年4月に大丸神戸店で購入されたもの。船乗りの彼との結婚を反対されていた持ち主のお祖母さんが、大丸であつらえてくれたという思い出の品だ。

「『たった1人でも賛成してくれている人が居る』と心強く、結婚式を強行しました。これを見るたびに思い出す、守り神のような存在です」と持ち主の女性


3つの物語は会場で放映されるほか、12月27日(金)から特設サイトでも公開される。

子孫へ引き継ぐ「300年引継証」


持ち主には品物と引き換えに「300年引継証」が渡され、持ち主の子孫の間で引き継がれることになっている。「300年引継証」のデザインを担当した蒔絵師の島本恵未氏は、「300年ということで、考え得る中で一番強い漆にしなければと思いました。200~300年は持つ、茶道の棗(なつめ)と同じようなしっかりした作りにしました」と話した。

さらにデザインについて「コンセプトは『思い出と歴史を詰めた小さな宝箱』。一目で大丸を思い出せるようにクジャクやヴォーリズ建築のモチーフを入れました。親戚などで集まった時に、大丸の思い出話をするきっかけになれば」と、「300年引継証」に込めた思いを語った。

展示されている「300年引継証」


「300年引継証」を閉じた状態。蒔絵で大丸のシンボルマークのクジャクが描かれている


「300年引継証」のほか、収蔵する品物の物語やプロジェクトの趣旨、品物の管理運営方法などが書かれた「管理マニュアル」も発行。大丸心斎橋店長室と本社社長室で1部ずつ保管し、持ち主の子孫とも定期的に連絡を取っていくという。

表紙が豪華な金箔押しの「管理マニュアル」も展示。劣化を最低限に抑えるため、和紙と墨を使用し、のりを使わない“和綴じ”と呼ばれる方法で製本している


「管理マニュアル」の中身も抜粋されて展示されている


トークセッションで服部氏は「物があふれる時代にどう物を残していくか、これが大丸さんの1番のコンセプトではないでしょうか」と話し、「震災以降、博物館では物に対する意味を考えたときに『全部をつぶさに残すより、未来のためにこれがどういう意味を持つのか、考えて残していこう』という動きになっている。物をアーカイブするという意味がいろいろな人たちに波及していけば」と語った。

年末年始で家族が集まる時間。「大丸300年クローゼット」プロジェクトの展示は、自分の家族や物が持つストーリーについて考える良いきっかけになるのではないだろうか。

二木繁美

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