静かな山あいにある産業遺産はまさに異世界!かつて5000人が暮らした“鉱山町”

東京ウォーカー(全国版)

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「わっ、あそこに何かある!大きいね」

5秒ほど沈黙したあと、「……でも、なんだろう、あの建物?」

始まったばかりの探検にワクワクが抑えきれないのは、現在小学4年生の彩乃ちゃん。パパが指さす先(写真の左端)に見えるのは、この場所がかつて銅山だった痕跡、地上部に残る竪坑(たてこう)跡だ。

目算で高さ20メートルはある竪坑(たてこう)跡


トヨタの新型コンパクトSUV「RAIZE(ライズ)」を走らせ、金沢市内から約1時間。阿部さんファミリーがやって来たのは「遊泉寺銅山跡」。石川県内の静かな山あいにあるこちらは、小松市の鉄工機械工業発展の礎、世界的な建機メーカーとなった小松製作所(現コマツ)へと繋がる鉱山跡で、当時は銅を生産する鉱山として繁栄した。

時計の針を30分ほど戻そう。

どこに座っても、そこが特等席になるRAIZE。身長185cmあるパパも、「まったくストレスがない」と太鼓判


「よし、駐車完了!」と彩乃ちゃんを振り返るママ。購入したてのこのRAIZE、全長4メートル未満のコンパクトサイズながら、ご覧のように室内は驚きの広さだ。

パパはひと足先にクルマを降りて、「里山みらい館」のスタッフにご挨拶中。同施設は2020年の「遊泉寺銅山」閉山100周年を記念して、昨年秋に建設された。※2020年5月正式オープン予定

石垣をバックに、RAIZEと一緒に記念撮影!


「パパ、後ろにある石垣も100年前からあったものなの?」と尋ねる彩乃ちゃんに、「そう、その通り!」とパパ。「この銅山が閉山したのは1920年で、大正初期の最盛期には従業員1600人、家族を含めると5000人が住む鉱山町だったと聞くから、当時住んでいた人たちの家の石垣だったんじゃないかなぁ」

そう、阿部さんファミリーは大の歴史好き。パパの影響を受け、彩乃ちゃんも最近、歴史に興味が芽生え始めたところだ。「遊泉寺銅山跡」はどんな産業遺産なのか――。

小松製作所(現コマツ)の創立者、竹内明太郎の銅像のある広場。「ママ、この漢字ってどういう意味なの?」と、勉強熱心な彩乃ちゃん


里山みらい館で、1周約1.5キロメートルの遊歩道について聞くと、道中、精錬所跡にある煙突や、竪坑跡、廃鉱を捨てた砂山、機械の据え付け台など、当時を偲ばせる遺構が散見するとのこと。

いざ、昔を尋ねる壮大な探検、“異世界探訪”へ出発!

2021年5月に、5年に渡る整備が完了する予定の遊歩道


遊歩道は現在、官民連携による整備の最中。現在の様子を見るにつけ、100年前に栄えた“銅山町の様子”を想像するのは難しい。約5000人が暮らしたという「遊泉寺銅山」の当時の様子とは? 貴重な写真を見せてもらえた。

手前から鉱山事務所、選鉱所、大煙突(明治41年) (C)小松市観光文化課(個人蔵)


当時の竪坑入口付近(明治41年) (C)小松市観光文化課(個人蔵)


「今はなにもないけど、昔はこんなに賑わっていたんだね。信じられないや」と彩乃ちゃん。

「小松の山々には、江戸時代から昭和にかけて10数カ所の鉱山があったみたい。ここ遊泉寺銅山が開坑したのも江戸時代で、安永5年、1776年という記録が残っているんだって」とパパ。

それを聞いたママも、「想像よりずっとスケールの大きい話だ!すごいね、彩乃~」と、楽しげな様子。

コケに覆われた炉跡を間近で見学。「100年前のものがこんなにキレイに残ってるんだね」


「こんな建物、見たことない!」とはしゃぐ彩乃ちゃん


阿部ファミリーを最初に出迎えたのは、鉱石から金属を取り出す“製錬”に使用された「真吹炉(まぶきろ)跡」。丈夫なレンガ造りとなっているため、今もその姿がしっかり残っている。

山の斜面にも、レンガ造りの痕跡を発見!「なにに使われたんだろう…」


遊歩道を進むと、多くの “100年前の痕跡”と出会うことができる。「家に帰ったら、この遺構がどんなものが調べてみよう」とパパ。

「すご~い!」と駆け寄る彩乃ちゃん。「鉱山にはこんなに大きな煙突が必要だったの?」


駐車場を出発して、親子3人でゆっくり歩いて10数分。やや険しい山道を進むと、ハイライトとも呼ぶべき「精錬所の巨大煙突跡」に到着。高さ20メートル、直径2.5メートルの大煙突を目の当たりにし、この日一番の盛り上がりをみせる3人。レンガ造りの煙突跡はところどころ、ツタに覆われている。

野花との出会いも。春から夏にかけては、広大な敷地に広がる豊かな自然を楽しむことができる


道中、天然の水晶を見つけて「わぁ、すごい!水晶、初めて見た!」と、大喜びの彩乃ちゃん


手付かずの自然が残る同スポット。春になると、毎年花が咲く“多年草”のシャガが一面に咲き、その真っ白な花で埋め尽くされる。運が良ければ、日本カモシカやウリボウ、野ウサギなどの野生動物との遭遇もあるそうだ。

後半の道のりは、前日の雨によって、コンディションの良くない山道が続くという判断で、パパひとりで散策することに。「せっかくここまで来たし、頂上まで行ってくるわ!写真撮ってくるから、ちょっと待っててね」とパパ。

山頂にある巻き上げ装置跡などを見て、ふたりにその姿を見せたいと写真をパチリ


かなり急な山道を進み、やっとの思いで頂上へ。「山深い、こんなところに鉱山の町があったなんて、想像すればするほど、感慨深いものがあるなぁ」とパパ。

山頂から下山する道中、うっそうと生い茂る杉林の隙間から、小松市街地を眺望することができた


「小松市の鉄工機械工業発展の礎は、すべてこの銅山から始まったのか…」。心の中でそんな事実を噛みしめながら、途切れ途切れに見える小松の街を横目に、ふたりの元に向かって歩を進めた。

「遊泉寺銅山跡」を存分に探索した3人は、再びRAIZEに乗り込み帰路へ。大きなタイヤなのに、驚くほど小回りがきくRAIZEは、狭い道もラクラクだ。

「さぁ、出発~!帰り道も任せなさい」と笑顔のママ


「楽しかった~!パパ、お家に帰ってからの復習、忘れないでよね」と、まだまだ元気な彩乃ちゃん。その様子にパパも、「OK、一緒に調べよう」とうれしそうな表情。

家に着くまで車内では、次に探索する場所をどこにしようかという会話で盛り上がっていた。

紺谷宏之

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