メルセデス・ベンツのショールームで伝説のそば屋「港屋」が復活！異色の共演に込められた想いとは？

昨年末、“車を売らないショールーム”をコンセプトに掲げる、メルセデス・ベンツのブランド情報発信拠点「Mercedes me Tokyo」(東京都六本木)の敷地内にある「Mercedes me Tokyo NEXTDOOR」に、立ち食いそば屋「港屋」の新店「Minatoya3」がオープン。「港屋」創業者の菊地剛志氏に、本企画が実現するに至った経緯や想い、新メニューへのこだわりを聞いた。

メルセデス・ベンツと港屋はなぜタッグを組んだのか

東京・虎ノ門で“日本一行列ができる立ち食いそば屋”として話題を呼び、惜しまれながらも2019年2月に営業を終了した「港屋」。その後は、「星のや東京」1階で営まれている「港屋2」で、1番人気の「冷たい肉そば」が提供されてきた。そして、新メニューの「温かい肉そば」を携えて、「Mercedes me Tokyo NEXTDOOR」にオープンした「Minatoya3」。一見、メルセデス・ベンツと立ち食いそば屋は、異色の組み合わせに思える。しかし、妥協を許さないものづくりへの姿勢において、両者は志を同じくしているのだ。

メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長は、今回の企画について「メルセデス・ベンツにはクルマづくりにおける『最善か無か』という思想がありますが、業界は違えど、“港屋“の妥協を許さないそば作りの姿勢に感銘を受けました」とコメントを寄せている。

「港屋」創業者の菊地氏も、学生の頃からメルセデス・ベンツが「大好きだった」と話す。菊地氏は「学生の頃、メルセデス・ベンツの車に触れる機会があり、『なんてしっかりした車なんだろう』と思った印象がずっと残っていて」と、メルセデス・ベンツとの出会いを振り返る。「港屋」を開店することになった際、メルセデス・ベンツから受けたインスピレーションを基に、メニューを考案したそうだ。

その後、メルセデス・ベンツ日本の上野社長が港屋へ通うようになり、交流が生まれ、今回、戦略的パートナーシップを結ぶに至ったとのこと。菊地氏は「『一緒にやってみない？』とお話をいただいて、二つ返事でやらせていただきました」と笑顔で語った。

「メルセデスAMG GT」のエッセンスが散りばめられた「温かい肉そば」

「Minatoya3」で味わえるのは、ボディカラーがイエローの「メルセデスAMG GT」をイメージして新たに設計された、温かい肉そば「Minatoya3 Vision Mercedes AMG GT Atatakai Nikusoba」(税込1200円)。

黄色い麺の上には海苔がこんもりと盛られ、温かい付けダレには豚バラ肉とネギがたっぷり。ボリューミーでありながらも、アート性を感じさせるビジュアルに、食べる前から心が躍る。ちなみに器も「Minatoya3」限定のデザイン。港屋のオリジナル器に、「Mercedes me」のロゴと、メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターが施されている。

食べてみると、その味わい、まさに唯一無二。しっかりとコシがある黄色い中太麺は、菊地氏いわく「カテゴリー自体がない麺」とのこと。「中華でもパスタでもない。何かと言うと、AMG GTの麺」と表現する。

その他の細かい部分にも、「メルセデスAMG GT」のイメージがふんだんに盛り込まれている。「山椒を入れることで、AMG GTの爽やかさを表現しました。風でふわっと舞う海苔は、疾走感のイメージ。麺もエッジを鋭く切って、シャープな感じを出しました」と菊地氏。

付けダレは、ラー油や山椒が心地よい刺激を与えながらも、豚バラ肉の旨味が存分に溶け出し、実にバランスが良い。さらに、香ばしいゴマや海苔、ネギといった薬味が味わいに奥深さを加え、食欲をかき立てられる要素が満載。途中で生卵を付けダレに割り入れ、マイルドな味に変化させられるのも嬉しい。

セルフスタイルのそば湯にもこだわり「来てくださる方とお友だちに」

さらに、「Minatoya3」にはもう1つ、「港屋」にはなかったこだわりのポイントがある。それは、客が自分でそば粉にお湯を注いで作る、そば湯。スタッフに作り方を聞くことで、会話が生まれる。そば湯を作る体験を通して、親しみを持ってもらう。セルフスタイルのそば湯には、メルセデス・ベンツに抱きがちな敷居の高いイメージを、払拭する狙いが込められているという。

菊地氏は、強い意志を宿した瞳でこちらを真っすぐ見つめつつ、穏やかな口調で「僕はここに来てくださる方と、お友だちになりたいんです」と、「Minatoya3」が目指す姿を教えてくれた。

「Minatoya3」の営業時間は、11時～15時30分(15時LO)、17時～22時(21時30分LO)。昼、夜ともに売切次第終了。

水梨かおる