”女子限定”の秘密空間でいったい何が?ホテルバリアンが女子会の場として支持され続ける理由
東京ウォーカー(全国版)
テレビやインターネットで「ラブホ女子会」「ホテル女子会」という言葉を見ることが増えた近年。先駆者的存在であるホテルバリアンの「女子会プラン」は、2010年の開始からこれまでに30万人以上に利用されている。飲食店やカラオケといった既存の女子会スポットがある中、女子たちがレジャーホテルを選ぶようになったのはなぜなのだろうか。カップル向けだったホテルで女子会が行われるようになった背景やその実態、ホテル業界の今後の展望について、バリアンを運営する株式会社サンザのホテル首都圏事業部 部長、本多大輔さんに話を聞いた。
カップルばかりの空間がなぜ女子会の場所に?バリアン女子会の原点
かつてはラブホテルと呼ばれていた業態のホテルたち。昨今では、リゾート感を重視するなどそのイメージにおさまらないホテルが増え、「レジャーホテル」と呼ばれるようになってきている。同時に、「男女のカップルが利用する場所」という根強いイメージが、女子会プラン利用者の爆増により「女性だけでも楽しめる場所」へと変化。今回話を聞かせてくれた本多さんによると、バリアンの場合、現在は年間の利用者数の10~15%が女子会利用者という人気っぷりだそうだ。
バリアンが女子会プランをスタートさせたのは2010年のこと。女子会プランの発起人であり、当時はホテルの支配人を務めていた本多さんはその経緯を次のように語る。
「2010年当時は、女子会という言葉が世の中に出始めた頃。女性だけで居酒屋に集まってお酒を呑む会が広まっているということを聞いたときに、私どものホテルと相性が良さそうだなと思いました。ホテルなら飲食店のような時間制限もなく、朝までお酒を呑みながらお話しすることが可能。周りの目を気にする必要もないので、気兼ねなく会話ができたり、すっぴんでくつろぎながら過ごせたりするからです」
「正直、社内では、“どうせ流行らないでしょ”とあまり期待されてはいませんでした。ただ、逆に反対されることもなかったので、私がいた店舗限定で展開することになったのが始まりです」
ところが、本多さんの読みは見事に的中。リリースから3年経った2013年には、民放各局の情報番組やバラエティー番組で取り上げられることが増え、2014年には利用者数が前年対比で150%をマーク。「インスタ映え」が新語・流行語大賞に選ばれた2017年には「非日常的な雰囲気を楽しめる」「バリの異国情緒ある空間が映える」と盛り上がり、前年比170%を記録するなど、近年でもさらに成長を続けているのだという。
時代とともに変わる女子会の形、今人気の”推し会”とは
本多さんによると、バリアンでの女子会は主に19歳から21歳の大学生・専門学校生、次点で社会人3年目くらいまでの層が大半を占めているそう。「社会人になりたての方たちは学生時代の友達との利用が中心。仕事が終わる時間がバラバラな中、何時からでも集まれるホテルが支持されているようです。また、私どものホテルはサービスやアメニティに力を入れていることもあり、手ぶらで訪れて翌日そのまま出社されるという方も多くいらっしゃいますね」
しかし、お泊りを兼ねて女子会をするのであれば、誰かの自宅でもよいのではないかという印象。それでも女子が女子会の場にバリアンを選ぶ理由は、手軽な”小旅行”感にあるという。「利用者からは、客室の雰囲気はもちろん、岩盤浴や足湯があり、カラオケやダーツ、ビリヤードが楽しめるというところで、小旅行に来ているみたいだと言っていただけます」
続けて、本多さんは時代の変化とともに形を変え続けるバリアン女子会の全貌を教えてくれた。「ただ単にお部屋でくつろげるだけではなく、リムジンに乗れるものやハロウィン、クリスマスなどのイベントを楽しめるプラン、撮影グッズを貸し出すプランなど、時代とともにその付加価値を変化させ続けてきました。特に最近勢いがあるのは“推し会”と呼ばれるプランです」
この推し会プランは、アイドルオタクやアニメオタクなど、いわゆる”推し”のアイドルやキャラクターがいるオタク向けのプラン。特典として、映像鑑賞をいつも以上に盛り上げる“尊い”ボタンや、24色に色が変わるペンライトの貸し出し、人数分のリモコンやお絵描きセット、ぬいぐるみの撮影に最適なグッズなどがレンタルできる。
「アンケートを見ると、ここ最近は女子会利用者の35%~45%がいわゆる『オタク』の方でした。彼女たちの多くは、女子会プランの部屋の中で、自分の推しが出ているDVDや同人誌を持ち寄った鑑賞会や、推しの方の誕生日会を楽しんでいます。その声に応えようとできたのが、“推し会”プランです」
「利用者の方によると、”推し”への思いや、コアな作品の話は、カフェや居酒屋では話しづらいことも多くあるのだそうで、そんな思いを思う存分解放してもらおうと企画しました。リリースから約1年で利用者はすでに3万人を突破しており、勢いを感じます」
人気継続のワケは徹底的なニーズの調査
2010年当初と比べると、バリアン以外のレジャーホテルでも女子会プランが展開されることが増えた昨今。その中で、バリアンが人気を保ち続ける理由はなんなのだろうか。
「常にニーズに合ったプランを打ち出してきたことが私たちの強みだと感じています。プランを作るために3800枚のアンケートを声に出して読んだり、チェックアウト時にインタビューしたり、SNSでエゴサーチして1000枚以上の写真を見比べたりと、徹底してニーズの調査に取り組みました」
「推し会プランも、アンケートに“尊い”“円盤”“ぬい”などの言葉が頻出していること、やたらとイラストが上手なお客様が多いこと、SNSにご本人不在の写真をアップしている方が多いことに気づいたことから生まれました。最近ではコスプレイヤーの声に答え、“晴れても撮れる雨撮プラン”をリリースしました」
ニーズの調査にとことん力を入れることで、ユーザーが本当に喜ぶプランを実現してきたバリアン。現在は、生花の桜を眺めながらお花見パーティーができる「春の女子会プラン」が予約受付中だ。
レジャーホテル、ホテル業界の今後の展望
近年、レジャーホテルでは、受験生向けのプランやイベントのために遠方から訪れた人向けのプランなどが展開。民泊やレンタルスペースの市場が高まりを見せていることも影響し、ホテル業界は変化してきている。本多さんはそのような傾向についてどう感じているのか、最後に語ってもらった。
「今後はビジネスホテルやシティホテル、レジャーホテルといったホテルの境目がなくなっていき、そのときどきで優れたものが個別に選ばれるようになるのではないかと感じています。利用する方にとっては、大事な人と過ごすのに価値が高い場所であればジャンルは問わない傾向にあるからです」
「その中で、私たちに求められているのは『気の置けない仲間とリアルな場を共有して、時間を忘れて語り合える』場所であること。しかし、まだまだそれを最大限叶えられてはいないので、これからもさらにドキドキ・ワクワクできるサービスや体験を提供できるよう努めていきたいです」
個性あふれる利用者それぞれに寄り添った、秘密の空間が楽しめる「ラブホ女子会」「ホテル女子会」。バリアンの場合、女子会の場所として広まったことで女性からの敷居が下がり、カップルで利用するときにも選ばれることが増えたという話もあるそうだ。また、アニメやアイドルのオタクは日本だけでなく海外にも数多い。夏には世界中から観光客の訪れる大きな祭典を控える今年は、インバウンドの需要も高まっていくのではないだろうか。
於ありさ
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